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「REITの春」は続くのか
アベノミクスの方程式に陰り?
• 武田 健太郎
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2016年6月20日(月)
先月の話。とある親戚の女性が「リートって言う商品が、株よりずっと良いと聞いたんだけど。お勧め商品あるかしら」と私に聞いてきた。金融商品には関心のない主婦のはずだったのに、預金金利のあまりの低さにしびれを切らした様子だ。どう答えて良いのかわからず、曖昧にその場をごまかしたが、「REIT人気もここまで達したか」と内心は思った。株式市場がピークに近づくと、一般の主婦までが証券会社に並ぶというエピソードを聞いたことがあるが、REITは大丈夫だろうか。
そもそもREITとは、日本語で不動産投資信託と呼ばれる金融商品。ファンドが投資家から募った資金を中心にオフィスビルや商業施設などの不動産を取得し、その賃料を分配金として投資家に還元する仕組みを持つ。同額を投資した場合、株式の配当金に比べREITの分配金の方が多い傾向にあり、シニア層に根強い人気がある。
都心の不動産市況は曲がり角を迎えつつあるが、REIT相場への影響はまだ見られない(写真=アフロ)
REIT高・株安が鮮明に
確かに、金融商品としてパフォーマンスを見てみるとREITは魅力的だ。国内に上場するREITの値動きを示す東証REIT指数は、昨年末に比べ4%上昇。一方、日本株全体の値動きを表す東証株価指数(TOPIX)は19%下落している。自然とREITに目が行くのも分からなくは無い。
株式市場で通用しなくなったアベノミクスの神通力が、REITには未だに効力を持っていることが、明暗を分けた要因となっている。
日本株をこれまで支えてきたのは、日銀の金融緩和政策を通じた円安・ドル高の為替相場だ。円安は日本の輸出企業などを潤し、株高につながり「アベノミクスの方程式」が十分機能していた。
しかし、同様に輸出企業を抱える先進国が黙ってはいなくなった。リーマンショック後の経済回復期が終わり、これ以上の円安・自国通貨高は許容出来なくなる。欧州は金融緩和政策を拡大し、米国では要人発言を通じて日本の円安誘導政策を牽制し始めた。
マイナス金利という金融緩和策でも為替は円安に動かなくなる。国内企業の収益は伸びず、株価も弱含む環境に陥った。金融緩和=株高という方程式はもはや成立しない。さらに最近では、英国の欧州連合(EU)離脱問題が追い打ちとなり株価低迷につながった。
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マイナス金利、REITには効果
一方、金融緩和=REIT高という方程式は未だに成立している。REITでは、賃料と期待利回り(不動産の価値に対する年間の利益の割合)という2つの要素が価格決定で重要となる。賃料が高く、期待利回りが低いほど、不動産の価格は上昇する。
マイナス金利で資金調達コストが安くなると、期待される利回りが多少低くても許容される。期待利回りが低下しREITの価格が上昇するという流れが続いている。証券アナリストも「マーケットの原理が正常に機能すればもっとREITの価格は上昇する」と強気のコメントが目立つ。
REITの春は続いている。しかし、それを支えるアベノミクスの方程式はいつまで通用するのだろうか。国内の不動産市況を見ると不安が頭をもたげる。
REIT相場は堅調に推移
●東証REIT指数とTOPIXのパフォーマンス比較
(注)昨年末を100として指数化
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/061700253/02.png
不動産デベロッパー株は減速
心配されるのは都心のオフィス需要だ。国内REITは資産の5割弱をオフィスビルで運用している。2020年の東京五輪に向け丸の内、新宿、虎ノ門など各地で開発は進むが、2018〜19年に大型ビルの竣工がピークを迎え、供給過多になる可能性もある。オフィス空室率が上昇すれば賃料が下がり、REITの分配金が減る展開も否定できない。
不動産物件の価格高騰も気になる。都心では国内REITや海外ファンドによる新規物件取得競争が過熱。ある不動産デベロッパー幹部は「とても社内で説明が通る価格帯では無くなっている」と嘆く。利益を確保出来る価格水準での新規投資先が無く、保有する既存物件も賃料下落というシナリオも出てくる。
不安を織り込んでか、不動産デベロッパー各社の株価はさえない。例えば三菱地所株は昨年末に比べ26%安に沈む。REITと同様、不動産デベロッパーにもマイナス金利は追い風になるはずだが、ここではアベノミクスの方程式は賞味期限切れとなっている。
REITはアベノミクスの恩恵を受ける最後の桃源郷。不安材料を内包しつつも、これまで「崩れそうで値崩れしない」(地銀の運用担当者)相場を演出してきた。市場関係者も強気の見方を崩さない。しかし、相場はいつか必ず変節点を迎え、これまでの方程式は意味をなさなくなる日が来る。REITに関しても慎重な見方が必要だろう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/061700253/?
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