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富裕層になる鍵は「ごま塩」「25%」「金次郎」
http://president.jp/articles/-/18036
2016年5月20日 PRESIDENT Online スペシャル
■富裕層は「欲求に抵抗する時間が少ない」
これまで本連載で、ごく普通のビジネスパーソンが種銭のない“ゼロ地点”から富裕層になろうとしたとき、「欲を制する」ことが何より重要になると繰り返しお話してきました。
過去の話のポイントをかいつかみますと……。
●安田財閥の祖、安田善次郎が語った「勤倹と節約を守り、冗費を節約し、贅沢を慎み、財を蓄えることは、人としてぜひ行うべきところ」に代表される制欲に対する考え方を習得すべし。
●4歳児が目の前のマシュマロを食べることを我慢した方法に大人も学ぶべし。
といったものでした。そうした心持ちやスキルを身につけることで、コンビニ店や、コーヒー店での習慣的な“浪費”による資産の減少を防ぐことができます。そしてそれは、薬物使用やギャンブル、不倫などによって資産とキャリアを全喪失するような悲劇を防ぐ手だてともなります。
僕のここまでの話のまとめとしては、結局のところ、欲を制しないと資産形成にマイナスの影響を与える、ということ。そんな落とし穴が人生にはたくさんあるということを訴えたいのです。
欲を制するための方法もいくつかお伝えしました。例えば、目の前に欲しいモノがあっても、それを見ない(マシュマロを見ない)。また、消費意欲を刺激するモノ・コトに出合ってしまったときのために、事前に「買わないようにする手順」を決めておく(イフ・ゼンプラン)……。(http://president.jp/articles/-/17608)
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しかし、これらの対処法に対して、「それは誘惑に打ち勝つ自制心があるのではなく、単に誘惑から逃げているだけではないのか?」と感じる方もいるかもしれません。
そこで僕が、今回お伝えしたいのは、ある社会心理学の実験結果です。
フロリダ州立大学社会心理学部のバウマイスター教授とドイツ人研究者達が中央ドイツで200人以上の男女を対象に行った実験で、「自己コントロール能力の高い人」のほうがそうでない人より、意志力を使って「欲求に抵抗している時間が少ない」という結果がでています。
実験によれば、この自己コントロール能力の高い人は、そもそも欲望に負けて浪費する”惨事”に陥る一歩手前でこらえるために、意志力をあまり使わないというのです。その代わりに、彼らは自己コントロール能力を、「学校や職場で役立つ習慣や手順をつくるために使っている」のでした。
わかりやすく言えば、誘惑に打ち勝たなければならない状況に自分をさらすようなことは避け、先手を打って「マシュマロを見ない」、「イフ・ゼンプラン」などのよき習慣によって内部に葛藤を抱え込まないようにするのが上手なのです。いい準備ができている。
誘惑から逃げているのではなく、むしろ先手を打って誘惑にさらされることを防いでいるため、結果的に誘惑に抵抗している時間が少ないということです。(ロイ・バウマイスター、ジョン・ティニー著『意志力の科学』より)
■資産100億、10兆円を築いた日本人の共通点
欲を制するのに有効な、習慣や手順。世の中にはそういうものが確実に存在し、それに気づいている人はきちんと実践しているのです。
では、ここで富裕層への道を歩む上で不可欠な種銭づくりのためにも必須な「習慣と手順」を少し掘り下げてみましょう。
私がご紹介したいのは、この2人。林学博士・投資家の本多静六と、安田財閥の創設者・安田善次郎です。彼らが実践した「習慣と手順」を見てみましょう。
本多静六の貯蓄法については、以前にもお話しました(http://president.jp/articles/-/17143?page=3)。収入が入ったら通常収入の25%、臨時収入の100%をまず天引きして貯蓄する方法を25歳から40歳まで15年間続け、これを原資にした運用に入ったら利息からの収入が本業を超えたと『私の財産告白』に書かれています。
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現在とは金利水準が違いますので、ここの部分は配当収入などに読み替える必要がありますが、その後、本多は自分の専門(本多は東京山林学校卒)を生かして山林投資、鉄道株への投資を通じて公務員でありながら、現在の時価で100億円超の資産を築きました。
本多が貯蓄法を始めた最初の頃は、月末になると毎日ご飯の“おかず”はごま塩ばかりで大変だったと述懐していますが、運用によって得た配当や利息は翌年から通常収入に組み入れるため年を追って生活は楽になっていったようです。
冒頭の制欲についての考え方を述べている安田善次郎は幕末から大正まで一代で4大財閥の一角を築き、当時の国家予算の7分の1(現在の貨幣価値でいうと10兆円超)の財を成しました。
この安田は「分度生活(収入に応じた生活基準=分度)を定め、その範囲ななかで生活できるよう節約に心がけること」の方法として、非常時に備えて収入の2割を天引き貯蓄し、どのような状況であろうが絶対に2割を差し引いて収支を組んだといいます。
安田は「収入の二分を貯蓄するということは、最終的には大きい金になるものと思わなくてはならない。この堅く守るという、自分の立てた主義は、他人が何と評そうが、いかなる誘惑が起ころうが、一歩も曲げたことはない。これがすなわち、今日の私をつくり上げた要因であると信じている」と述べています(安田善次郎著『大富豪になる方法』より)。
また、「そんなことは守銭奴の言うことだ。少しばかりケチをしたからといって何の役に立つものか」と言って、「少しだから使ってもいいだろう、このくらいの金を貯めて何になる」と無駄遣いをしたり、貯蓄をしなかったりする人は、いつまでたっても余裕のある生活ができないのはもちろんのこと、ついには食うにも困るようになると語っています。
■富裕層は「物欲妻を選ばない」
実は、この本多・安田はいずれも江戸時代末期の農民思想家である二宮尊徳(通称:金次郎)が唱えた「積小為大」(小を積み重ねることで大きな成果を得ること)、「分度生活」を大いに参考にしています。
尊徳は、「世間の人は事をしようとして、小事を怠り、でき難いことに頭を悩ましているが、でき易いことを努めない。それで大きなこともできない。(中略)小事を努めず怠る者が、どうして大事を成し遂げることができよう」(石川佐智子著『世界に誇る日本の道徳力 心に響く二宮尊徳90の名言』より)と、コツコツ勤倹節約で資産を積み上げることを馬鹿にする世間の風潮に手厳しい批判を述べています。
これは江戸時代の話ですが、今の日本でも当てはまる内容かと思います。現代でも、やる人はやっています。
「そういうお前はどうなんだ?」という声が聞こえてきそうですが、僕は以前、「必要最低限の生活費以外の全可処分所得を運用にまわすこと」を富裕層になるために必要な3つの条件の1つとしてあげました(http://president.jp/articles/-/17182?page=3)。じつは、それは本多・安田・二宮の3者の考えに沿った内容だったのです。
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僕もこの方針に従って2割から2割5分だけダウングレード(天引き)した生活からスタートするのは大切だと思います。もともとその分は無かったものと計算に入れないでスタートするという話ですので、不可能ではありません。
また、これを僕自身は実行してきました。
とはいっても、僕がフリーターをやっていた頃には、あるトラブルに巻き込まれて1.2億円の借金がありましたので(詳しくは拙著『お金の味』参照ください)、もう少し厳しかったです。
3年だけ経験した株式上場事務のサラリーマン時代の月収は100万円でしたが、そのうち10万円を生活費に、残りを運用の種銭にしていました。10万円では生活ができませんので、これにプラスして妻が働いた10万円の計20万円。肩を寄せ合って生活して切り抜けました。妻は物欲のあるタイプではないので、何も文句は言われませんでした(そういう人じゃないと配偶者として選ばないということですが)。
■「僕が月3000万円積み立てる理由」
いまは、月収にして約7000万円ですが、何しろ65%近くをお上に持っていかれるので(http://president.jp/articles/-/17182?page=4)、まず税金分を天引きすることが最重要課題になっています。
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今年は納税資金として3000万円(年間で3億6000万円)を毎月積み立てています。これは、4月に集中する第三期分(最終分)の所得税と消費税、固定資産税を払えないような不測の事態を避けるために、天引きしているということです。1期分と2期分の予定納税は通常のフロー収入で払えますが、最終分については万一のことがあると払えなくなる可能性があるので念を入れて使えないようにしているのです。
幸いなことに僕はもともと物欲がほとんどない人間なので、今も収入の9割以上は貯蓄しています。だから、15年前の結婚当初と同じレベルのごく質素な暮らしをしています。ちょっと変化したのは、「ふるさと納税」でほぼ生活費がすべて賄えるようになったこと(昨年は1300万円のふるさと納税)と、“4つの財布(事業収入、不動産収入、配当収入、給与収入)“があるおかげで生活費として僕が出す金額は(家事按分を除いて)ほぼゼロになったという点です。
ただ、僕に失敗がなかったわけではありません。
4つの財布のうち事業収入(行政書士としての収入です)を柱として財布を構築してしまったため、結果的に税金が莫大な金額になりました。自戒の念をこめて、読者の皆さんには、くれぐれも稼いで富裕層になろうとは間違っても思って欲しくないです。税率が低いままで(低年収のままで)富裕層になるほうが実はツラくない道筋だということを理解してほしくてこの原稿を書いています。「普通の年収の人こそ富裕層の本流」(http://president.jp/articles/-/17143)という考えは今でも変わっていません。
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■快楽と幸福は違います。
「欲を捨てること」これが、理詰めで富裕層になる方法の最初の関門です。貴賎貧富を問わず、誰でも命は1度しか持てないという生の一回性において、晩年になって予想外に長く生きてしまい、「しまった! まさか老後破産するとは……」と気づいた時にはやり直しがきかないのです。極めて残酷な現実と言わざるをえません。
そうした先のことはうっすらわかっているけれど、一歩踏み出すことができない人が多い。でも、前述したように物欲を中心とした人間が持つ欲望を制する・捨てる準備をすることが、心の中の葛藤と挫折を防ぎ、その結果、ストレスが減ります。すなわちそれは幸福感の増加につながる。そうした研究データはたくさん発表されています。
無意識に欲望を追求してしまうことで起きる数々の不快なトラブルを経験しなくて済むというのは、思いのほか、大きなメリットを得られるのです。
この件については、いずれ稿を改めてご説明します。
*筆者・金森重樹氏にお金に関する悩み相談をしたい方は、下記URLのフォームにご記入ください。
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