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エコカー減税や家電製品のエコポイントなど、複数の政策が重なった結果、予想以上の駆け込み需要が生まれた Photo:JIJI
需要“先食い”のツケが回った 消費税率引き上げ延期の真因
http://diamond.jp/articles/-/92623
2016年6月9日 加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長] ダイヤモンド・オンライン
消費税率の引き上げが2年半延期されることになった。2014年11月に安倍晋三首相は次のように述べていた。「さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年(17年)4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします」。
また、今年1月10日にNHKの番組で安倍首相は、「今度は前回のような景気判断は行わず、リーマンショック級のような世界的な出来事が起こらない限り、予定通り8%から10%に引き上げていく考えです」と説明していた。
5月26日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で安倍首相は世界経済のリスクを強調した。確かに潜在的なリスクはあちこちに見え隠れするが、年初からの世界的な市場の混乱は、2月上旬に底を打ったという見方が主流だ。原油価格はそれ以降、上昇傾向にある。米国、英国、ドイツ、フランスの主要紙では、今回の日本側の説明に共鳴する論調は見られなかった。
しかも、翌27日にジャネット・イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、「米経済は改善が続いており、成長は上向いているように見える」「ゆっくりと持続的に金利を引き上げていくことは適切であり、おそらく数カ月以内にそれが行われるだろう」と述べた。賃金の伸びが遅いことはイエレン議長も気にしているが、その後発表された4月の米個人消費支出が強かったことから、FRBの利上げは6月か7月かで接戦模様になってきた。
日本政府が消費税率引き上げを延期する本音は、海外経済のリスクというよりも、国内の個人消費が弱い点にあるだろう。ただし、消費低迷の原因は前回の消費税率引き上げだけにあるのではないと考えられる。
複数の政策の影響で、リーマンショックから14年春にかけて「需要の先食い」が日本中で大規模に発生した。エコカー減税や家電製品のエコポイントは、車や家電の買い替えを促進した。続いて、14年3月までに消費税増税前の駆け込み需要が発生した。
その規模が大方の予想を上回った巨大なものになったのは、多くの家計が2回分の消費税率引き上げ(計5%)を織り込んでいたからだろう。また、リーマンショック以降の日本銀行の超低金利政策も需要の「前倒し」を促した。
このように、近年は「将来の需要の先食い」がかなりの規模で発生した。一般的には、時間が経過すれば新たな需要がまた出てくるはずだが、高齢化と人口減少が急速に進む日本社会では、その回復に時間がかかる。それを補おうとして、政府がさらに将来の需要の「先食い」を促す景気対策を実施すれば、いずれまた息切れ感が台頭することになる。
米国の場合は、ベビーブーマー世代の人口を上回るミレニアル世代がいる。さらにその次の世代(ジェネレーションXと呼ばれ始めている)の人口も、より多くなるといわれている。それによる消費のパイの拡大を見越して企業は米国内に投資を行っているが、日本ではそうはなっていない。
また、冒頭で引用したように首相が確約した増税があっさり覆ると、社会保障制度の先行きに不安を感じ、財布のひもを緩めない人も出てくると思われる。今後、政府が財政支出を拡大する場合は、単に需要の「先食い」に注力するのではなく、中長期的な国民の不安を和らげる対策が必要である。
(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
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