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スズキ・鈴木修会長(つのだよしお/アフロ)
スズキ、悪質な違法行為の実態解明せずに販売続行の暴挙!鈴木会長、強弁し開き直り
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15259.html
2016.05.27 文=編集部 Business Journal
5月18日、スズキは法令と異なる方法で燃費データを計測していたことを国土交通省に届け出た。対象となるのは軽自動車の「アルト」と「ワゴンR」、小型車の「スイフト」などスズキが現在販売している全16車種と、他社にOEM(相手先ブランドでの製造)供給している11車種の合計27車種で、2010年以降に生産した210万台。
鈴木修会長は同日に記者会見し、「定められた通りの測定方法を用いていなかったことについて、深くおわび申し上げたい」と陳謝したが、すぐに「悪意はなかった」と強調した。
「意図的な燃費データの改竄ではなく、燃費については再確認して、まず間違いない。お客様にご迷惑をおかけすることはない。生産・販売は続けさせていただく。販売店には自信をもって売ってもらいたい」(鈴木会長)
国交省の幹部は「三菱自動車、スズキとも法令を軽く見ているのではないのか」と厳しい言葉を投げかけた。三菱自、スズキ以外に不正(の届け出)はなかったと国交省は明らかにしたが、メーカーが提出するデータに依拠した国の型式認証制度を見直さなければいけない。国交省は根拠となる詳しいデータの提出の義務付けや抜き打ち検査の導入のほか、罰則規定の新設などを検討している。「メーカー性善説」に立っていては問題の解決にはならない。
「国交省の定める法令と異なる方法で燃費データを測定していた」と、スズキは主張しているが、実態はもっと悪質だ。
実験室内で燃費試験用のデータを測定しながら、テストコースでも実際に対象車両を走らせ、日付や測定環境などを提出書類に記載していた。
自動車の生産・販売に必要な型式指定の申請時には、テストコースの場所や測定日時、天候、気温、気圧など、測定した時点の環境の記載が義務付けられている。スズキは実験室内のデータを積み上げて、テストコースでの測定日などを加えて申請書類をつくっていた。
これは、違法測定をしていたことを隠蔽するための状況証拠づくりにほかならない。
鈴木会長らは「テストコースで惰行法によって実測したが、その結果にばらつきが大きく、使用できなかった」と釈明し、法令と異なる方法で計測した数値を使った理由を述べた。静岡県にあるテストコースが海沿いに位置していて、風の影響で測定値がばらついたということらしい。それならば、テストコースに風除けを設置すればいいのではないか。しかし、スズキはそのコストを嫌い、利益を優先し効率を重視した結果、違法行為に手を染めたのだ。
■経営責任を明確にしないスズキ
国交省はスズキ車の燃費を計測し直すという。再計測は、データ偽装のあった三菱自動車に続いて2社目となる。
「経営責任や社内処分をどうするのか」と問われると、鈴木会長は「まず経営改善が第一で、現時点でのコメントは控える。(担当した社員らも)悪意で手を抜いたなら問題だが、善意だったとすれば人情的に考えないといけない」と答えた。
鈴木氏は自動車業界において、「卓越した経営者」と評価する声も多かったが、「善意」で不正行為をする社員がいるという認識が時代錯誤である。不正をすることが、たとえ経営陣や社員が「会社のためだ」と思い込もうとしていたとしても、それは正しい行為ではない。
鈴木会長の会見に同席したのは本田治副社長ら3人。鈴木氏の息子である鈴木俊宏社長が批判の矢面に立たないように配慮した。スズキは実質的に鈴木氏が会長兼社長だということを、この会見ではからずも対外的に示したわけだ。可愛い子には旅をさせろという諺があるが、鈴木氏は相変わらず過保護なのである。
鈴木氏を「カリスマ経営者」と評する人がいるが、「燃費性能はほぼ間違いない。(ユーザーに)迷惑をかけていない」と強弁するのは実に見苦しかった。「どの車種も実際の燃費値との差は5%以下で問題はない。数字がすべて物語っている」(本田副社長)となると、なんのための記者会見だったのか。
「迷惑をかけていない」と突き放されたスズキのユーザーは、次はスズキのクルマは買わないとなるだろう。
「数字がすべて物語っている」という、副社長の傲慢不遜な不規則発言を、どうして記者会見に出ていた記者たちは追及しないのだろうか。
スズキは対象車種の販売を続けており、テレビのCMも続行中だ。国交省はスズキに、追加データなどを5月31日までに報告するよう指示しており、実態の解明はまだ先なのに営業先行である。
■自動車業界全体の信頼が揺らいだ
5月18日の東京株式市場で午後、スズキ株は急落。年初来の安値を更新して、一時、433円安の2450円まで売られた。終値は270円安の2613円。19日には反発して始まり、終値は92.5円高の2705.5円。しかし、18日の始値2860円より154.5円も安い。20日は一時、2626円まで下げ終値は2724.5円。鈴木修会長の言い分を株式市場が全面的に支持しているわけではない。
鈴木氏のユーザー軽視の姿勢は厳しく問われなければならない。スズキの株価と5月の新車の販売動向を注視したい。
国交省は三菱自、スズキ以外の自動車関連40社からは燃費に絡んだ不正の報告はなかったとした。つまり、トヨタ自動車や本田技研工業(ホンダ)などには不正はなかったと結論づけられた。それでも、スズキが不正を告白したことで「業界全体の信頼感が揺らいだ」(大手メーカーの首脳)のは確かだ。三菱自とスズキでは意味合いが違う。スズキは軽自動車の雄である。「自動車の技術開発は専門的で、経営者はチェックのしようがない」という側面があるのは確かだが、だからといって経営責任がないという免罪符にはならない。
買う側はメーカーが出している燃費の数値を信じて自動車を買っている。鈴木会長のこの日の記者会見は間違いなく“スズキ・ファン”を相当数減らしたことだろう。
「迷惑をかけていない」と本当に考えているのなら、かたちだけの謝罪会見などやらないほうがいい。
(文=編集部)
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