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知られざる財閥の枢密会議…三井「二木会」、住友「白水会」その実態
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160520-00508503-shincho-bus_all
「週刊新潮」2016年5月19日菖蒲月増大号 掲載
1961年、“三井のドン”、故・江戸英雄・元三井不動産会長の呼びかけで発足した「二木会」
日本を代表する財閥には、最高意思を決定する枢密会議が存在する。例えば三菱の場合、三菱商事本社ビル最上階で開かれる「世話人会」がこれにあたり、グループの今後の展望や懸案事項、役員人事などが話し合われる。2004年に三菱自動車の二度目のリコール隠しが発覚した際も、この世話人会で支援策の認可が決定された。
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市場規模は700兆円超! これは三菱、三井、住友の三大財閥の系列企業グループが国内で形成する市場規模の総額だという。しかし、そもそも財閥は戦後、GHQによって解体されたはずではなかったか。財閥研究者で『日本の15大財閥』の著書がある菊地浩之氏の解説を聞こう。
「どこの財閥でも、別個に残された各企業からすれば、再結集した方が商売上のメリットが大きかった。そこでGHQの目をかいくぐって社長たちは秘かに連絡を取り、集まっていた。それが戦後しばらくして『社長会』などに発展したわけです。三井の会は『二木会』、住友は『白水会』という」
■トヨタが来ない!?「二木会」
住友グループの枢密会議「白水会」なる社長会は、1951年に設立
1961年、“三井のドン”、故・江戸英雄・元三井不動産会長の呼びかけで発足したのが、「二木会」だ。会場は、霞が関ビル23階の「月曜会クラブ」。毎月第2木曜日に開催される。
加盟社は、三井不動産、三井物産、三井住友フィナンシャルグループなどの中核企業に加え、主要取引先のトヨタ自動車もオブザーバーとして名を連ね、総勢26社の会長や社長らから成る。元三井物産会長の上島重二氏(84)はこう語る。
「物産と三井銀行、三井不動産の3社が幹事役で回していました。その後、三井と住友は統合が進みましたが、三井出身者は二木会、住友出身者は、白水会に出るのが慣例です」
関係者の一人はこう話す。
「二木会ではシンクタンクの資料を基に、景気動向の報告があります。特にグループ全体の重要案件を討議するなんてことはない」
この二木会の特徴を一言でいえば、「縛りが緩い」という点だ。出席率が、他の2つの財閥に比べ、低いという。経済誌記者の話。
「“人の三井”と言われるだけあって、良く言えば独立独歩の気風があります。トヨタの社長には定期的に参加してほしいようですが、本社が愛知ということもあり、もう何年も出席してもらえていない」
■「鉄のカーテン」に覆い隠されている「白水会」
この規律の甘さ、もとい自由度とは対照的に、強固な結束力を誇るのが住友グループだ。その組織の枢密会議「白水会」なる社長会は、1951年に設立された。この結束を揺るぎないものにしたのが“住銀の法皇”との異名を取った故・堀田庄三・元住友銀行頭取だ。ちなみに、白水会の名の由来は、住友創業家が江戸時代に大坂で始めた銅商の屋号「泉屋」による。その泉の文字を上下に分け、「白水」としたという。現在の加盟社は、三井住友銀行、住友生命保険、住友商事、住友不動産、住友化学、NECなどグループの主要企業19社である。
先の菊地氏が語る。
「毎月第4水曜日に開催されます。以前は東京と大阪で場所が2カ月交代だった。東京では六本木の泉ガーデンタワーの上層階にある住友会館が会場です」
社長以外の代理出席は認められていない。
「かつてNEC社長だった関本忠弘さんは、“海外出張も白水会の日程に合わせる”と語っていました」(同)
グループ全体の懸案事項が議題となることが多く、満場一致が原則だという。しかもその議題や会の様子はほとんど外部に漏れてこず、「鉄のカーテン」に覆い隠されている。もっとも、かつて一度だけ白水会で意見を二分する大論争が展開されたことがあり、「鉄のカーテン」の奥が垣間見えた瞬間があった。
「会への出席を継続したいと仰っているんですから、良いのではないですか」
「住友の事業精神、経営理念を維持できないのだから、出て行ってもらう他ない」
妥協点を探ろうとするメンバーの意見は、厳しい語調で言下に否定されたという。三井住友銀行、住友化学とともに住友御三家の一角を占める住友金属工業が2012年、業績低迷から新日本製鐵と経営統合を余儀なくされた際の白水会でのことだ。大手紙の経済部デスクの解説を聞こう。
「当時の友野宏社長は会見で“白水会への出席は継続したい”と表明していました。新社名も『新日鐵住友』にしようと努めた。しかし新日鐵側はどこのグループにも属しておらず、三井、三菱系とも取引がある。住友色を前面に出すことを嫌い、これを拒絶した。売上高が3倍の新日鐵側の発言権が大きいのは当然で、一気に脱会に傾いてしまった」
■忠誠が試される“血判状”
もっとも新日鐵住金の白水会離脱の背景にはそもそも、より大きく抗し難い力が働いていたという。他ならぬ白水会からの離脱勧告である。その前提となったのが、白水会加盟に際し社長が押印を求められる書類の存在だ。関係者が明かす。
「書類は、信用を重んじ、あぶく銭の追求を戒めた“不趨浮利(ふすうふり)”などに代表される“住友精神”の順守が定められた誓約書です。住友の商標を使わせていただくかわりに、その名を汚さず、創業家に何かあれば、お守りするとの誓いも求められる。我々の間では“血判状”と呼ばれるほど重いものですわ」
これが住金の帰属問題にどう影を落としたのか。グループ幹部が補足する。
「金融系メンバーや住友商事などの新興勢力は考え方が柔軟で、住金の残留にも肯定的だった。しかし白水会で強力な発言権を持つ会社は別にある。古株の住友金属鉱山を筆頭にした“新居浜4社”なんです」
住友金属鉱山の起源は、1590年に住友の“業祖”蘇我理右衛門が始めた銅商に遡る(“家祖”は17世紀に京都で薬舗や出版業を営んだ住友家。後に養子縁組で住友家に一本化された)。その後、愛媛・新居浜の別子(べっし)銅山を開坑。銅商の事業を拡大させ、グループが隆盛を極める礎を築いた。その銅山経営の過程で生まれたのが、先の住友金属鉱山と住友化学、住友重機械工業、住友林業などで、「新居浜4社」と呼ばれる。
「彼らこそが白水会の重鎮メンバーです。この4社が、住金が『住友』の商標を使用することや会への残留に強硬に反対した」(同)
当代の売上げ高によるグループへの貢献度より、歴史や伝統がモノを言うのが住友流のようだ。
「結局、新日鐵住金は財閥色を消す道を選んだから、この血判状に判がつけなんだ。“押せんなら、出てってくれ”というわけで、住金は白水会から放逐されたというのが実情です」(同)
一見、非情に見えなくもないが、この住友精神の遵守意識の強さと伝統を重んじる厳格さがグループに武運長久をもたらしてきたということか。とすれば、血判状は、“結束の住友”の権力の源泉とも言えよう。
かようにそれぞれの特色を帯びる三大財閥。小説『華麗なる一族』では、勝負に勝ったはずの万俵財閥が近い将来、没落することを予感させ、物語は閉じる。
「組織の三菱」、「人の三井」、「結束の住友」。この中で生き残り、繁栄を享受し続けるのは果たしてどこか。
「特集 財閥『鉄のカーテン』から垣間見える権力の源泉 三菱・住友・三井『枢密会議』」より
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