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増税見送りは当然、財務省の権益拡大を許すな(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/362.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 6 月 02 日 09:16:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

増税見送りは当然、財務省の権益拡大を許すな
http://diamond.jp/articles/-/92304
2016年6月2日 高橋洋一 [嘉悦大学教授] ダイヤモンド・オンライン



■消費増税の2年半見送り
 筆者にとっては当然である


 安倍首相が2017年4月からの消費増税を2年半見送ることを表明した。経済政策として消費増税の延期は筆者にとっては当然である。その理由は、3月24日付け本コラム「増税スキップ・景気対策・追加緩和で日本経済は盤石になる」をご覧いただきたい。


 その中で、2014年4月からの消費増税(5→8%)の失敗の悪影響が継続していることに加え、中国などの海外要因のリスクを書いている。その上で、2017年4月からの消費増税(8→10%)について、消費増税を行う場合と行わない場合、2020年度の名目GDPと基礎的財政収支を試算している。


 それによれば、消費増税を行う場合、名目GDPは570兆円程度、基礎的財政収支対GDPは▲11%程度、消費増税を行わない場合、名目GDPは600兆円程度、基礎的財政収支対GDPは0%程度となる。以上の試算から、消費増税を行わない場合のほうが国民経済にとって望ましいという結論だ。


 安倍首相がどのような考察を行ったのか知るよしもないが、消費増税の見送りの結論は筆者も賛成である。


 なお、筆者が消費増税の見送りだけでなく、財政支出も主張するのは、以下の理由である。


 雇用は金融緩和によって良いパフォーマンスだ。4月の有効求人倍率は1.34倍と24年5ヵ月ぶりの高水準だし、失業率も3.2%まで下がっている。ただし、もっと雇用がよくなる余地もある(5月19日付けコラム「日銀の「失業率の下限」に対する見方は正しいか」)。


 GDP低迷は放置しておくと、そのうち雇用まで悪くなる。低迷の原因を考慮すれば、理論的には、消費減税(8→5%)をするのが経済政策の筋である。ただし、消費税は社会保障目的税とされているので、実際に減税するとなると、社会保障関係予算の組み替え等が必要で実務的・政治的に困難である。


 そこで、消費増税を見送った上で、消費減税と実質的に同じ経済効果となるような財政支出増を行うのが現実的である。筆者試算では、消費増税スキップと30兆円程度の財政支出だ。消費減税(消費増税スキップと財政支出30兆円と効果は同じ)をすれば、2020年度に名目GDPは630兆円程度になるだろう。


■麻生財務相にまで反対させた
 財務省の相当な抵抗


 ところが、財務省は消費増税見送りに相当な抵抗をしたようだ。麻生財務相には、消費増税の先送りを反対させ、「もし、消費増税の先送りをするなら、衆院解散で国民の信を問うべき」とまで言った。


 総理の専権事項である解散権に言及するのは政治家の1対1の場合にはあり得ることだが、麻生財務相は講演の場で「私やら谷垣さんやらの言い分」と言ってしまったのだ。これには、同席していた谷垣禎一自民党幹事長も面食らったのか、ややあわてて取り繕った。


 増税に固執する財政学者のことは、4月7日付け本コラム「増税にこだわる財政学者はどこが間違っているのか」に書いた。筆者は、財政学者が信じる「横断性条件」は認めつつも、会計実務などに明るくない財政学者はその経済的な意味を勘違いしているおそれを指摘している。その結果、財政再建の方法として、増税にこだわりすぎるとした。


 では、そもそも財務省はどうか。財政学者の増税指向気味を対外説明でうまく使って、自らの権益拡大を図っているのではないか。財務省の権益とは、あくまで仮説であるが、歳出権の拡大である。予算は支出できる権利(=歳出権)の塊である。増税は、予算上、新規国債発行額を一定とすれば、歳出権の拡大に作用する。


 簡単な言葉で言えば、予算を膨らませ、要求官庁に配れるわけだ。要求官庁に大きく予算を配ることができれば、要求官庁の関係団体に財務省から天下ることができ、財務省の組織拡大になるわけだ。財務省だけは、会計担当と称して各省の天下り法人にも天下れる。これは予算を握っている財務省だけの特権である。


■財務省の本音が出ている
 財務省のシミュレーションゲーム


 財務省の本音は、最近話題になった、財務省ゲームをみてもわかる。財務省のウェブサイトで「財務大臣になって財政改革を進めよう」というシミュレーションゲームが公開されている。


 筆者は、4月の時点でゲームをやってみた。はじめに一般会計予算の歳出・歳入のグラフが出てくる。「本ゲームでは、財務大臣として財政改革を行い、2020年度までに基礎的財政収支の黒字化を目指していただきます」と説明があり、大臣名を入れてゲームスタートだ。基礎的財政収支は22.7兆円の赤字である。


 社会保障30%減額(7.13兆円減額)、地方交付税交付金30%減額(4.58兆円減額)としてみる。それではまだ基礎的財政収支は赤字で、不安げな様子の人々が出てきて「目標を達成することができませんでした。行政サービスの停滞など、将来世代にさらなる負担を残すことになりました」というメッセージが表示された。


 そこで、大幅な歳出カットに加えて、税制改革30%増額(21.08兆円増額)を選ぶと、人々が笑顔になって「目標を達成することができました。子供たちが将来へ希望を持てる社会に向けて第一歩を踏み出すことができました」となった。財政改革の結果として、基礎的財政収支が黒字になったという内容だ。


■大増税しないとクリアできないし
 それで人々も笑顔の気色の悪いゲーム


 この内容は、大増税しないとゲームがクリアできないし、「大増税して人々が笑顔になるのは気色悪い」とインターネットでも話題となった。


 その後、4月30日付で「4月中にかけて誤った計数が表示されていたため、計数を修正しました」と記載されている。インターネットでクリアできないという批判を受け、基礎的財政収支は修正前の22.7兆円から5.7兆円の赤字へと大幅に下方修正された。


 修正はゴールデンウィーク中なので、財務省も世論を気にしたのだろう。もっとも、5.7兆円というのは、消費増税2%分なので、せめて8→10%への消費増税をやってほしいとの財務省の願望の表れだろう。


 こうした努力のかいなく、10%への消費増税は見送られた。財務省はさぞかし残念だろう。


 いずれにしても、この財務省のゲームと現実との違いは、歳出カットや増税をしても、経済状況が変わらないという前提だ。


 つまり、財務省のゲームは、マクロ経済、つまり経済の拡大・縮小の動きに連動させず、財政の中で足し算引き算をしている。しかし、実際には財政とマクロ経済とは相互に関係しながら動いている。経済学の言葉でいえば、金融政策はなし、税収弾性値ゼロ、財政乗数ゼロとなる。


 ところで、財務省のゲームの前提となっている「歳出カットや増税をしても経済への影響はない」という話は、2014年4月の消費増税の前にも聞かれたことを覚えているだろうか。


■増税しても景気は悪くならない?
 間違っていたことは誰の目にも明らかだ


 当時、消費増税しても景気は悪くならないといった話が、学者やエコノミスト、マスコミなどからさかんに流された。ところが、実際に増税した結果、経済は大きく落ち込み、この話が間違っていたことは誰の目にも明らかだ。


 以上をまとめると、財務省は自らの権益拡大のために、マクロ経済を考慮せずに、強い増税指向である。


 こう考えると、消費増税の見送りを巡る、いろいろな攻防が透けて見える。財務省が、今回の見送りを批判するために、安倍首相が「リーマンショック級のことがなければ消費増税を行う」と明言したことで、公約違反という。


 確かに、安倍首相はそう言ったが、政権発足以来、デフレ脱却を達成するとも公約している。デフレ脱却とは、GDPギャップゼロであり、失業率は構造失業率2.7%、インフレ率2%であろう。


 であれば、消費増税の公約とデフレ脱却の公約のどちらが優先するかという問題である。安倍首相は、デフレ脱却を優先し、財務省は消費増税を優先したというわけだ。


■経済主義の安部首相
 財政再建至上主義の財務省


 これは、両者の経済観の違いである。安倍首相の場合、マクロ経済のパフォーマンスを重要視し、財政は手段である。また、マクロ経済のパフォーマンスがよければ、自ずと財政はよくなると理解している。いってみれば、安倍首相は経済主義といってもいい。


 一方、財務省は、マクロ経済を考えずに、財政こそが目標である。その意味で、財政再建至上主義である。皮肉なのは、財政再建を急ぐばかりに、マクロ経済を悪くして、結果として財政再建の遠回りになっている。


 経済主義と財政再建至上主義ではまったく別の見方になる。今回の安倍首相の増税するのにやらなかった公約違反は、経済主義から見ればたいしたことでないが、財政再建至上主義から見れば許しがたいことだ。


 一方、民主党野田政権の増税しないと言っていたのに消費増税をした公約違反は、経済主義からみれば経済破壊となって取り返しがつかない愚策だが、財政再建至上主義にとってポピュリズムに流されない英断と映る。


 筆者は、財務省OBであるが、経済主義なので、財務省とは没交渉である。ただし、もし財務省から増税するベストな方法を求められたら、次の方法をお勧めする。


 まず、増税しても景気は悪くならない、消費増税を見送ると国債の信認がなくなって国債が暴落するとかのウソはつかない。その上で、金融緩和、積極財政で、経済の過熱をまず起こす。そして、冷やす玉として増税を行うという手順である。これなら、国民の納得する増税であろう。



 

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コメント
 
1. 2016年6月02日 10:42:29 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[1571]

何でも財務省の責任に押し付けるのは間違いだな

実際、年金高齢者など、デフレ志向の国民は相当数になって強力な政治力をもっている


>増税しても景気は悪くならない、消費増税を見送ると国債の信認がなくなって国債が暴落するとかのウソはつかない。その上で、金融緩和、積極財政で、経済の過熱をまず起こす。そして、冷やす玉として増税を行うという手順である。これなら、国民の納得する増税

経済主義的には間違いではないがw

現実には、経済の過熱でインフレが亢進した状況で、消費税増税など国民が認める可能性は0だろう

仮に法人税増税と金利引き上げで抑えつけようとすれば、国債下落と企業利益急降下で、再び不景気と税収不足が悪化し、

さらにGDP比の債務は拡大する確率は高い


いずれにせよ生産性上昇・構造改革(社会保障の抑制=効率化、規制緩和・・)なしでは

少子高齢化が進み、社会保障・環境・安全保障コストが増大する中で国民生活は豊かになどならないよ


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