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(回答先: 消費増税延期で始まるマイナス金利の逆作用 銀行収益ダメージ利払費の軽減効果 投稿者 軽毛 日時 2016 年 6 月 01 日 06:56:39)
山崎元のマルチスコープ
2016年6月1日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
「絶対儲かるうまい話」が本当にあった!確定拠出年金が激変
「絶対」が言える数少ない金融商品
証券マンなら一度は口にしてみたい「絶対儲かります!」が本当に言える。それが確定拠出年金だ
「絶対儲かるので、やりましょう」。証券マンなら一度は言ってみたい禁断の台詞だ。しかし、不確実な結果に対して断定的な判断の提供を禁じる金融商品取引法の下では、恐ろしくて口に出ない台詞でもある。
確定拠出年金は、課税対象となる程度以上の所得のある方なら、掛け金が所得控除の対象になるので、「所得の見込みがあり、税金などの制度が変わらないなら」という条件付きでだが、節税分だけ「絶対儲かる」と言える、ありがたい制度だ。
例えば、課税所得が400万円あり、勤務先に独自の年金制度がないサラリーマンの場合、限界税率(所得税と住民税を合わせて)は20%となるが、この彼(彼女)が個人型確定拠出年金を限度額の上限である年間27万6000円(月額2万3000円)利用した場合、5万5200円が節税できて、確実に儲かる勘定になる。
本当に存在する「うまい話」なのにもかかわらず、有資格者の9割以上が利用していない。実に残念な話だ。
さらに、さる5月24日に「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」が可決成立したので、確定拠出年金の加入資格を持つ対象者が大幅に増えることになった。
これまで、加入資格がなかった、サラリーマン家庭の主婦(国民年金第3号被保険者。拠出限度額年額27万6000円)、会社に企業型の確定拠出年金があるサラリーマン(拠出限度額年額24万円)、加えて企業に確定給付年金も確定拠出年金もあるサラリーマン(注:企業型確定拠出年金に条件あり)と公務員も別途個人型確定拠出年金の加入資格を持つことになった(拠出限度額年額14万4000円)。
専業主婦には所得控除が関係ないとしても、NISA(少額投資非課税制度)同様に運用益に対して非課税になるし、将来受け取る際に年金控除を受けられるので、メリットはある。共済年金の加入者である公務員は限度額が小さいが、それでも小さいなりに「絶対儲かる」仕組みを利用できるようになった。
これは、いずれも個人型確定拠出年金の話だが、何はともあれ、「儲かる話」が利用可能なのだから、そのことをもっと多くの人が知るべきだ。
個人型確定拠出年金が普及していない理由
「儲かるという話は、なるほどそうでしょう。では、個人型確定拠出年金があまり利用されていないのはなぜでしょうか?」という質問は、時々受けることがあるのだが、なかなかしっくり来る答えが思いつかない意外な難問だ。
考えられる要因をいくつか列挙する。
(1) 個人型確定拠出年金が広くは知られていないから。
(2) 制度は知られていても、手続きが面倒だとの印象があるから。
(3) 金融機関が熱心にはセールスしないから。
いずれも関係があろうと思うが、(3)について補足すると、たとえば、確定拠出年金の運用商品は、銀行の店頭で売っている投資信託などと比較すると、販売手数料(2〜3%程度が多い)がなく、運用管理手数料の水準も低いので、金融機関にとって儲けが少ないから、例えば、NISAの場合のように顧客の取り込みのために大いに宣伝を行うモチベーションを持ちにくいということだ。
ただし、確定拠出年金が、金融機関にとってあまり儲かるものではないということは、顧客である投資家にとっては、より健全で好ましい運用サービスだということだ。ここでも最終的な問題は、個人の側の知識ということになる。
確定拠出年金が得になることが広く知れ渡り、多くの加入者が集まるようになれば、金融機関としても儲かるようになるので、今後、彼らが力を入れる可能性はある。確定拠出年金の資産は、原則として60歳まで引き出せないので、大変安定しているから、一定以上の規模を確保できた後は、金融機関・運用会社にとって、安定的で魅力的な収益源になり得る。
「地雷」に注意!確定拠出年金利用のコツ
個人型の確定拠出年金を利用する際に注意したいのは、使いたい商品のある運営管理機関を選ぶことと、金融機関が手数料稼ぎのために仕込んだ「地雷」のような商品を選ばないことだ。
個人型の確定拠出年金では、どこの金融機関(「運営管理機関」という)が提供するサービスを使うかを自分で選択する必要がある。この際に重視すべきは、適切な運用選択肢がラインナップされているかだ。
「地雷」を避けることにも関連するが、(1)外国株式と国内株式のインデックスファンドが用意されていることを確認し、(2)その手数料水準を相対比較して安いものを提供している運営管理機関を選ぶ、という手順で選ぶことが概ね適切だ。
筆者は、確定拠出年金の解説書(『確定拠出年金の教科書』日本実業出版。6月9日発売予定)を執筆した際に、企業型の確定拠出年金を導入している企業グループ3社と個人型の確定拠出年金の運営管理機関2社の、合計5種類の商品ラインナップを調べてみたが、商品数が少なくてシンプルな商品を並べた企業型の一社を除くと、いずれのラインナップでも、株式のアクティブファンドや、「ターゲットイヤー型」などと銘打ったバランスファンドに、確定拠出年金の運用には不適切で、同時に金融機関が手数料稼ぎのために仕込んだのだろうと推測される「地雷」が含まれていた。
「地雷」の主な特色は、(1)シンプルなインデックスファンドでないこと、と(2)運用管理手数料が高いこと(年率0.4%以上は「高い」)の二点だ。
大いに注意してほしい。
詳しい説明は別の機会に譲るが、確定拠出年金利用の基本となる考え方を三原則にまとめると、
(原則一)確定拠出年金は、可能な限り「大きく」使う、
(原則二)確定拠出年金は、自分の運用の「一部として」扱う、
(原則三)運用商品は、手数料が安くて「シンプル」な物選ぶ、
となる。
税制上有利な制度なので、経済的に可能な範囲内で、なるべく大きな金額で利用すべきだ。
また、確定拠出年金の中だけで運用方針を決めるのではなく、自分の運用全体の中の一部を確定拠出年金に割り当てると考えると、確定拠出年金で選ぶべき運用商品は論理と計算で決定できる。
ある程度以上の運用資金がある個人の場合、確定拠出年金では外国株式(先進国株式)のインデックスファンドを選択し、NISAではTOPIX連動型のETF(上場型投資信託)に投資することから考えると、早く正解にたどり着くケースが多いはずだ。
また、リスクを取りたくないお金に関しては、確定拠出年金とは別の課税口座で「個人向け国債の変動金利10年型」で運用するのがいいだろう。
内外の株式のインデックスファンドと個人向け国債(変動10)の3点セット「だけ」で運用を考えて、確定拠出年金やNISAといった税制上有利な仕組みを最大限に利用することが、個人が「地雷」を踏まずにお金を運用するコツである。
確定拠出年金改正、次の要望事項
今回行われた法改正は、確定拠出年金の対象者を大幅に広げる画期的なものだったが、次の機会に期待したい要望事項を一つだけ述べておこう。
それは、加入資格の70歳までの引き上げだ。
政府は経済政策の一環として高齢者の労働参加を促進しようとしているのだし、確定拠出年金ビジネスに参入した金融機関がなるべく早く採算が取れるようにするためにも、所得と金融資産を持っている「働く60代」を確定拠出年金の世界に取り込むことが適切だ。
不都合は何もないと思うので、早急に実現してほしい。
http://diamond.jp/articles/-/92231
2016年6月1日 八代尚宏 [昭和女子大学特命教授・現代ビジネス研究所所長]
増税の代わりに社会保障費削減断行で「シルバー民主主義」に切り込め
八代尚宏 昭和女子大学グローバルビジネス学部特命教授
日本にはびこる「シルバー民主主義」。消費増税は、これに立ち向かうきっかけになるのでしょうか
安倍政権は消費税率の10%への引き上げを先送りしました。その根拠として世界経済の先行き不安があげられていますが、それが東京オリンピックに近づけば改善するという保証はありません。2年半後という時期は、次の参議院選挙後という政治的な都合にもとづいています。
OECDによれば、日本の財政赤字の大部分は、景気循環ではなく構造的な要因にもとづいています。それは主に高齢化で社会保障給付費が増える一方で、低迷する賃金に比例して社会保険料が横ばいであることのギャップから生じています(図)。これは一般会計からの補助金で賄われており、それが年々拡大することが一般会計赤字の主因となっています。
このように、社会保障収支の赤字額が、長期的に国債発行額とほぼ同じ水準となっていることは、「借金に全面的に依存した社会保障」という日本の悲惨な現状を示しています。元々、日本の財政法では、国債を発行してよいのは、国の資産として残る公共投資の場合のみと明記されていますが、それが長年にわたって無視されているのが現状です。
その意味で、単に増税の先送りだけで済ますという選択肢はあり得ません。現在の正しい政策課題は、増税をするか否かではなく、持続的な増税か社会保障費削減かの二者択一しかありません。
今回、定められた2年半の消費税凍結期間は、シルバー民主主義に対抗して、これまで聖域とされてきた社会保障費への切り込みを早急に検討するための機会として活用する必要があります。
年金改革の基本は
受給開始年齢の引き上げ
社会保障費の約半分を占めるのが公的年金です。これは実質的には政府が運営する年金保険ですが、独立の事業体ではないため、「給付は多く、負担は少なく」のシルバー民主主義に翻弄され続けてきました。このため、高齢化で増え続ける将来の受給者への支払い債務に見合う積立金が大幅に不足しています。それが人々の年金不安をもたらすひとつの原因となっています。
この主因は、日本人の平均寿命が男性80.5歳、女性86.8歳と、世界でもトップクラスに高まったにもかかわらず、それに見合って年金の受給開始年齢を引き上げられなかった「政策の不作為」です。他の先進国では、すでに男性で67-68歳と、平均寿命までの年金受給期間を10年程度に抑制しています。日本では2025年に65歳への引き上げを決めていますが、これでは男性で約16年間、女性で約22年間も受給することになり、年金財政を維持できません。
それにもかかわらず、厚生労働省は65歳以上への受給開始年齢引き上げに否定的です。しかし、その代替策として、毎年の年金額を減らしていくマクロ経済スライドは、とくに基礎年金しかない高齢者にとって大きな負担となります。
年金財政悪化の主因が平均寿命の伸長にある以上、高齢者がそれだけ長く働き、税金や社会保険料を払い続けることが、勤労世代の負担増を抑制する、最も効果的な手法です。
現行の高齢者人口比率の高まりに比例して年金額を引き下げる窮乏化方式よりも、平均寿命の伸長にスライドした年金受給年齢の引き上げの方が、高齢労働者を増やすことで、少子化社会にふさわしい政策といえます。
同一労働同一賃金で
高齢者の就業促進を
年金の受給開始年齢の引き上げは、同一労働同一賃金原則等、労働市場改革と一体的に行われる必要があります。高齢者の就業を妨げている障壁のひとつに、過去の高い経済成長と若年者中心の労働市場を前提に形成された日本の雇用慣行があります。
長期雇用保障や年功賃金の慣行は、高成長の下で労働者が慢性的に不足する状況で、企業が熟練労働者を逃がさないために自然に形成されました。それを現在の低成長経済の下でも維持しようとすれば、不況期に正社員の雇用を守るために、その調整弁としての非正社員が不可欠となります。
年功賃金は、年齢とともに高まる生計費に見合った労働者のための仕組みとされています。しかし、それは同時に、一定の年齢になると無条件で解雇される定年制と不可分の関係にあります。この定年制は、貴重な労働力の浪費であるとともに、主要な先進国では「年齢による差別」として禁止されています。
同一労働・同一賃金の原則化は、非正社員との賃金格差の是正だけでなく、正社員にとっても大きなメリットがあります。定年前から、同じ仕事なら同じ賃金の職務給では、何歳になっても働き続けられるからです。
企業の組織が持続的に拡大していた過去の高い成長期には、個人の職務に応じた賃金を明確に定めるよりも、年功賃金を保障し、新しく誕生する職務に弾力的に配置する方が、企業にとって合理的でした。しかし、今後の低成長期には、職務概念を明確にし、企業間の雇用の流動性を高めることが望ましいといえます。雇用や解雇のルールを、法制上、明確に定めることが、労使間の個別紛争防止のためにも必要な時代となっています。
高齢者医療費の抑制は
家庭医の活用で
今後、急速に増える高齢者は、病気にかかりやすく、医療費の傾向的な増加要因となります。しかし、従来のような患者自己負担率の引き上げや、診療報酬の画一的な引き下げで対応することには限界があります。
他の先進国と比べた日本の医療制度の特異性のひとつに、患者の医療機関の選択があまりにも自由なことがあります。これは、とくに時間に余裕のある高齢者が、診療所をいくつも受診でき、検査や投薬の重複等を通じた医療費の増加の要因となります。また、どの診療科に行くべきかを、患者が勝手に判断することは、誤った治療が行われるなど危険な場合もあります。
これに対して多くの先進国では、患者は救急の場合を除き、予め登録した家庭医を、まず受診しなければなりません。この家庭医はほぼ9割近くの患者に対応します。また、他の専門医や病院に紹介状を書くことで、病院と診療所との効率的な連携ができることになります。
複数の疾患を持つ場合が多い高齢者にとって、個々の臓器別ではなく、患者の精神状態も含めて総合的に判断する家庭医が増えることは、医療の質を向上させるカギとなります。また、同時に病気を予防することで、医療費の節約にも大きな効果があります。
これまで長らく専門医としての家庭医が認められなかった日本では、その養成コースを持つ医学部を増やすことに最重点を置く必要があります。
社会保障費抑制は
格差拡大に結びつかない
日本では、社会保障費を抑制すれば所得格差が広がるとして、現行制度の改革に批判的な見方が多いようです。
しかし、所得格差の是正に有効な生活保護等、福祉支出の比率は、社会保障費全体の1割に過ぎません。その9割は、中高所得層も対象となる年金や医療・介護保険の費用です。これは福祉が全体の3割以上を占めており、低所得層への所得移転効果の大きな欧州諸国との大きな違いです。日本でも、年金や医療の保険費の増加分を抑制し、それを福祉に回せば、限られた社会保障財源の下でも、所得分配の改善が可能です。
例えば、日本の生活保護費の約半分は医療扶助です。これは生活保護者が、地域の国民健康保険に加入できないために、代わりに福祉事務所が医療券を配布する仕組みです。これを介護保険のように、生活保護者も医療保険に加入できるようにして、その保険料や自己負担分を保護費でカバーする仕組みにすれば、保険者の医療費チェック機能が働きます。また、不足している住宅補助等、他の保護費を増やすこともできます。こうした社会保障費の効率的な配分を阻んでいる一つの原因は、厚生労働省内の縦割り行政にあります。
今回、消費税10%への引き上げ公約が実現しなかったことは残念ですが、これを契機に、現行の借金に全面的に依存した社会保障制度改革への工程表を明確に示すための検討会を、総理の直属の機関として設ける必要があります。仮に、苦労して増税しても、それを現行のままの社会保障費の増加に使うことしか考えない、近視眼的なシルバー民主主義を克服することが、責任ある政権の役割です。
http://diamond.jp/articles/-/92233
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