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韓国ロッテに裏金疑惑、お家騒動に新火種
http://diamond.jp/articles/-/93294
2016年6月20日 ダイヤモンド・オンライン
韓国ロッテグループに裏金疑惑が浮上し、本社を含めた大規模な家宅捜索が行われた。疑惑に伴い、昨年から続くお家騒動はさらに荒れること必至。韓国ロッテは機能不全に陥っている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 泉 秀一)
Photo:Chung Sung-Jun/gettyimages
韓国5位の巨大財閥であるロッテが創業来、最大の危機にひんしている。重光昭夫・韓国ロッテグループ会長をはじめ、幹部数人らに背任や横領などの疑惑が浮上しているのだ。
韓国検察は6月10日、ソウル中心部の韓国ロッテグループ本社や関係会社、役員自宅など計17カ所の家宅捜索を実施。捜査員約200人を動員し、書類やパソコンなどトラック7台分にも上る大量の資料を押収した。
14日にも追加で家宅捜索し、関係者の間では、検察の力の入れように、「逮捕者が出てもおかしくない」(韓国ロッテ関係者)という見方が強まっている。
すでに、幹部ら24人が韓国国外への出国停止を命じられた。昭夫会長の“韓国側近4人衆”で、ナンバー2のポジションにいる李仁源・韓国ロッテグループ副会長と、ナンバー3の黄珏圭・ロッテショッピング社長も出国停止リストに名を連ねる。
ナンバー4の盧柄容・ロッテ物産社長に至っては、11日に業務上過失致死傷の容疑で逮捕された。スーパー大手ロッテマートが販売した加湿器用の殺菌剤により死者が出た事件で、同社の元代表である盧社長は製品の安全性の検証を怠ったという容疑だ。
盧社長の逮捕は、今回の裏金疑惑との直接的な関連性はないとされるが、事件発生は2006年。10年も前のことだけに、韓国ロッテ関係者は「検察が裏金疑惑でロッテの捜査に本格的に乗り出すと決め、このタイミングでの逮捕になったのではないか」とみる。
検察はなぜ今、ロッテの本格的な捜査に乗り出したのか。
背景には、現在の朴槿恵政権とその前の李明博政権の不仲があるとされる。李政権時の09年、ソウル市内に地上123階建ての高層商業施設「第2ロッテワールド」の建設許可が下りた。当時、関係者は「創業者である重光武雄名誉会長の悲願が達成された」と歓喜したが、実はこの案件には黒いうわさが絶えなかった。
李政権以前、第2ロッテワールドの建設は、ソウル空港との近さを理由に空軍が猛反対し、10年以上もの間、棚上げされてきた。
しかし、07年末に李前大統領が当選すると風向きが変わった。李前大統領は08年、建設に対して前向きな発言をし、09年には空港の滑走路を改築する形で第2ロッテワールドの建設が認められた。
この間、建設に反対を唱え続けていた空軍幹部らが更迭されており、「ロッテが政府や軍関係者に裏金を渡したのでは」との疑惑が浮上していた。
つまり、ロッテの裏金疑惑は前政権の汚職調査にもつながっており、「不仲な前政権のスキャンダルによって、現政権が支持率回復を図る狙いがある」(韓国大手紙記者)というのだ。
ロッテは、昨年からのお家騒動で資本構造の不透明さが公になり、裏金疑惑という“本丸”の捜査にまで踏み込まれ、墓穴を掘った。
■疑惑捜査でホテルロッテの上場は白紙に
6月10日の家宅捜索後、ソウル市内のロッテ百貨店前では連日、ロッテ幹部に事態の説明を求めるデモが起きており、ロッテブランドの失墜は免れない状況となっている。
ロッテが失ったのはそれだけではない。今回の一件で、今夏に予定していた事実上の持株会社で韓国事業を統括するホテルロッテの上場も「白紙になってしまった」(韓国金融業界関係者)。
ホテルロッテ株式の99%は現在、日本事業の統括会社であるロッテホールディングス(HD)などの日本側が握っており、上場で日本側の支配力を弱体化させる狙いがあった。しかし、上場が頓挫したことで、今後も韓国ロッテは日本側の支配下に置かれる。
側近の逮捕や上場白紙が重なる非常事態に直面しながら、昭夫会長は記者会見で事態を説明するどころか、韓国では姿さえ見せていない。7日より、ナンバー5の蘇鎭世・ロッテスーパー総括会長と共にメキシコ、米国へ出張に出ていたのだ。そのため現時点(6月15日本稿執筆時)で、昭夫会長自身は出国停止等の制限は受けていない。
裏金疑惑をめぐる最重要人物だけに、帰国すれば即座に出国停止となる恐れがある。となると昭夫会長は韓国に戻れない。6月中に日本で開催されるロッテHDの定時株主総会に出席する必要があり、出国停止を受けるわけにはいかないのだ。
昭夫会長は、昨年1月から兄の重光宏之・ロッテHD元副会長との間で経営権争いを繰り広げており、6月の総会は“兄弟げんか”の第3ラウンド。2連勝中の昭夫会長だが、兄がロッテHD筆頭株主で創業家の資産管理会社である光潤社を支配しているのに対し、昭夫会長の株式持分はたったの2%弱。一度負ければ経営の場に返り咲くのは困難で、昭夫会長に敗北は許されない。
Photo:The Asahi Shimbun/gettyimages、YONHAP NEWS/アフロ、AP/アフロ
■骨肉の争いで劣勢に立つ兄が形勢逆転も
裏金疑惑の浮上はお家騒動の新火種となり、劣勢に立つ宏之元副会長にすれば、形勢逆転のチャンス到来。骨肉の争いは今後、どんな展開を見せるのか。予測されるシナリオは三つある。
昨年8月と今年3月に開催された2回の臨時株主総会では、昭夫会長に軍配が上がった。その際に鍵を握ったのが、議決権ベースで約30%の株式を保有する「従業員持株会」だった(下図参照)。
従業員持株会は約130人の会員で構成されている。議案に賛否を示す「議決権の行使」は、理事長ら5人の理事から成る理事会で決議される仕組みで、実質的には、理事長に全権が委ねられている。
現理事長は、昨年8月の総会前に就任しており、“昭夫派”とされる。昭夫会長の逮捕などの大事件でも起こらなければ、6月末に予定される定時株主総会で、昭夫派が勝利する可能性は高い。
昭夫会長は、米国滞在中の14日(現地時間)、記者団に対し、「株主総会は心配していない」と発言し自信をのぞかせる。
ただ、宏之元副会長は3月の総会以降、従業員持株会会員の説得に動き、現在の“宏之派”は「過半数には達せずとも、数十人規模でおり、裏金疑惑後、さらに支持者が増えている」と宏之派の元ロッテ幹部は明かす。
これを受けて、理事長が定時株主総会で昭夫会長支持から翻意するというのがシナリオの一つ目だ。しかし、そうなる可能性は小さいだろう。「理事長は必ずしも会員の意思を反映して投票するわけではない」(ロッテ関係者)のが実態であるからだ。
宏之元副会長は「定時で負けても、臨時株主総会の開催を要請する」構えで、形勢逆転のシナリオとしてはこちらの可能性の方が大きいだろう。
その際の手として考えられるのが「議決権の不統一行使」だ。これは、複数個の議決権を持つ株主が、議案に対して賛否両方の票を投じるもの。宏之派の会員が十分に増えたタイミングで、臨時株主総会が開催され、従業員持株会がこれを行使すれば、議決権を信託された理事長は、会員の賛否の比率に沿って票を振り分けることになる。
実際に宏之元副会長側が不統一行使の要求に出るかは不明だが、会員説得に走っているのだから、行使の可能性が高いと関係者の間ではみられている。
もっとも、臨時株主総会でも昭夫派が勝利を収め、昭夫派体制が継続するシナリオもあろう。
仮に昭夫会長が韓国で逮捕されたとしても、法律上は日本での取締役を続けられる。そのため、韓国財閥に多い、獄中からの指示による“獄中経営”がなされ、刑期を終えた後に昭夫会長が経営の現場に戻るというわけだ。
裏金疑惑により韓国でレームダック化している非常事態でも兄弟げんかが収まる気配はない。ガバナンスが全く効かずにロッテ“解体”という最悪の第4シナリオも否定できない。
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