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世界の有力銀行、グローバルな野望を縮小 成績低迷ヘッジファンド業界、流れ変わるか 中国の銀行、新たな資金源が必要な理由
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 6 月 01 日 00:09:37: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

世界の有力銀行、グローバルな野望を縮小
1998年にトラベラーズとシティコープの合併を発表、シティグループの誕生をもたらしたサンフォード・ワイル氏(左)とジョン・リード氏(1998年4月、ニューヨーク)  
By JUSTIN BAER AND MAX COLCHESTER
2016 年 5 月 31 日 16:24 JST

 18年前、サンフォード・ワイル氏は銀行にとって新しい時代の幕開けを宣言した。

 当時トラベラーズ・グループの最高経営責任者(CEO)だったワイル氏は、ジョン・リード氏率いるシティコープとの合併に合意した。これは世界初の金融スーパーマーケット、シティグループの誕生へとつながった。

 ワイル氏は必ずやってくる将来の難局に関して問われ、「わが社は多角化を進め、多くの異なる地域に業務展開することで耐えられるだろう」と1998年4月に語っていた。

 シティグループは今も存続している。しかし、ワイル氏やリード氏が示したような地球規模で展開する銀行モデルへの自信は失われつつある。

 その後20年近くにわたり多くの国や事業へと拡大路線を進めたグローバル銀行だが、現在は撤退を余儀なくされている。多くの銀行にとって世界の全顧客に包括的に対応する戦略はもはや有効でなくなったからだ。

 経営コンサルティング会社マッキンゼーがウォール・ストリート・ジャーナルのためにグローバル銀行10行を対象に行った調査では、こうした銀行が2008年に平均65カ国で業務展開していたことが判明した。しかし、昨年にはこの数が平均55カ国に減少した。また、マッキンゼーの調査にはシティグループは含まれない。シティグループはここ数年で20国以上の個人向けリテールバンキング事業から撤退する計画を示している。

 こうした勢いは今年に入って加速した。英バークレイズがアフリカ事業の大半を売却すると明らかにしたほか、英HSBCホールディングスはブラジルから手を引く。これは同社が11年以来撤退した世界の約83の事業の一つだ。

 03年にCEO職から退いたワイル氏は、今でもグローバル化に価値を見いだしている。

 「経済はグローバルなビレッジで、われわれはこれを結ぶグローバルな金融機関を必要としている。例えば、通信システムが地域限定で接続性に乏しければ、あまりうまくは行かないだろう」とインタビューで述べた。

 こうした見解は今や主流派ではなくなった。アナリストはJPモルガン・チェースやシティグループの分社化を提唱しており、「大きすぎる銀行」の問題は大統領選の遊説で頻繁に取り上げられる議題になっている。

 グローバル銀行は、当初は高収益に期待する投資家に促されて業務拡大に取り組んだ。銀行はさまざまなサービスを提供することで資金を節約できるとの見方から多くの異質な業務を手がけた。多角化を通じて、このビジネスモデルは規模が安全性をもたらす唯一のものだとの印象を与えた。

 キーフ・ブリュエット・アンド・ウッズ(KBW)の調査ディレクター、フレッド・キャノン氏は「金融危機がこの論理を無効にした」と述べた。KBWは金融機関を専門とするブティック型投資銀行。

 投資家は現在、巨大で不透明な財務内容は理解することができないと苦言を呈している。大型で多国籍な銀行はまた、当局から「グローバルにシステミック」な企業とみなされ、数十億ドルもの資本を引き当てることが義務づけられるようになった。

 グローバル銀行の株主資本利益率(ROE)は金融危機前には平均14%だったが、現在は平均7%前後と半減している。

 投資家はまた、企業トップが複数の国や事業群にまたがる業務全体をコントロールできなくなったことを懸念する。

 金融危機前に英ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)を総資産で世界最大の銀行へと成長させる取り組みを推進したジョージ・マシューソン氏は、今ではグローバル規模で多角化された銀行は絶滅すべきだとの考えを持つ人の一人だ。

 「私はユニバーサルバンキングを信じていない」とするマシューソン氏は「カルチャー面のリスクが大きすぎるということに尽きる」とインタビューで述べた。

 マシューソン氏が06年に同行を去ってから2年後には、RBSは英国政府による救済を受けた。現在も国が過半数株を保有している同行は、業務を英国に戻し、投資銀行業務からはほぼ撤退している。

 同氏は解決策がインベストメントバンキングとリテールバンキングとの業際分離にあると考えている。これは実質的に預金や融資を扱う平凡な事業と高リスクの事業とを分けることを意味する。

 それは米大統領選の民主党候補指名をめぐって争うバーニー・サンダース上院議員が提唱するアイデアでもある。サンダース氏はグラス・スティーガル法の再制定を掲げた法案を共同で提出した。グラス・スティーガル法は、大恐慌時代に施行された投資銀行活動と商業銀行および消費者金融業務との分離を定めた法律。

 その一方で、グローバル銀行のビジネスモデルを熱心に擁護する者もいる。中でも際立つのが、以前はワイル氏の配下にあった経験を持ち、現在はJPモルガンを率いるジェームズ・ダイモン氏だ。

 JPモルガンは大半の同業他社よりも金融危機をうまく乗り切ったほか、その後の収益でも多くのライバルをしのいでいる。総資産で米国最大の銀行であるJPモルガンは、現在も100カ国以上で事業を展開している。

 ダイモン氏は4月に株主宛て書簡で、「われわれがこうした国々で業務を営む理由は、単にわれわれの商品を販売できる新しい市場だというだけではない」と述べ、こうした国に展開する政府関連機関や多国籍企業との商機を得ることによる「巨大なネットワーク効果」に言及した。

 同氏は、JPモルガンが一国で手がける事業に占める現地の比率は平均するとわずか40%で、残りは国境を越えた助言、資金調達、その他のサービスになっていると述べた。

 一方で、ダイモン氏は、JPモルガンがマネーロンダリング(資金洗浄)対策上の理由から世界各地で多くの顧客との業務から撤退したことを認め、「われわれが失敗した際の膨大な法的リスク」にも言及した。

 国際決済銀行(BIS)の13年の調査によると、収入源の多角化は銀行の株主資本利益率(ROE)を高めるが、この効果はある程度までに限られるという。ROEは銀行の収益性を示す主な指標。また、この調査は多角化の利点が金融危機後に大幅に薄れたことを示した。

 別の調査では、大手銀行の幅広い業務範囲において遠隔地の業務から得る収益が平凡であることも判明した。モルガン・スタンレーとコンサルティング会社オリバー・ワイマンのリポートによると、投資銀行の過去20年のセールスとトレーディング収入全体に占める地域間の活動の比率は20〜25%にとどまったという。このリポートは、グローバルバンキング収入の大半は5〜10の大型都市で主に少数の有力な多国籍顧客から上げられていると指摘した。

 ワイル氏は、グローバルな帝国を築いたことを後悔していないとし、合併後のシティグループの利益が1998年から2003年までに3倍以上増加したことを指摘した。しかし、今後「敵対的な規制環境」の時期が訪れ、ビジネスモデルの有効性が保たれなくなる可能性があることを認めた。

 また、米国の政治情勢については「大して良くなっていない」と述べた。

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成績低迷ヘッジファンド業界、流れ変わるか?
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PHOTO: PIXABAY
By LAWRENCE C. STRAUSS
2016 年 5 月 31 日 08:38 JST
• 年初来のパフォーマンスは広範な戦略で低迷

 2016年も半ばに差し掛かる中、ヘッジファンド業界はパフォーマンスの低迷に苦しんでおり、ネット解約額は第1四半期だけでも150億ドルに及んでいる。こうした中、業界内から状況を分析する動きが盛んになっている。ファンド・オブ・ヘッジファンズのエバンストン・キャピタル・マネジメントの最高経営責任者(CEO)兼最高投資責任者(CIO)であるアダム・ブリッツ氏は、「センチメントは極めて悪い。ノイズや誇張された部分もあるが、一部は正当なものだ」と語る。

 年初から4カ月間のパフォーマンスをみると、S&P500指数の1.73%上昇に対してHFRI資産加重総合指数は約2%下落している。さらに、パフォーマンスの低迷は広範に及んでおり、ヘッジファンド・リサーチによると、株式ヘッジ、イベント・ドリブン、マクロ、レラティブ・バリューの同社の四つのカテゴリー全てで、第1四半期に資産加重ベースでのリターンはマイナスとなっている。

• パフォーマンスの低迷は、金融危機以降のロックアップの緩和も要因にある

 ヘッジファンド業界の低迷には大きな関心が寄せられているが、投資家に対するロックアップ(解約制限期間)の緩和が一つの要因となっていることはあまり注目されていない。ロックアップ緩和の動きは、2008〜2009年の金融危機がきっかけとなった。当時、ロックアップにより一部のヘッジファンドでは、投資家が1年、あるいは2年にわたり一切資金を引き出せない事態に陥った。ロックアップは1回当たりの償還額を制限するゲート条項とともに、パニックに陥った投資家による解約を防ぐものであるが、金融危機後にはこうした制限に対する不満が投資家の間で高まった。

 調査会社シンプリファイのブライアン・シャピロCEOによれば、金融危機以降には多くのヘッジファンドでロックアップとゲート条項が緩和されたが、「ヘッジファンドは機関投資家を満足させるために、自ら墓穴を掘ることになった」という。同氏は、ロックアップの緩和により、ヘッジファンドはより多額のキャッシュの保有と投資期間の短縮を迫られることになったと指摘する。

 また、ヘッジファンドの総運用資産が1970年の10億ドル強から現在までに約3兆ドルに拡大する中、同一の投資アイデアに多額の資金が集まるようになったことも、業界の低迷の一因だ。

• パフォーマンスには改善の兆しも

 ただし、誰もが悲観的な見方をしているわけではない。前述のブリッツ氏は「ヘッジファンド業界が衰退しつつあるとは考えていない。有能なヘッジファンドマネジャーには役割がある」と述べる。同氏は、最近数カ月のリターンからみて状況は安定・改善している模様で、銘柄選別による戦略ではパフォーマンスが改善し始めていると指摘している。

 HFRI資産加重総合指数は3月と4月にそれぞれ1%上昇と、年初の2カ月からパフォーマンスが改善しており、5月は横ばいが見込まれている。同期間にはアクティビスト・ファンドに加え、原油価格に回復の動きが見られる中、エネルギーファンド、素材ファンドのパフォーマンスが好調だった。

 ブリッツ氏は、特にディストレスト・クレジット戦略に投資機会があるとみている。同氏は、借り換え難などによるデフォルト率の若干の上昇に伴う高利回り債の価格低下を予想し、エネルギー企業を中心とした信用力の弱い企業の債券にショートの機会があるとみている。

 あるベテランのヘッジファンドマネジャーは、業界が今後どのような状況になるかはパフォーマンス次第であると述べる。このマネジャーは、「資金はそれが最も適切に扱われるところに向かう。高いパフォーマンスを達成することができなければ、高い手数料を受け取る資格はない」と語るが、ヘッジファンドにとって高パフォーマンスの達成は、「言うは易く行うは難し」だろう。
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中国の銀行、新たな資金源が必要な理由
預金の伸びが鈍化するなか信頼性の劣る債券市場に依存
預金の伸びが枯渇するなか、中国の銀行は資金源として信頼性の劣る債券市場に目を向けている ENLARGE
預金の伸びが枯渇するなか、中国の銀行は資金源として信頼性の劣る債券市場に目を向けている PHOTO: REUTERS
By ANJANI TRIVEDI
2016 年 5 月 31 日 18:34 JST

 川が干上がり始めれば、どこか他で水を探し始めなくてはならない。

 これこそまさに中国の大手銀行が最近行っていることだ。従来の資金源である預金の伸びが鈍化するなか、大手行は今年に入り、債券市場で700億ドル(約7兆7800億円)を超える資金を調達した。調査会社ディールロジックによると、これはこの時期の年初来の数値としては少なくとも1995年以来の最高額であり、過去最高だった昨年全体の発行額の40%に達している。

 預金の伸びが融資以上に速いペースで鈍化するなか、中国の銀行の預金に対する貸し出し比率を示す預貸率が徐々に上昇している。中国政府は昨年、預貸率の上限を75%に定めていた規定を撤廃。それを受け、中国大手行の多くで、預貸率は昨年末時点で72%に上昇した。一昨年末は69%だった。

 預金の鈍化を受け、中国の金融機関は市場を通じた資金調達に頼りつつある。それはコストが変動しやすくなることを意味する。中国のインターバンク債券市場では利回りがここ数週間に急上昇し、世界の資本市場ではボラティリティが高まっている。

 預金による資金調達コストは約1%だが、中国国内のインターバンク債券市場での資金調達コストは2.5%近く、世界の資本市場で調達すれば約3%に上る。問題は、これらはすべて、低金利と信用コストの上昇によって縮小している銀行の純利ざや(NIM)にさらなる打撃を与えることだ。

 新たな資金源を探すことは、中国の銀行にとって苦しい調整となる可能性がある。既に、投資家はかつてほど中国の銀行への資金提供に積極的ではなくなっている。

中国の大手4行の預金に対する貸し出し比率を示す預貸率の推移 ENLARGE
中国の大手4行の預金に対する貸し出し比率を示す預貸率の推移
 中国の銀行は資金調達を維持する他の戦略も講じている。例えば、預金をより長期間固定する一方、資産の質の悪化に対処するため融資期間を短くすることだ。しかし、そうしたやり方でも銀行の利ざやは浸食される。

 もちろん、こうしたやり方ではすべて、銀行のバランスシートの中身が問われるだけだ。銀行は利ざやの縮小を受け、簿外の理財商品の発行を増やしている。こうした商品では消費者から調達した短期資金が債券や株といった資産に投資される。こうした資金調達のリスクがさらに高いことは間違いない。

 銀行が安全性の劣る資金源からの資金調達を強いられるなか、彼らにとっては「水の価値」を知ることが役に立つ。

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