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マイナス金利でも、外国勢にはおいしい日本国債[日経新聞]
編集委員 滝田洋一
2016/6/12 5:30
坑道で危険を知らせるカナリアの役割を、債券市場が忘れて久しい。財政規律派の市場参加者の歯ぎしりをよそに、日本国債の利回りが低下を続けている。10年債は一時、マイナス0.155%と過去最低を更新した。
米利上げの先送り観測と英国の欧州連合(EU)離脱懸念。国内では6月か7月かと、日銀の追加緩和の時期を巡って、金融市場の思惑が交錯する。いきおい投資資金は債券に向かい、全世界でマイナス利回りの債券は合わせて10兆ドルにのぼる。
そんななか、ドルなど外貨を元手とする外国勢にとって、日本国債は投資対象として、とてもおいしい。彼らは5月に日本の中長期債を1兆円買い越した。4月の買越額が2.7兆円に膨らんだのに続き、高水準となっている。
買いの理由は簡単明瞭。円建てではマイナス利回りの日本国債も、ドルを円に換えて投資する際の利回りが、米国債の利回りを上回っているからだ(グラフA)。
手品のような利回りのかさ上げは、ドル資金と円資金の需要の違いに由来する。「ドル資金需要>円資金需要」。その結果、日本の金融機関や投資家が円を元手にドル資金を調達するためには、外国勢に対し日米金利差に上乗せして、割高な金利を払う必要が出ている。
この金利上乗せ分を「ベーシススワップ」という。1年物の取引を例にとると、日本勢はドルを借りるために、日米金利差に加え0.6%もの金利上乗せを求められている。
こうした金利上乗せはドル資金が逼迫する年末の現象とされてきた。が、グラフBが示すように今や日常化している。その水準は08年のリーマン・ショックや11年の欧州政府債務危機のころに匹敵し、かつ持続している。日本勢による外貨の需要が高まっているのはほかでもない。
邦銀などが海外でドルなど外貨建ての投融資を拡大したからだ。その資金調達は短期市場での借り入れに依存している。直近では、ゆうちょ銀行が外貨建て運用のアクセルを踏んでいる。
それでも、米銀など外国金融機関からスムーズに外貨資金を借りられれば、問題は表面化しなかったはずである。だが金融規制が一段と強化されている折から、外国勢は資金供給の蛇口を絞っている。
その結果、日本勢は金利の上乗せ幅を拡大しないと、ドルなど外貨を調達できなくなっている。一方、外国勢は左うちわで、日本勢から上乗せ金利を得ることが可能になっている。
彼らも日本勢から提供された円資金を遊ばせておくのはもったいない。そこで日本国債を購入している。全体を通してみれば、ドル資金を元手にした日本国債への投資は、利ザヤの稼げる商売になっているのである。
従来もドルベースの日本国債投資には、こうしたメカニズムが働いていた。とはいえ、欧州の国債がプラスの利回りだった局面では、外国勢は欧州の国債を購入していればよく、あえて日本国債を買う必要はなかった。
ところが、欧州の国債の利回りが軒並みマイナスになったことで、絞り出されるように日本国債へと資金が向かいだしたのである。日銀による追加緩和が見込まれるなかでは、外国勢の日本国債投資は一段と拡大する見込みだ。
こうした資金の流れは「日銀のマイナス金利政策を補完し、日本の財政の綻びを繕う役割を果たすことになる」――。そんな指摘も聞かれるが、外国勢の日本国債投資はあくまでも短期的な利ザヤ狙い。
外国勢が労せずして利益を得られる裏側には、ジャパンプレミアム(日本勢の金利上乗せ)に苦しむ邦銀などの存在がある。国債のマイナス利回りは日本の財政にとっても「棚から牡丹餅」だが、その裏側で進む市場のきしみには目を凝らす必要がある。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO03459980Q6A610C1000000/?dg=1
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