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【日本の解き方】ドイツ独特の経済政策 ユーロ圏にも適用拡大するのはやりすぎだ
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160521/dms1605211000005-n1.htm
2016.05.21 夕刊フジ
ドイツの経済政策は、財政出動に消極的で、金融緩和やマイナス金利政策にも批判的な態度を示すなど他国と異質な傾向がある。ノーベル経済学賞学者のポール・クルーグマン教授はあきれて「ドイツはわれわれとは別の宇宙に住んでいる」とまで言ったほどだ。
こうした傾向は、1933年にナチス政権が誕生し、自由民主主義が崩壊するなかで、ドイツのリベラルなエリート層が考え出し、第二次世界大戦後に完成された「オルド自由主義」にさかのぼることができる。
これはフライブルク大学の経済学者、ヴァルター・オイケンが主導した自由主義思想で、自由放任主義でもなく中央管理の計画経済でもなく、反独占の競争政策を重視するというものだ。「オルド」という名前は、オイケンを創始者として刊行された学術雑誌に由来する。
マクロ経済政策としては、ケインズ主義には反対で、金融緩和にも否定的だ。ミクロ経済政策では自由放任ではなく、競争政策としての政府の役割を強調する。その結果、均衡財政主義、デフレもいとわないインフレ回避の物価安定、自由主義経済という3つの要素を持つことになる。
1990年代になると、ドイツ社会民主党がオルド自由主義を取り入れ、シュレーダー首相による2003年の労働・福祉改革にいたり、メルケル首相の方針にも影響を与えている。
こうした経済政策は、競争力のある産業を抱え、開かれた貿易が可能となっているドイツのような国では有効かもしれない。特に、共通通貨ユーロが導入されてから、ドイツにとってはユーロ圏内で固定相場のメリットを最大限に享受でき、相対的に割安な固定為替レートとして機能しており、ドイツの独り勝ちの状況になっている。
ナチスという独特の歴史背景を持つドイツが、オルド自由主義を国是とすることも理解できなくはない。ただし、問題なのは、ドイツに都合のいい経済政策をユーロ圏にまで拡大し適用しようとしていることだ。
ユーロ圏の中には、ドイツのように競争力のある産業がない国もある。しかも、ユーロはドイツにとっては割安であっても、他の国にとっては割高だ。その意味では、ドイツが優遇されるのに対して、他の国は不平等条件になっている。
それでも、その他の国の経済構造が柔軟で、労働市場でも柔軟な賃金で雇用問題を解決できるのであれば、まだ救いがあるが、実際にはそうでない国が圧倒的に多い。となると、ユーロという共通通貨を使うことのメリットは他の国では少なく、むしろ経済苦境に陥る可能性が高くなっている。その典型例が、周辺国のギリシャやスペイン、ポルトガルだろう。
欧州中央銀行(ECB)の行う金融政策や欧州投資銀行(EIB)の行う財政支出は、ドイツのためではなく欧州のためにあることを、ドイツも認めたほうが世界経済のためになる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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