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インド南部チェンナイで開催された大規模ヨガイベントに参加する学生たち(2016年6月21日撮影)。(c)AFP/ARUN SANKAR
アップル、ついにインド直営店の開設が可能に インド政府が直接投資の規制緩和策を発表
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47164
2016.6.22 小久保 重信 JBpress
米アップルが進めているインド直営店の開設計画は、一進一退の展開が続いていると伝えられていたが、インド政府がこのほど発表した規制緩和策によって、その計画実現の可能性がようやく見えてきた。
■“30%調達ルール”を最大8年免除
米ウォールストリート・ジャーナルやインドの地元紙、タイムズ・オブ・インディアなどの報道によると、インド政府は20日、外国直接投資の規制について、多岐に渡る分野で政策変更を行うと発表した。
これには小売り事業のほか、防衛、民間航空といった分野も含まれる。
インドのナレンドラ・モディ首相は同日、ツイッターへの投稿で、「この改革は、インドの雇用創出と経済への後押しになる」とコメントしており、新制度について、同氏も大いに期待しているようだ。
新制度の下では、アップルの直営店「Apple Store」のような小売り事業は、国内調達義務が3年間免除されることになる。また、その取り扱い商品がインド国内で入手不可能な最先端の技術であると認められれば、さらに5年間、国内調達義務が免除されるという。
インドではApple Storeのような店舗は「シングルブランド・リテール」に分類される。そして、その外資比率が51%を超える場合、金額ベースで約30%の製品・部品をインドの国内企業(できれば中小規模)から調達しなければならない、いわゆる“30%調達ルール”がある。
しかしアップルの製品は大半が中国で製造され、部品も中国などインド以外の国で作られているため、この要件を満たすことができず、同社はこれまでインドで直営店をオープンすることができなかった。
■一進一退の展開
そうした中、インドではモディ首相の経済・市場改革に向けた取り組みのもと、外国直接投資の条件が緩和され、小売業者がインド国内で入手できない最先端の技術を同国に持ち込む場合、国内調達義務の免除を適用することができるという条項が盛り込まれた。
そこでアップルは今年1月、商工省の産業政策・振興局に直営店開設の申請書を提出し、この免除の適用を求めた。
このアップルの申請については、4月に商工省の諮問機関が規制免除を適用するよう提案していたのだが、財務省の外国投資促進委員会(FIPB)と財務相がそれを認めない判断を示した。
ところがその後、商工相がアップルの規制免除を支持する考えを示し、財務相と再検討のための話し合いを行ったことを明らかにしていた。
これがアップルの直営店開設計画が、これまで同社の思うように進まなかったおおよその経緯だ。
■ニューデリーやムンバイなどで直営店開設の計画
米メディアのザ・ネクスト・ウェブによると、アップルは来年末までにフロア面積が約1万平方フィート(約280坪)の店舗を、ニューデリーやバンガロール、ムンバイなどのインド主要都市で開設する計画を立てている。
アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は今年5月にインドを訪れ、モディ首相と会談したが、この時、アプリの開発促進施設や地図サービスの技術開発施設を開設する計画も明らかにした。しかしクック氏の訪印の最大の目的は、売り上げ拡大のための基盤作りだったと言われている。
その背景には中国経済の減速がある。
アップルにとって中国は米国に次ぐ巨大市場で、同社は同国市場の成長とともに売り上げを伸ばしてきた。だが中国経済の減速とともに同社の成長も鈍化が始まった。そうした中、インドは近い将来、中国に次ぐ世界第2のスマートフォン市場に成長すると期待されている。
ただ、ウォールストリート・ジャーナルによると、同国では購入されるスマートフォンの7割が150ドル未満の低価格端末で、高価格製品である「iPhone」のシェアはわずか2.7%にとどまっている。
アップルは直営店を開設することで、小売り事業のテコ入れを図り、こうした状況を打開したいと考えている。
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