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2期連続の巨額赤字に陥ったことを発表するシャープ・高橋興三社長(ロイター/アフロ)
シャープ倒産を視野に銀行が「破綻懸念先」区分に…鴻海との提携失敗との判断か
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15462.html
2016.06.13 文=編集部 Business Journal
シャープの2016年3月期連結決算は最終損益が2559億円の赤字(前期は2223億円の赤字)だった。主力の液晶パネル事業でスマートフォン(スマホ)向けの中小型パネルが苦戦、在庫の評価損など特別損失が膨らみ、312億円の債務超過に陥った。
東証1部企業が債務超過になった場合は2部に降格するというルールに従い、8月1日付で2部に指定替えになる。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による3888億円の出資が完了すれば債務超過は解消できるので、17年には東証1部への復帰も考えられる。
シャープ向けの融資の引き当てをめぐり、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の主力2行の間で対応が大きく分かれた。両行のシャープ向け貸出金は15年3月末でみずほが3246億円、三菱UFJ が3183億円だった。貸出額に大きな差はないが、メインがみずほで、サブが三菱UFJである。
5月19日付日本経済新聞は、両行の債務者区分の変更を次のように報じた。
「関係者の話を総合すると、自己査定結果はみずほが『要管理先』、三菱UFJは債務返済の可能性をより低く見る『破綻懸念先』に引き下げたもよう。これに伴い(三菱UFJは)1千億円弱の不良債権処理費用を計上した。一方、みずほは15年3月期までに前倒しでシャープ関連の貸倒引当金を積み、16年3月期は追加費用を計上しないで済ませた」
銀行は融資先企業ごとに、財務状況や融資の返済状況を勘案して区分を変えている。債務者区分は、次の6つの段階に分かれる。
1.正常先、2.要注意先、3.要管理先、4.破綻懸念先、5.実質破綻先、6.破綻先
要管理先以下がいわゆる「不良債権」に該当する。破綻懸念先とは「経営難で改善が見られず、長期延滞の融資がある企業」のことだ。
■「要管理先」から「破綻懸念先」に格下げ
三菱UFJはシャープを「破綻懸念先」に格下げした。この区分だと、新規融資は困難となる。さらに、できるだけ早く融資を回収しようとするのが通常だ。
三菱UFJの債務者区分の引き下げは今回が初めてではない。シャープは15年3月期の最終損益が従来予想の黒字から一転、2223億円の赤字に転落した。「1年以内の黒字化は難しく、債務超過に陥りかねない」と判断し、債務者区分を「要管理先」に引き下げた。
三菱UFJはそれまではシャープの債務者区分を「要注意先」として、貸倒引当金は貸出金の2%(80億円程度)を積んでいただけだったが、「要管理先」に引き下げたことにより、貸倒引当金を従来比10倍強の1000億円程度(貸出金の28%)にまで積み増した。
この時、シャープの再建に向けて貸出金の一部を株式に振り替える「債務の株式化(DES)」によって1000億円規模の金融支援が行われた。DESを実施した場合、銀行は格付けを強制的に「要管理先」に引き下げることになっているため、みずほもそのようにした。
シャープはDESによって借入金が軽減され、バランスシート上の負債を大幅に減らすことに成功したが、それでも再建できなかった。
今回、債務超過に転落したため、三菱UFJは「破綻懸念先」に債務者区分を引き下げ、1000億円程度の不良債権処理を行った。
前出の日経新聞記事では、「三菱UFJの16年3月期決算の純利益は前の年から約8%減って9514億円と1兆円を割った。仮にシャープの追加費用がなければ、過去最高だった15年3月期の1兆337億円を超える可能性があった」として、シャープの不良債権が三菱UFJの業績にも影響を及ぼしたことを示した。
■鴻海を推したみずほ、距離を置く三菱東京UFJ
シャープは債務超過に転落したのだから、みずほも「破綻懸念先」とするのがセオリーだが、「要管理先」に据え置いた。
シャープと鴻海の資本提携の先行きをどう見るかで2つの銀行の判断は分かれた。みずほは鴻海との提携でシャープの再生は可能と判断し、対する三菱UFJは提携失敗の可能性を債務者区分に織り込んだといえる。
三菱UFJが「破綻懸念先」に格下げしたのは、シャープと資本提携を約束しながら13年春に白紙に戻した鴻海への不信感があるためといわれている。
一方、みずほは鴻海と親密な関係にある。みずほと鴻海が取引を始めたのは2000年。みずほの前身の1つである第一勧業銀行が融資した。規模は小さかった鴻海が成長するにつれ、みずほが主幹事となってシンジケートローン(国際協調融資団)を組成したりもした。その後もみずほは鴻海と親密な関係を維持しており、さらにシャープのメインバンクでもある。
シャープは官民ファンドの産業革新機構と鴻海が激しい争奪戦を演じた。一時は革新機構が有力とみられていたが逆転した。形勢が逆転したのは、16年に入りメインのみずほが鴻海案を支持する姿勢を鮮明にしたからである。これで革新機構から鴻海に流れが大きく変わったといわれている。シャープの再建で、鴻海とみずほがタッグを組むかたちになった。
三菱UFJは、鴻海とは一定の距離を置いているが、しっかりソロバンを弾いている。もし、鴻海の支援によってシャープの業績が回復すれば、債務者区分をプラスの方向に変更できる。そうすれば、すでに処理したシャープの貸倒引当金が戻入金となり、利益として計上できる。「破綻懸念先」は債権の7割を貸倒引当とする。そのため、シャープが「要管理先」に格上げになれば、引き当てた1000億円を利益として計上できるわけだ。日本銀行のマイナス金利の導入でメガバンクの経営環境は一段と厳しくなっている。1000億円の“隠し利益”があれば、もしもの時には業績の有力な下支えになる。
はたして、シャープは死に体なのか。それとも蘇生できるのか。メイン、サブの大手両行のシャープに対する見解の違いは示唆に富んでいる。
(文=編集部)
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