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絶対買ってはいけない! 銀行窓口で平然と売られている「ボッタクリ」金融商品 金融庁の正論に銀行は反発してる場合か?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48767
2016年05月27日(金) 山崎 元「ニュースの深層」 現代ビジネス
■銀行の反発に大義なし
5月25日の『読売新聞』(朝刊)に、「保険手数料開示見送り 金融庁」、「銀行窓口販売 地銀『収入減』反発受け」という見出しの記事を見つけた。
筆者なりに内容を要約すると、銀行の窓口で売られている保険の手数料を顧客に開示すべきだと考える金融庁に対して、手数料を開示すると保険が売りにくくなり、手数料収入が減ることを理由に地銀などが反発しており、金融庁は今年10月の導入を見送るけれども、引き続き手数料開示の実現に向けて業界に働きかける意向だ、という趣旨の記事だ。
金融庁によると、投資信託の販売手数料が2〜3%なのに対して、例えば、外貨建ての貯蓄性保険の場合4〜9%と手数料が割高なのだという。
銀行としては、マイナス金利政策の下で貸し出し・運用の利回りが低下する環境下で、預金を集めても儲かりにくい。販売するだけで、これだけの手数料を稼ぐことができるなら、ぜひこの種の保険を売りたいと思うだろうし、現実に、この種の保険が売れて、収入源になっているから、銀行が反発している、という構図だ。
結論を率直に言おう。
本件は金融庁の主張が全面的に正しい。金融庁がせっかく消費者の立場に立って、不健全な販売を正そうとしているのだから、一般消費者は、金融庁を大いに応援すべきである。
販売する側が得る手数料が4〜9%という水準は、金融商品として、率直に言って「ボッタクリ」のレベルだ。
こんな手数料の商品を売らなければ延命できないような銀行など、さっさと潰れてしまえ! と言いたくなるところだが、たちの悪い利益を上げているのは銀行だけではないし、この商品と販売が違法ではない以上、行政は彼らをフェアに扱いつつ、行動を改善しなければならない。
では、銀行窓口で販売している保険の販売手数料を開示せよ、という要求はフェアだろうか。
保険の手数料開示は、投資信託の手数料開示とのバランスから考えても完全にフェアであり、消費者保護の立場からも絶対に必要だというのが、筆者の意見だ。
■サヤ抜きと手数料キックバックの構造
銀行窓口で販売されている保険は、主に保険料を一括で支払う一時払いのタイプのものだが、販売金融機関が販売の対価として受け取る手数料は、顧客からは見えない。
金融庁の森信親長官が『文藝春秋』(5月号、p146〜。「銀行は『半沢直樹』を見習え」、取材・構成 浪川攻)に掲載されたインタビューで説明している例を借りると、例えば、豪州ドル建ての運用が定額部分と変額部分に分かれていて、定額部分は豪ドル建てで元本を保証するような保険が売れているという。
この保険について、金融庁の検査官の調査によると、定額部分は豪州国債等を使って1%で運用できればいいのだが、実は豪州国債の利回りは2.5%で、保険会社側は年率1.5%のサヤを抜いており、これが期間10年だとすると、15%の儲けとなる。これを保険会社と運用会社とでほぼ折半してそれぞれ儲けている、といった構造になっているという。
この例では、保険会社は10年間にわたって利益を得るが、銀行に対しては6〜7%(森長官の説明による)程度の手数料を陰で支払う(「キックバック」する)ビジネスの仕組みになっている。
こうした保険では、顧客に保険期間の中途で解約されると、保険会社が儲け損なったり、赤字になったりするので、中途解約に対しては、契約期間に応じてペナルティが課される仕組みになっているのが通例だ。
森長官は「お客様からすれば、豪州国債をそのまま買った方がお得なのに、情報を十分ディスクローズ(開示)していない。これって、とても失礼なことですよね」と述べている。
まさに、「おっしゃる通り!」であり、銀行の窓口で売っている、一時払いの保険など決して買うべきではない。
ちなみに、投資信託では、例えば販売時に3%(税抜き・以下同)の販売手数料が掛かり、これに加えて、運用管理手数料が年率で1.5%掛かるといった手数料の内訳は顧客に開示されている。
さらに、運用管理手数料の内訳として、顧客の投資の残高が維持されている期間に応じて投信運用会社から販売金融機関に「キックバック」される手数料率(名目は「代行手数料」。例えば年率0.7%)も開示されている。
つまり、顧客は、自分が投資信託を購入する銀行が、いったい自分から幾ら儲けているのかを知ることができる仕組みになっている。
販売手数料が3%、運用管理手数料が1.5%もあるような投資信託を買うことは「全く、合理的でない」(乱暴に言えば「バカだ」)と筆者は断言するが、この種の投資信託も裸足で逃げ出すくらいの分厚い手数料を取る保険が、顧客に対して手数料を開示せずに売られているのが現状なのだ。
■保険の手数料開示が必要な理由
保険商品にあっても、手数料の開示が必要な理由を整理しておこう。
まず、保険料の中から取られる手数料分は、保障にも貯蓄にも回らない「顧客にとっての損」を意味する。顧客は、自分が、幾らのコストを支払って、それに見合うメリットがあるかどうかを判断すべきなのだが、手数料が開示されないとこの判断は難しい。
金融商品を購入するか否か、購入するとしてどの商品を購入すべきかといった意思決定にあって、最も重要な材料は、自分が支払う金額に対して「実質的な手数料」はいくらかなのである。
保険商品は、時間差はあっても運用の中身が開示される投資信託よりも、顧客にとって判断材料が乏しい。しかも、多くの場合、仕組みが大変複雑である。顧客に対する判断材料の提供レベルを、投資信託の場合以下とすることに対しては、合理的な説明が不可能だ。
手数料開示が重要であることのもう一つの理由は、販売による手数料の大小が販売金融機関側のセールス行為に影響している可能性があり、この点について、顧客が判断できた方が、顧客にとって安全でもあるし、同時に、販売が適切に行われやすいからだ。
「売り手は、どの商品を売るとどれだけ儲かるのか?」、「売り手が勧めようとしている商品は、売り手にとっての儲けが大きいから、勧めているのではないか?」という疑問は、消費者側では当然持つべきものだし、売り手側は、程度の問題はあるとしても、この疑問に答えるべきだ。
少なくとも、投資信託では、この疑問に答えている。投資信託よりも手数料の率が大きい、保険商品がこれに答えないのはバランスを欠いている。
なお、この問題は、銀行窓口などで売られている一時払いの保険商品ばかりでなく、複数の生命保険会社の商品を扱う乗り合い代理店の生命保険販売にあっても、重要な問題である。
端的に言って、販売者にとって儲かる保険を勧めているのではないかという疑いが持たれているが、その疑いは、情報開示を十分に行うことによってはじめて解消できる性質のものだ。
生命保険は、顧客の支払う金額が大きい上に、仕組みが複雑な商品だ。消費者保護の観点から、各種のレベルで保険商品の実質的な手数料の開示を進めていく必要がある(販売会社に払う手数料もあれば、保険の中身で例えば保険会社に有利な死亡率の設定をすることによって得ている利益など、複数のレベルの「実質手数料」が存在する)。
■手数料開示前の駆け込み販売が心配だ
銀行が窓口で販売している保険の手数料開示の問題に戻ると、手数料の開示は、遠からず避けられなくなるのではないかと筆者は予想する。
銀行も、おそらくそのように予想するだろうから、その前に駆け込み的に「ボッタクリ保険」の販売を強化する可能性があるので、読者には大いに気をつけて貰いたい。
それにしても、銀行員は、この種の保険が顧客にとって明らかな損であることを判断できる程度の金融知識を持っているはずだ。
それなのに、この種の保険を売るのは、顧客をごまかしつつ、自行の利益のために顧客に損をさせているのだから、違法ではないとしても、行為の意味内容としては、自動車メーカーで燃費データの偽装に関わる人と何ら変わらない。
個人としてやるなら、人間として恥ずべきことだと思ってできないことであっても、「組織のため」「上司の指示だから」「同僚もやっている」「他社もやっている」といった理由でできてしまうところが、組織というものの恐ろしいところだと、改めて思わずにはいられない。
何はともあれ、普通の人が小悪党になることを防ぐには、情報開示の光を当てることが一番の対策だ。
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