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健康コーポレーション社長の瀬戸健氏
ライザップ社長「超落ちこぼれ」からの成り上がり
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160612-00010001-nikkeisty-bus_all
ＮＩＫＫＥＩ ＳＴＹＬＥ 6月12日(日)9時0分配信
有名人を起用したテレビCMが評判の会員制パーソナルトレーニングジム「ライザップ」。運営している健康コーポレーションは、2016年3月期の連結売上高約554億円と業績も好調だ。明治大学を中退し、弱冠24歳で起業した社長の瀬戸健氏はどのような人物なのか。
◇ ◇ ◇
子供のころは”超おちこぼれ”でした。今でも覚えているのは高校生の時、担任の先生が「世の中、バカな奴が成功するんだ」と言ったら、みんなが「瀬戸や！」って笑ったんですね。普通なら腹が立つ話かもしれないんですけれど、僕は全然、嫌じゃなかったんです。バカも一つの個性だ、くらいに思っていました。
■パン店の末っ子に生まれる
僕は1978年、福岡県北九州市に生まれました。3人きょうだいの末っ子で、実家はパン店を営んでいます。と言っても、ガラスケースにパンが並んでいて、パートのおばちゃんが1人いるような小さな店。軒先にはインベーダーゲームのようなゲーム機が1台、ぽつんと置いてありました。
商売人の息子だから、お小遣いはなし。欲しい物があれば家の手伝いをして自分で稼ぐしかありません。子どもの頃からよく、店のパンを50円で仕入れ、近くのホテルに営業したりしていました。仕入れと言っても、売れた分だけを支払います。残った利益が僕のお小遣いになりました。
貯めたお小遣いで当たりが出るおもちゃを買います。ひとしきり遊ぶと飽きますよね。やってみると、だいたい100回に1回くらい当たりが出るな、というのもわかります。それを元に1回100円の設定にして店先に置きました。そうすると1日10人くらいがそれで遊んでくれるから、1日あたり1000円くらいの売り上げにはなる。
お小遣いをあげない方針に関して、うちの両親は本当に徹底していました。例えば、スーパーに買い物に行きますね、子供だから、買ってほしいお菓子を黙ってカゴに入れたりするわけです。レジまで行ったら、普通は「しょうがないな」となるじゃないですか。でも、うちの両親は違う。止めて「戻してきなさい」って言いますから。「買わない」と言ったら、絶対に買わない主義なんです。
うちは近所でも有名な家族でした。スーパーで「お一人様1ケース限り」のセールがあると、一家総出で買いに行く。実家は駄菓子も扱っていましたが、駄菓子って粗利が2割くらいしかないんです。問屋から卸すよりもスーパーの安売りで買った方が粗利がいいから、そういう場合は、家族6人で1ケースずつ買ってレジに並びます。
子供時代はそんな風に過ごしていましたから、仕入れと販売、粗利の関係についてはごく自然と頭に入っていました。加えて、ものすごいハングリー精神もつきました。欲しいものがあっても我慢して、「いつか買ってやるぞ」と思う。小さいころからそういう渇望感を植え付けられたのは、良かったと思います。
■高校時代の成績は400人中399番
学校の勉強はまったくできなかったですね。高校時代の成績は400人中399番でした。勉強が嫌いということもありましたけれど、勉強する意味を見出せなかった。これはライザップのビジネスにも通じることなんですけれども、意味がわからないことを続けることほどキツいものはありません。ダイエットだってやはり、何か明確な目的がないと続かない。僕の場合、嫌いだった勉強を始めるきっかけは彼女に振られたことでした。
向こうから告白された女の子のダイエットに付き合ったんですが、彼女が痩せたら、振られちゃたんです。振られた理由が、大学生の彼氏ができたから。「大学生ってかっこいいやろ」って言われて、「わかった、じゃあ、俺もやってやる」という気持ちになりました。
それまで勉強ができなくてもなんとも思っていなかったですし、就職もまともに考えたことがありませんでした。けれど、その一言でスイッチが入った。「大学に行ってやる、見返してやるぞ」と火がついたわけです。
男としての意地ですよ。「これで受からなかったら人生終わりだ」と思うくらいに真剣でした。2日間徹夜するのもザラ。カフェインの錠剤を飲みまくり、胃がおかしくなりました。受験勉強している間は、1日20錠以上、飲んでたんですよ。そしたら、動悸息切れまでしてきちゃって（笑）。注意書きを読んだら、飲みすぎると体に良くないってちゃんと書いてあるんですよね。そんな風にして自分を限界まで追い込んだら、明治大学に合格しました。
志望校を決める際、じつは福岡県内の大学にするか、東京の私立にするか、で悩んだんです。周りの人間は地元で固まって、誰も東京へは出て行かない。だから、僕はあえて東京に出ると決めた。ある意味、背水の陣を敷いたようなものです。
あの時、たった1校でも滑り止めで福岡の大学を受けていたら、おそらく、今の僕はないでしょう。人生が変わった瞬間だと思います。
じつは、第一志望は早稲田大学でした。途中までは、早稲田に受かることだけが目的だったんです。結局、そこは落ちちゃったんですが、まったく後悔はありませんでした。自分を限界まで追い込めたことに満足したというか、ここまでやれれば結果はどうあれ、自慢できるなと思ったんです。
ただし、その後はまた目的がなくなっちゃいましたから、大学には行かなくなりました。授業を受けていても吐きそうになるくらい、勉強が嫌だったんです。結局、5年かけて8単位しか取らずに中退。もちろん、学費はアルバイトをして自分で払いました。
◇ ◇ ◇
瀬戸健氏（せと・たけし）
1978年、福岡県生まれ。2003年、健康コーポレーション（7月1日から純粋持ち株会社「RIZAPグループ」に）を設立。06年、札幌証券取引所アンビシャス上場を果たす。M＆A（合併・買収）にも積極的で、会員制パーソナルトレーニングジム「ライザップ」を含む多数のグループ会社を擁する。
（ライター 曲沼美恵）
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