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燃料電池車、普及の可能性見えず…広がる「期待外れ感」、販売目標達成のメド立たず
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15344.html
2016.06.03 文=桃田健史/ジャーナリスト Business Journal
ホンダ「クラリティ・フューエル・セル」。埼玉県和光市内のホンダ関連施設にて
■ホンダの新型車は、PHVやEVにも化けるか
ホンダが3月10日、新型燃料電池車(FCV)「クラリティ・フューエル・セル」を発売した。近未来の雰囲気がいっぱいの外観デザインと、高級車のように上質なインテリアで、FCVとして先行発売されたトヨタ自動車「MIRAI」との差別化を明確に打ち出した。
ホンダとしての技術的な特徴は、前モデルまでは車体中央に搭載していた燃料電池スタックを車体前部に移動し、一般的な乗用車のようなパワートレインのレイアウトを実現したこと。燃料セル断面を従来比で20%薄膜化するなどして、燃料スタック全体を33%小型化することに成功したのだ。
また、これはあくまでも「自動車業界内での噂」だが、クラリティはFCVのほかに、プラグインハイブリッド車(PHV)と電気自動車(EV)が登場する可能性があるという。クラリティは当面は官公庁向けなどに限定され、生産台数は年産数百台レベルに止まり、収益性はけっして良くない。それを、同じボディで一般市場向けのPHVとEVに応用するというのは、当然の流れだと考える。「フューエル・セル」が車名に後付けされていることも合点がいく。
大幅に小型化した、ホンダの燃料電池パワーユニット
■市場は、笛吹けども踊らず
こうして、トヨタとホンダから商品が出揃ったFCV市場。これからドンドン盛り上がるかと思いきや、どうもそうした雰囲気が感じられない。これは一般ユーザーのみならず、自動車産業界全体として、いまだにFCVに対して懐疑的な見方が強い。実際、日本の自動車技術の総本山である自動車技術会の春季大会(5月25〜27日:パシフィコ横浜)を取材しても、業界関係者の多くが「FCVの未来は、まだまだ先読みできない」と本音を漏らす。
国はFCVの普及目標として、2020年までに4万台程度、25年までに20万台程度、そして30年までに80万台程度という具体的な数値を掲げている。16年現在では1000台レベルになんとか達しようかという状況で、あと3年程度で一気に4万台まで到達するかどうかの見通しは立たない。
これに対して、「プリウスの事例でも市場投入の初期は少量だったが、その後に飛躍的に普及台数が伸びた」(経済産業省・資源エネルギー庁)との説明を繰り返すばかりだ。
ここで課題となるのが、インフラだ。プリウスのようなハイブリッド車(HV)の場合、新規のインフラ整備は必要なく、ガソリン車と同じ利用環境で対応できる。また、PHVやEVでも、直流急速充電や交流240Vのインフラがなくても、一般家庭や業務施設に交流100V電源は常設されているため、必要最低限のインフラはすでに整備されているといえる。
一方、FCVの場合、燃料は水素であり、水素専用のステーションと、水素の精製し物流させる事業システムの構築が必要だ。国としては、水素ステーションの整備を進めており、2015年度に80カ所だが、20年には160カ所、25年度には320カ所という整備目標を公表している。
こうした水素ステーション整備での課題は、「高い整備費と運営費」だ。現在、一カ所あたりの整備費は約4億円で、欧米の2倍以上の高額だ。その原因は、高圧ガス保安法を主体とした各種の規制緩和が遅れているからだ。同法は本来、自動車を対象としておらず、FCVの登場によって、新たなる解釈と一部法改正が必要なのだ。国は15年を「水素元年」と呼び、こうした規制を関係省庁に横串をさして、積極的に緩和すると明言した。確かに、規制緩和が実行されてはいるが、水素事業の関係者に直接話を聞くと、その多くが
「当初に期待していたほどのスピード感ではない」と語る。
中国ではNEV規制が強化の動き。そのため北汽集団が、北京モーターショーで燃料電池車を公開
■普及への期待は、海外の規制頼みか
こうして、日本国内では先行き不透明なFCV。では、視点を世界市場に移すと普及の可能性が見えてくるのだろうか。
結論を言えば、答えはNOだ。現在、具体的なFCVに関する法整備や普及補助金があるのは、米カリフォルニア州のみ。全米でみると、FCVに対する一般消費者市民からの認知度はまだ低く、具体的な普及策を打ち出そうとしている州は少ない。
また、欧州ではドイツを中心とした欧州では、風力発電や太陽光発電によって水を電気分解して水素をつくり、二酸化炭素を触媒反応させてメタンを合成する実験が進んでいる。こうした過程で、FCVの普及が連動する可能性があるが、その事業規模はけっして大きいとはいえない。
このように、普及について未知数なFCVだが、唯一の可能性は「規制」による普及の後押しだ。この規制とは、アメリカ、欧州、中国でのCAFE(企業別平均燃費)、アメリカのZEV規制法(ゼロ・エミッション・ヴィークル規制法)、中国のNEV(ニュー・エネルギー・ヴィークル)関連の規制、そして地球温暖化対策についての「パリ協定」だ。
皮肉なことだが、FCVの普及には、技術的な規制緩和に加えて世界各地の規制が後押しとなる。つまり、日本国内でFCVの普及を確実に進めるには、日本版のCAFEやZEV規制法など、国から自動車メーカーに対する強制力を発動するしかない。
(文=桃田健史/ジャーナリスト)
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