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仏パリ西部のムードンで行われたハッキング・コンテストの参加者〔AFPBB News〕
便利なポイントカードにご用心、怖い個人情報漏洩 スノーデンが開けたパンドラの箱から財布を守るブロックチェーン技術
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47141
2016.6.22 伊東 乾 JBpress
凶悪な犯罪事件が発生したようなとき、市中に設置された監視カメラの画像データを確認して、容疑者の行動をつぶさに調べ上げる報道を目にします。
しばらく前にも、これは特別に設置されたものらしいですが、暴力団の抗争事件に関連して、監視カメラのビデオ画像で容疑者確認、といったニュースが流れていました。
「ああ、そんなものか・・・」
と、ごく普通のこととして見過ごされてしまうことが多いかもしれません。
しかし、そこでチェックされているのは、必ずしも「容疑者」ばかりではない。あらゆる人が監視の対象となっており、そのデータがすでに蓄積されていて、何かあったときには過去に遡って検索できる――。
その是非を少し考えてみたいと思います。
■行動情報データ化の可否
少し前に米国で普及している、タクシーに代わると目される交通システムUberの話題に触れました。米国でUberに乗るといろいろな人が運転していて面白いです。過日はフィラデルフィアで、高校の社会科の先生が週末にUberの運転手をしているケースに遭遇しました。
「一番下の子がまだカレッジで、学費がかかるから・・・」
と笑いつつ、戦後日本への米国の占領政策など、非常に多くのことに精通した人で、30分ほどの乗車時間、大いに会話が弾みました。
「Uberは何が良いって、現金を取り扱わないことだよ」
とその「高校の先生=ドライバー」は言います。
「タクシーの車内には現金があると分かっているから、NYなどではタクシー強盗が絶えない。僕が知っている限り、一番ひどいのはシカゴだ。気持ちの荒れた町だよ」
「その点、Uberはすべてクレジットカード払いでキャッシュレスでしょ。拳銃を持った若者は、Uberを狙っても何もないと分かってるから、決して襲ってくることはない」
日本でもかつて「タクシー強盗」という言葉は聞かなくはありませんでしたが「車内には必ず現金があるから」とタクシーが恒常的に犯罪のターゲットにされるほどまで、世情は荒れていない。まだ助かっているというところでしょうか。
「それに、拳銃を突きつけられて、おかしな進路を取ったりしても、動きがすべてUberに残っているし、常時チェックしてもらっているので安心」
Uberのシステムは膨大な数の登録車の動きを常にスキャンしており、安全監視してもらっているからタクシーと違って安心して運転できる、とその社会科の先生ドライバーは太鼓判を押していました。
これはまた、Uberを利用する顧客の方も同様です。どこからどこまでどのようにUberを利用したかといった情報はもちろん、すべての利用を記した「アカシック・レコード」がしっかり残る。身元保証のような意味もあると言えます。
しかし、そういう個人情報がすべて残っていて、場合によって第三者に利用可能である、というのは、果たしていいことなのでしょうか?
「私は別段人に見られて困るようなことは何一つしていない」
と胸を張る方もおられるでしょう。そういう方には、例えばあなたのお子さん、年頃のお嬢さんが、毎日何時にどのルートで通学や通勤をし、夕方の何時頃に人気のない路地を通るといった情報が、不特定多数に丸見えになっている、といった状況を考えていただければと思います。
身代金目的その他で、人を拉致、誘拐しようとする。あるいは現金輸送車の走路や時間が第三者に克明にマークされる・・・。監視可能という状態が、必ずしも歓迎されるばかりではないことは、少し頭を働かせれば、あまりに明らかな事実です。
プライバシーというのは、基本的に「守られてあるべきもの」というのは、こうした観点を参照すると、実に妥当なことだと分かるでしょう。
■「ポイント」とビッグデータ
世の中には様々な「ポイントサービス」がありますね。コンビニその他で買い物をすると「**カードはお持ちですか?」といった質問をかなりの確率で受けることになる。
私は飛行機のマイレージ以外、この種の「ポイントカード」をほぼ一切使っていないので、その旨を告げると「失礼しました」と言われるのが常なのですが、このポイントについて少し考えてみましょう。
ポイントというのは「お得」なもの、であるらしい。様々なケースが入り乱れており一概に言えませんが、ある種のポイント発行などは、損金として計上される場合もあると言います。
商法に照らしても、企業はただただ顧客サービスといって損害を抱え込むようなことはしたくてもできないものです。で、このポイントカード全盛の現況。これはいったい何なのか?
顧客情報のプロファイリングは間違いなく存在するでしょう。「このカードの持ち主」の個人情報は、登録時点で必ず詳細に胴元が押さえます。その顧客が何年何月何日、どこの支店で何をどのように購入した、といった情報がつぶさに残される可能性があります。
「別段、買ってやましいものなど買っていない」
と言う人も、例えば薬局のシステムで、あなたが購入している医薬品の全データが整理された形で第三者に保存されている、と聞かされたら、どうでしょう?
さらに法的には禁じられている行為ですが、そうした顧客の個人情報が何らかの形で「売り買い」されているとすれば、これは相当気持の悪い話です。
そもそも、システムや商品設計の大本で、損するだけの仕かけを導入することはあり得ません。同業他社との競争の中で顧客の囲い込みやシェア念頭で発行される会員カードやサービスポイントもあるでしょう。
かつては雑多かつ膨大で、使いようがないと打ち捨てられていた可能性が高い情報がアーカイブ化され、高度に発達したマイニング技術によって的確に「ビッグデータ解析」されて、「あなた」という個人の挙動なり購買行動なりとして、手に取るように可視化される。
あるいはその情報が売り買いされ、あるいは監視されていると考えるなら・・・。
重ねて言いますが、相当気持悪い事態であると言わねばならないでしょう。
「なあに、私の情報など、誰も注目などしないよ」
と高を括るのは個人の勝手ですが、この状況が原理的に万人に平等に降りかかり得るのが、2010年代先進情報ネットワーク社会の現実にほかなりません。
例えば中東からの移民は、ほぼ確実にスマートフォンを持って欧州になだれ込んできます。そうした人々の中には、パリやブリュッセルで発生した無差別テロに関係した人物も含まれていたことは報道される通りです。
これも、事件が起きてしまってから、残っていたデータを改めて洗い直したとき、ここで見逃していた、と指摘され、責任を問われたりする事態になっているわけです。
監視が全くなくなるということは、残念ながら考えにくいし、今日の国際社会情勢を念頭に置くとき、最低限の必要なサーベイはあると言わざるを得ないでしょう。
しかし、同様のシステムで国民の誰もが同様に監視対象となり得る「高度情報化社会」は、上で見てきたように非常に危険なものでもあります。
詳細は法律家に譲りたいと思いますが、日本のようにビジネスデータが丸見えの穴漏れ状態では、商取引ができなくなる国や地域、海外企業が現在も存在し、今後対策が講じられなければ、そうした状況は増えていく可能性も指摘されています。
■ブロックチェーンの可能性:情報の金庫とシュレッダ―
私たちはどのように対処していくべきなのか?
国として、あるいは政策的にどう考えていくか、といった問題は別として、個々の企業や個人レベルでの対処の基本は、情報にきちんとした鍵をかける、また無用の情報は残しておかず、紙で言うならシュレッダーにかける日常的な生活習慣を徹底する必要があると言えるでしょう。
ここで注目されるのが、ブロックチェーンの技術です。
元来はビットコイン(Bitcoin)から派生した「帳簿確定」の技術、いわば「設立以来あらゆる取引データが格納されたアカシック・コード」を、どう「アカウンタブル」なものにするか、という基礎技術ですが、ここから派生して様々な応用が可能になります。
端的に言って、一番重要なのは情報の金庫と情報のシュレッドと考えて外れません。ネットワークに常時接続しているようなシステムは、様々なリスクにさらされている。
1995年以来のインターネットの普及は、言ってみれば前哨戦のようなものでした。そこでは本当の意味での「お金」をネット上で発生させていたわけではないからです。
実は2010年代後半からの暗号通貨デファクトスタンダードのフェイズこそが、ネットワーク化の真骨頂であると考える関係者は決して少なくありません。
ここで財布のひもを縛る役割を担う技術がブロックチェーンのテクノロジーにほかなりません。
エドワード・スノーデン氏がパンドラの箱の開けて始まった新しい時代、新たなルールを作り出すニーズが、国の内外を問わず、いま求められています。
情報セキュリティやIoT(Internet of Things=もののインターネット)といった旬のキーワードに横串を通すキーテクノロジーの1つとして、ブロックチェーンの技術展開は目を離すことができないものになっています。
(つづく)
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