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「偏差値が低いと仕事もできない」ってホント!?〜10ポイント差を逆転するためには、この5つのどれかが必要
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48868
2016年06月10日(金) 山崎 元「ニュースの深層」 現代ビジネス
■実社会に偏差値の差は「ある」
6月に入って就職活動が盛んになり、街角ではリクルートスーツの学生らしき人々を多数目にするようになった。アベノミクスの効果の一つでもあるが、近年、学生の就職環境は大いに改善した。時期が悪くて希望する企業や職種に就くことができない学生が減ったことは喜ばしい。
さて、私事で恐縮だが、筆者は現在、ある出版社と大学生時代をいかに過ごすと良いのかを分析・提案する書籍の執筆について打ち合わせを重ねている。そこで提示されたテーマは「偏差値『10』の差を逆転する大学生生活とは、どのようなものなのか」だ。
企業や官庁に就職するとして、有り体にいって、入学試験の偏差値の高い大学の出身である者と、偏差値の低い大学の出身者との間に「差」はあるのか。あるとすれば、それは、どのようなものなのか。
大学別の入試偏差値は、ウェブで検索すると何種類も利用可能だ。例えば、経済学部について検索してみると、そのうちの一つのページでは、東京大学、慶応大学、早稲田大学、一橋大学などが、概ね偏差値70前後に並び、偏差値60台には、関東圏では俗に「MARCH」(明治・青山・立教・中央・法政)と呼ばれるクラスの大学が並ぶ。
近年、明治大学の評価の向上が目覚ましいが、MARCHの下の方、あるいはその直ぐ下くらいが、東大早慶一橋グループの偏差値「10」下ということになる。
普通のサラリーマンとして働く場合、差はあるかと問われたなら、「確かにある」と答えざるを得ない。
まず、上位校の学生は人気企業の就職において有利である。
有利である理由は、大学入学時点での学力が優秀である者の方が、業務の処理能力が高く、また目標の達成意欲も旺盛な「傾向」があると、長年の経験から採用側では思っているので、出身大学によって学生を選別する傾向があるからだ。
もちろん、同じ大学でも学生によって個人差があり、偏差値下位校の学生でも上位校の学生に遜色のない能力を持つ者もいるのだが、彼(彼女)は、現実に上位校並みの能力を持ち、かつ自分がそうした能力を持つことを採用側の企業に分からせなければならない。
では、実際の仕事の場で、出身大学の偏差値によって、出身者の業務上の能力差はあるか、と問われたら――筆者が経験した金融や商社では、もちろん個人差を捨象してのことだが――実感として偏差値が「5」違うと、「少しだが、確かに差がある」というくらいに感じた。
こうした業種で働くとして、偏差値「10」の差を現実に縮め、あるいは逆転するには、相当の努力が必要だというのが実感だ。
入社後の出身大学による評価や人事上の扱いの差は業種によって異なるが(例えば銀行と証券ではかなり異なる)、日本の組織では「彼(彼女)は○○大学(出身)の××年入社」だというラベルが、長きにわたって個人に付いて回るのが現実であり、業務上示した能力に加えて本人の潜在能力のイメージとして組織内で流通する。
相対的に下位校出身者には厳しい現実だ。
しかし、下位校出身者でも、上位校出身者が多く就職するような会社に就職を決め、敢えて言うなら入社後も「出身校のハンデを超えて」上位校出身者並み、あるいはそれ以上の実績を上げたり、出世を遂げたりする者もいる。
そうした者は、何によってそれを可能にするのか。それが、今回筆者がこれから取り組まなければならないテーマだ。
■偏差値「10」の差の正体
大学入学時点での偏差値「10」の差とは、どれくらいの差だろうか。
筆者の個人的な印象で恐縮だが、ざっくり言って高校生の「2学年分」くらいの学力差であるように思える。
仮に、上位校出身者がそれなりに勉強して下位校を受験したなら高校1年生終了時の学力で合格可能だったろうし、逆に下位校出身者が上位校の合格を目指すとすると一浪では苦しい場合が多く、模範的に勉強して二浪くらいの努力をすれば、合格できるかも知れない。その程度の学力差ではないだろうか。
もともとの学力差は、学業的情報処理能力の差でもあるので、同じ内容の教育を受けて同じ程度に努力した場合、上位校出身者は下位校出身者よりも学業の達成度合いが高いだろう。あたかも、同じ利回りで資金を運用するなら、元本が大きい方が資産額の増加が大きく、両者の差が開くような現象が起こる。
ところで、大学で学ぶような内容がそのまま将来仕事に役立つ訳ではないし、また、上位校出身者の中にも、大学の学業にも熱心ではないし、基礎学力の維持(大学入学時点が人生に於ける能力のピークという者は少なくない)あるいは成長に向けた努力をしない者が少なくない。
ここに下位校出身者が、上位校出身者に追いつき、追い越す大きなチャンスが生じる。
多くの会社は、はっきり言って、経済学の知識に期待して経済学部卒業者を雇うのではない。業務の「処理能力」と達成意欲、性格などを評価して、採用する者を決めているのが現実だ。
次の問題は、大学時代に、世間が評価する「処理能力」は伸びる可能性があるのかだ。
筆者は、大学生時代は、「処理能力」自体を伸ばしうる「可塑性」を持ったほとんど最後の時期ではないかと考えている。本人の向き不向きもあれば、大学入学前の教育・勉強の適・不適もあるが、努力によって、ある程度は能力を改善できる。ただし、その可塑性は加齢と共に年々失われて行くことと、そのペースが案外速いことには注意すべきだ。
基本的な「処理能力」は、大学時代にも伸ばすことができる。大学時代の使い方によって、差を詰めることが可能だし、逆に、上位の者がさらに差を開くこともできる。ついでに言うと、上位の者どうしの差がこの時期に形成される場合がしばしばある。
■競争の要素は「処理能力」だけではない
ところで、会社や官庁の仕事のフィールドでは、個人の基本的な「処理能力」だけで業務の成果や評価に差が付く訳ではない。世間では、競争に複数の要素があり、その組み合わせで成果に差が出ているのが現実だ。
率直に言って、学生にはこの点が見えにくいし、この点にいち早く自覚的になることで、偏差値差「10」のハンデを超えるチャンスが十分生じる。
善悪は棚上げして現実を見るとして、「処理能力」以外の差で、仕事の場で有効に機能し、評価されうる差を挙げると、「対人能力」、「人脈」、「家柄」、「容姿」、「芸」、「資格」、「経験」などだ。
例えば、男女とも素晴らしい容姿はそれだけで偏差値差「10」を超える効果を持つことがあるし、家柄も職種によってはそれだけで就職が可能になりさらに入社後にも大切にされる要素になり得る。ただし、容姿や家柄は変えにくい。
大学時代の時間と努力の投資によって改善が可能な要素として、「対人能力」、「人脈」、「芸」、「資格」、「経験」が考えられる(もちろん、他にもあるかも知れない)。
(1)対人能力
しかし、例えば、「対人能力」による差は仕事の世界で大変大きな影響力を持つ。対人能力に優れた人は、他人の「処理能力」を巧みに使えることがあるし、顧客に対して効果的な対人能力を持っているかどうかは、営業的な仕事において決定的だし、ほとんどの仕事には営業的な要素がある。多くの仕事は、自分の「処理能力」と「対人能力」の組み合わせによって進行する。
また、端的にいって、同じ大学で、同じ程度の成績・容姿・実績の、いわゆる「同程度のスペック」の学生でも、面接技術の巧拙によって、就職活動の成果は大いに異なったものになり得る。
そして、「対人能力」は、先天的に個人差があるとしても、後の努力で改善が可能だ。問題は、学生本人が、そのことに自覚的であるかどうかと、改善のための努力の仕方を知っているかだ。
(2)人脈(=人間関係の集合)
例えば、希望する就職先の社長と個人的に仲良くなることができると、それだけで就職が可能になる場合があるだろうし、社長と直接でなくとも、その社長に対して有効な依頼ができる人物(たいていはかなり年上の大人だろう)と親しければ、就職への道が開ける場合がある。
また、自分が利用可能な良い人脈(人間関係の集合)を持っている人と、そうでない人とでは、仕事の成果に大きな差が付く。
いわゆる「就活」は、学生にとって最初の仕事(自分という商品をセールスする仕事である)のようなものだが、ここでも人脈が役に立つ場合がしばしばある。
人脈は意図的に作ることができるが、作り方、維持の仕方、育て方などを知らなければならない。そのための方法を学生時代から知っているか、仕事をするようになってから知るのか、ではかなりの差が付く可能性がある。
(3)芸
人は、仕事に直接関係のない趣味の領域(「芸」)でも高い達成度を持っている人に対して、尊敬を向けたり、好感を持ったりすることがある。また、共通の趣味が有効な人間関係の形成に役立つ場合があるのも事実だ。
加えて言うなら、芸事であっても、高度な達成度合いを持つ者は、仕事にあっても高い達成意欲をもつだろうと推定することが可能なので、芸の高い達成は人材評価を改善することが十分ある。
「芸」の内容は、スポーツでも、ゲームでも、文字通り芸能でもいいが、偏差値差「10」を埋めるに足る有効性を持つものとなると、その達成度合いには相当に突出した高さが求められる。
分野にもよるだろうが、率直に言って、学生チャンピオンクラスの実績・実力が欲しい。
ただし、そのレベルを達成するためには、相当な時間・お金・努力を「投資」する必要があるだろう。例えば、時間を芸に投資することが有効なのか、勉強や人脈作りに投資する方が有効なのか、投資効率を判断して自覚的に意思決定する必要がある。
(4)資格
資格は、同時に「処理能力」である場合もあるが、学生時代に資格を得ることができると、有効な場合がある。
資格の有効性は、将来目指す業界にもよるが、司法試験、公認会計士、税理士などの独占業務(その資格がないと出来ない業務)を持つ資格は、就職やその後の仕事にそれなりに有効だ。ファイナンシャル・プランナーや中小企業診断士のような資格は、この点で不足があるし、「処理能力」をアピールする上でも中途半端だ。
例えば、金融系の仕事を目指す場合であれば、ファイナンシャル・プランナーよりも、証券アナリスト試験の一次試験を学生時代にクリアしておくことをお勧めする。職種によっては、入社後に受験が必要になるので、この点で先行しておくことは競争上有利だし、処理能力のアピールにもなる。
これだけで、偏差値差「10」を埋めるのは無理としても、「5」くらいあるのではないか。加えて、英検一級(準一級以下はダメ)くらいあると、例えば資産運用業界への就職なら合わせて「10」に近いレベルまで、評価されるかも知れない。
(5)経験(主に仕事の経験)
例えば、学生時代から働いている経験があれば、その分野への就職は有利だ。
学生時代からアルバイトでプログラマーとして働いていた、というのであれば情報関係の就職には有利だろうし、現実にスキルがあれば、入社後にも評価されるはずだ。
また、学生時代に起業にチャレンジしたといった経験も評価の対象になる場合があるだろう。
他方、業務に関係のない仕事でのアルバイト、部活、イベント(学園祭)などの「経験」は、人材評価的には期待薄だと言っておこう。時間と努力を別の分野に投資する方が、人材価値の向上につながる場合が多いのではないか。
この分野に関する考察は、まだ始めたばかりなのだが、大学生時代をどのように過ごすことが、本人の人材価値にとって有効なのかについて、ビジネス上の合理性の立場から検討を加えることは、それ自体がなかなか興味深いし、これからの大学生にとっても有意義であるように思う。
また、ここでは触れなかったが、どの業界(「銀行」とそれ以外など)のどういった会社(例えば外資系の会社)に就職・転職するかといった、「ゲームの場の選択」によっても、自分の持つ資源がどのように作用し、かつ評価されるかが異なるので、人生ゲームは複雑だ。
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