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米カリフォルニア州マウンテンビューのグーグル本社の駐車場を移動するグーグルの自動運転車(2016年1月8日撮影)〔AFPBB News〕
グーグルの自動運転開発、“自動車の町”で拡大中 フィアット・クライスラーと提携し実験車両開発へ
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46955
2016.5.27 小久保 重信 JBpress
米グーグルの持株会社アルファベットの自動運転車開発部門は5月25日、その研究開発拠点を米ミシガン州デトロイト近郊に設けると発表した。
■自動運転の研究開発に適した場所
施設の場所は、デトロイトの中心部から約40キロメートル北西のノバイ(Novi)という都市。
グーグルの説明によると、この地域は、同社の自動運転開発部門「Google Self-Driving Car Project」とすでに提携している企業の多くが拠点を構えており、研究開発に適した場所なのだという。
米ウォールストリート・ジャーナルは、グーグルがこの地を選んだことは、同社の自動運転研究開発事業が、“自動車の町”デトロイトで拡大していることを示していると伝えている。
新施設の面積は約4900平方メートルで、グーグルが写真で公開したとおり現在は建設中。だが今後準備を着々と進め、年内にも移転を開始するという。
グーグルによると、このエリアは自動車の部品メーカーやエンジニアリンク企業、研究施設が多くある。そのため自動運転車開発部門のメンバーは、過去数年デトロイト広域圏で仕事をしてきたが、今後は新たな施設に腰を据え、研究に当たるとしている。
そして、新施設における最初の仕事の1つは、クライスラーの新型ハイブリッドミニバン「パシフィカ(Pacifica)」をベースにした自動運転車を用意することだと、グーグルは説明している。
■完成車メーカーと初の提携
これに先立つ5月初旬、グーグルと欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は、自動運転車の分野で両社が提携すると発表した。
グーグルが自動運転開発プロジェクトを始めたのは2009年だが、同社が開発に関して完成車メーカーと提携するのはこれが初めてとなる。
ただ、グーグルとFCAが当面目指すのは実験車両の開発にとどまる見通しだ。この提携によりグーグルは前述のクライスラー製ミニバン向けの専用ソフトウエアやセンサーなどを開発する。
これに伴いFCAは約100台のミニバンを提供するが、米マッシュブルによると、グーグルは年内に、少なくとも数台に自動運転システムを組み込みたい考え。
グーグルはこれまでに、本社があるカリフォルニア州マウンテンビューのほか、米テキサス州オースティン、ワシントン州カークランド、アリゾナ州フェニックスの計4都市で、実験車両を使った走行試験を行っており、その公道走行距離は150万マイル(約240万キロメートル)に上る。
グーグルにはこうした公道走行用の実験車両として、トヨタ自動車の「レクサス」を改造したものや、自社開発の小型プロトタイプ車両があるが、FCAとの提携による実験車両がすべて完成すれば、その数は今の2倍になる。
なお、前述のウォールストリート・ジャーナルの記事によると、グーグルとFCAの今回の取り組みの目的には、組立ラインへのシステムの組み込みといった生産技術の研究も含まれている。
ただ今後開発するミニバンベースの自動運転車はあくまでも走行試験用という位置付け。市販はされないという。
■実用化に向けた環境整備の取り組み
このほか同社は、自動運転車の実用化に向けた環境整備に関する取り組みも進めている。
グーグルは4月下旬、米フォードモーターとスウェーデン・ボルボカーズ、アプリを使った配車サービスを手がける米ウーバーテクノロジーズや米リフトと「Self-Driving Coalition for Safer Streets」という企業連合を設立した。
その目的は、自動運転車を米国の公道で走らせるための統一したルール作りや法整備を連邦政府に働きかけること。さらに自動運転技術の啓発、普及活動も行う。
自動運転技術は、道路交通や高齢者・障害者の移動手段の安全性を高め、渋滞も緩和し、さらに自然環境の改善や輸送の効率化にも貢献するという。
企業連合はこうしたビジョンを米国の公道に反映させるため、市民団体や地方自治体、企業などとも連携していくとしている。
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