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残業&がむしゃら働きは当然!を強要するバカ上司!採用試験、「男より女が優秀」が鮮明に
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15215.html
2016.05.24 文=青柳直弥/清談社 Business Journal
「まったく、これだからゆとり世代は……」
職場や飲みの席などで、20代の部下に対して、こんなセリフを浴びせたことのある30〜40代も多いのではないだろうか。上司世代にとって、若い部下への接し方は重要な課題のひとつだが、「ゆとり世代」の部下をバカにした経験のある人は、『男が働かない、いいじゃないか!』(講談社)を読んだほうがいい。
本書は、武蔵大学社会学部助教で「男性学」を専門とする田中俊之氏が「男性が働くことの意味を見つめ直す」をテーマに、若手ビジネスパーソンに向けて書いたものだ。しかし、ゆとり世代をバカにする上司世代にとっても、非常に有益な内容となっている。
■朝起きて「会社に行きたくない…」は正常な思考回路!
「ゆとり世代とは、いわゆる『ゆとり教育』を受けた世代で、一般的に、1987年4月から96年3月の間に生まれた人たち。つまり、現在20歳から29歳の20代のことです」
そう語るのは、本書の著者である田中氏だ。田中氏によると、ゆとり教育は上の世代が受けた「詰め込み教育」の反動として導入されたもので、「ゆとり世代が上の世代にバカにされたり、責められたりするいわれはない」という。
「私の教え子のなかには、高校の時に教師から『お前たち“ゆとり”は失敗作だ』などと、ひどいことを言われた人がたくさんいます。現在、働き方や会社のあり方は、上の世代が若手の頃と比べて大きく変わってきている。
そうした世の中の変化についていけない上司世代にも責任があるはずですが、それが全部『今の若手は……』になってしまいがちです。そんな上司のせいで自分に劣等感を抱いてしまう20代を見ているうちに、『こういうことがあってはならない』と思ったのが、本書を執筆した理由のひとつです」(田中氏)
田中氏が専門とする男性学とは、簡単にいえば「男性が男性であるからこそ抱えてしまう悩みや葛藤に着目した学問」のことだ。例えば、日本の男性が抱える典型的な問題に「働きすぎ」「結婚難」「自殺」などがあるという。
高度経済成長期以降、日本の社会では、男性は「がむしゃらに働く」ことが美徳とされ、バブル期には栄養ドリンクのCMに「24時間戦えますか」というフレーズが使われたこともあった。
しかし、田中氏は「朝起きて『会社に行きたくない』と考えるのは、正常な思考回路」と説き、「“残業するのが当たり前”という風潮には違和感を抱く」と語る。
「かつては正社員で働くのが当たり前で、会社と社員の関係も、生活すべてを仕事に捧げる代わりに会社が家族の生活を保障する、という『取引関係』にありました。しかし、それはもうはるか昔の話です。
家族手当も住宅手当もどんどん削られ、もはや会社が社員の生活を保障してくれるような時代ではない。だからこそ、若手は会社ともっとビジネスライクな関係で働けばいいし、上司世代はそれを理解してあげる必要があると思います」(同)
ゆとり世代より上の世代、特に40〜50代は、若手の頃から「生活すべてを仕事に捧げ、がむしゃらに働くのが当たり前」という考えを刷り込まれているため、ゆとり世代を軽んじてしまう傾向が強い。しかし、今やそういう考え自体が時代にそぐわなくなっているのである。
■なぜ結婚できない男が多いのか?
結婚に関しても、今は上司世代の頃とは経済状況がまったく違う。また、そもそも日本は男性の数が女性よりも多く、必然的に一定数の男性が余ってしまうのだという。
「それも、100人や200人程度の話ではありません。20代後半の場合、男性の数から女性の数を引くと、その差はおよそ12万人に上ります。いくら男性側が『結婚したい』と強く思っても、どうあがいても12万人の男性が余ってしまうのです」(同)
それだけの数の男性が結婚からあぶれてしまうにもかかわらず、「若者の結婚離れ」などといわれ、恋人がいないだけで、20代男性は親や周囲に心配されてしまうのである。こうしたことからも、ゆとり世代である20代の若者が大変な時代を生きていることがわかるだろう。
世界全体を見ても、グローバル化とともに、今や「多様性」が重要な概念になっている。人材マネジメントの分野でも、多様な人材や働き方を指す「ダイバーシティ」という言葉が浸透しつつある。あらゆる面で多様性が求められる時代にあって、上司世代は20代を「ゆとり世代」などとバカにしている場合ではないのだ。
「一番タチが悪いのは、一般職の女性に対して差別的な視点を持っている上司です。そういう人は、すぐに考えを改めるべきでしょう。産学連携の授業を担当しているので、企業の方たちに話を聞く機会が多いのですが、大学の成績や入社試験の結果だけで採用を決めると、新入社員のほとんどが女性になってしまうそうです。
同年代の男女を比較すると、それだけ女性のほうが優秀なわけです。おそらく、企業は今後、優秀な女性がのびのびと働くことのできる職場環境を整えられるかどうかが、ビジネスを勝ち抜く上でのポイントになると思います」(同)
変わりゆく社会の中で、いまだにゆとり世代の部下をバカにしている40〜50代は、時代に取り残されて「ダメ上司」のレッテルを貼られかねない。そんなことにならないためにも、「管理職やこれから人の上に立つ世代の人たちにも、本書を読んでほしい」と田中氏。思い当たるフシがある上司世代は、本書を手に取って時代の変容を自覚すべきだろう。
(文=青柳直弥/清談社)
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