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就職活動の短期間化によって学生は企業の十分な研究ができなくなっている(写真はイメージ)
就職活動「短期決戦」化の弊害 ミスマッチを防ぐインターンシップの活用を
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47134
2016.6.22 小原 篤次 JBpress
2017年3月の大学卒業予定者に対する就職活動の選考が6月1日から解禁された。大学の広報活動の開始は昨年度同様の3月1日であるが、選考開始日を2カ月繰り上げた。それに伴い、広報活動期間は昨年度の5カ月から3カ月に短縮された。
求人広告各社の調査では、すでに6月1日時点で内定率が50%を超えている。大学でもゴールデンウィーク明けの5月から、最終面接や内々定の連絡が届いていた。7月になると、内定率は70%を超えてくるだろう。
今年の就職活動の特徴を一言で言えば「短期決戦」である。短期決戦によって、採用側と学生側の両方で、すでに明暗がはっきりと分かれている。採用側は、人気企業・業種を中心とする採用予定者の達成組と、中小企業を中心とする未達成組。学生側は、早期内定者と、未内定者および就職活動離脱者である。
短期決戦のために業界や企業の研究が深まらないまま内定を獲得した学生も少なくない。また、「ミスマッチ」によって内定辞退や採用後の退職者が増加することが懸念される。
今回は、就職活動カレンダーの変遷を踏まえながら、就職活動の改善の方策を考えたい。
■「学業への影響」を憂慮して後ろ倒しにしたが・・・
近年の就職活動カレンダーは、日本経済団体連合会(経団連)加盟企業をはじめとする企業側がリードする形で定められてきた。
昨年度の2016年卒業予定者に適用された就職活動カレンダーは、安倍政権や自民党など政界の意向が影響している。広報活動と選考期間が例年に比べて後ろ倒しになったのは安倍政権からの要請だった。
下の図を見ていただきたい。2005年3月卒業から2012年3月卒業までは、広報活動が3年の10月1日に始まり、6カ月間の広報活動を経て、4年の4月から選考活動期間と位置づけられていた。
(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで図をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47134)
2013年3月卒業予定者を対象とした就職活動では、広報活動は3年の12月1日開始となり、3月末までの4カ月間に短縮された。
そこに安倍政権や自民党が「早期の就職活動は学業に影響がある」などとして乗り出してきて、2016年3月卒業予定者、つまり昨年の就職活動カレンダーは後ろ倒しになる。その結果、広報活動開始が3年の3月1日、選考活動は4年の8月1日からとなった。
だが、選考活動が後ろ倒しになったことで、中小企業や出遅れた学生は年度後半まで就職活動が続けなければならなくなった。そこで今年度、広報活動開始を据え置きながら、選考活動を6月1日と2カ月間繰り上げることになった。その結果、広報活動、学生にとっての企業研究や応募期間が3カ月に短縮された。
短期間の選考は、企業にとっても大きな負担である。
4年制大学進学率は1993年度までは20%台、その後、2001年度まで30%台にとどまっていたが、現在は50%を超えている。少子化にもかかわらず、大学生数は増えているのだ。学生、特に文系学生の人気上位となりやすいBtoC企業には、大学生数の増加は頭の痛い問題である。
人気企業にどれほどの応募者があるのか公表されることは少ないが、その一端が2015年9月、明らかになった。ワコールは、内々定を受け入れた学生約30人に送付予定のメールを、求人サイトに登録した1万9000人の学生に誤送信したと発表している。
■インターシップの実施企業はごく一部
就職活動カレンダーはどのように定めるのが理想的なのだろうか。
まず、毎年のように拙速な変更をするべきではない。せめて「4年後に変更」といったように相当の準備期間をかけるべきだ。大学のカリキュラムは4年間セットで組まれている。就職活動カレンダーは、学生がいつ、どれくらいの期間、留学するかということにも関係してくる。
また、企業の広報活動の開始時期には、求人広告会社やメディアが各地で大規模な合同説明会を開催する。スポーツ施設やコンサート会場などが利用されることになるので、会場確保の点からも計画的に就職活動カレンダーを見直すべきだろう。
それ以前に、広報活動の時期を変更しなくても短期決戦の弊害を減らす方法がある。それはインターンシップの活用だ。
3年の夏休みから年末年始にかけて、インターンシップが定着している。企業公募型のほか、大学が官公庁や地方自治体などとも連携しながら、正規授業や課外活動として採用している。特にリーマン・ショック後の景気対策で、インターンシップなどキャリア教育の導入が促された。
インターンシップの活用と言うと何を今さらと思われるかもしれない。しかし、実際にはインターンシップを実施する企業は、まだごく一部である。
日本の法人数は個人事業者を除いて300万社超ある。これに対して、新卒求人情報サイト「リクナビ2017」で、大学卒業予定者向けに求人広告を配信した企業数は約2万3500社。法人数に対して1%にも満たない。さらに「リクナビ2018」で、3年以下の学生に対してインターンシップ情報を提供する企業は約5600社に過ぎない。
大学卒業予定者の採用を計画・実施する企業は、3年を対象としたインターンシップをぜひとも開催すべきである。特に中小企業は積極的に実施すべきだろう。
「短期間すぎる」「任される仕事が単純すぎて就業体験になっていない」など、大学や学生側からは現状のインターンシップの効果を疑う声も聞かれる。企業が受け入れ態勢を整えるのも一苦労だろう。だが、企業と学生が互いを理解する一助になることは間違いない。
特に文系学生は理系学生とは異なり、営業から総務・企画・管理・経営までをこなすジェネラリストとして期待されている。多様な業界への応募が可能なため、なかなか業界研究や企業研究が進まない。また、たまたま面接に対応した担当者との相性やフィーリングだけで内定先を絞り込む学生も少なくない。そうした学生の“研究不足”が、大学新卒の3割が3年後に離職するという現状につながっている。
インターンシップの活用は、大学新卒採用のミスマッチを減らす決め手にもなる。企業側はインターンシップの手間を惜しんではいけない。
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