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1ドル=100円台維持の正念場 米停滞と英国民投票が円高圧力
http://diamond.jp/articles/-/93263
2016年6月20日 田中泰輔(ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー) ダイヤモンド・オンライン
ドル円は100円台にとどまれるか、重大な岐路に差し掛かっている。ドル安円高を招く基本背景は米国経済の鈍化である。米景気の堅調なしには、日本銀行が追加緩和しても、ドル安円高に傾きやすい。日銀のマイナス金利導入という円安促進策でも、米景気減速過程の円高を阻止できなかった。
近年のドル高と世界需要低迷を受け、米国の輸出が鈍化している。原油安でシェール部門の投資が落ち込み、企業投資全体も失速した。この間に急増した企業在庫の調整で、今年第1〜3四半期の米経済成長率は巡航速度の1.75%を下回り、1%前後になる見込みだ。
5月下旬にFRB(米連邦準備制度理事会)の6月再利上げ観測が再浮上し、ドル円が一時111円台まで反発する場面があった。しかし、足元の米景気停滞を勘案すると、利上げを急ぐことは、昨年12月の利上げ前後にも似て、株式や新興国、資源市場の反落を招きかねず、安全通貨としての円を押し上げる恐れがある。
米国経済は必ずしも悪いところばかりではないとの見方もある。失業率は4.7%とほぼ完全雇用状態にあり、賃金に上昇の兆しが出始め、今後インフレ率を若干高めるかもしれない。個人消費は堅調で、原油安でガソリン価格が低下した分、自動車販売も好調だ。だから、インフレと経済成長と雇用を注視するFRBは利上げ志向を保持している。
ただし、これら明るい部分の裾野が狭まりつつある。2、3年前の米景気は、自律回復メカニズムが働き、住宅や企業投資の好調が雇用や消費の改善に連鎖していくと十分想定できた。寒波などで経済成長が落ち込んでも、景気サイクルが終わるはずはないと確信し、ドル円の上昇予想を強調できた。
通常の景気サイクルなら、好況が続くと金利が次第に上がり、それがやがて株価を反落させ、需要を圧迫し、ピークアウトへ向かう。今サイクルは、2009年第2四半期から強力な政策支援を受けて景気回復局面に入り、11〜12年に自律回復力が出始めた。しかし、数年続いた緩慢な景気拡大は、複数回の利上げを待たずに、息切れするかもしれない。
昨年来の米景気停滞が長引く中、企業センチメントが漸次下向いてきたことが危惧される。今後の注目点は、第3四半期にかけて在庫調整が一巡する辺りで、成長再加速への下地が残っているか、それとも、企業心理悪化で雇用頭打ちから消費鈍化に向かうのかにある。
米景気低迷時には、Brexit(英国のEU離脱)のショックが重なれば、安全通貨の円は対ドル100円の節目に一気に絡む可能性も排除できない。自律回復メカニズムにめりはりのない、強弱指標が混在しがちな米景気の評価・予想は今後も簡単ではない。一般の個人は、代表的な企業景況感指標、グラフに示した雇用増減を軸に観察するのが妥当だろう。
*ドイツ銀行グループは英国の欧州連合離脱の是非を問う国民投票の特定の結果を誘導することを意図しておりません。英国国民投票の有権者である読者は、個人の意見に沿って投票すべきと考えます
(ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー 田中泰輔)
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