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1−3月期GDP速報値
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52807528.html
2016年05月18日 在野のアナリスト
日本の1-3月期GDP速報値がでてきました。実質で前期比0.4%増、年率換算1.7%増。名目で前期比0.5%増、年率換算2.0%増。市場予想よりかなり強い数字でした。閏年効果で前期比0.3%増、年率1.2%増ほど押し上げられている、とされますが、それを差し引くとぎりぎりプラス、マイナスかも…という予想より良い。しかし中身をみるとかなり深刻です。今回、実質と名目は大きく中身が違います。寄与度でみると、実質は内需、外需ともに+0.2%ですが、名目は内需-0.2%、外需+0.7%で、内需の落ち込みを外需がカバーした形です。
項目別ではよりはっきりしますが、民間最終消費支出が実質は0.5%増、名目は0.1%減と、まったく景色がちがうのです。物価変動を含み、実感に近いとされる名目GDPですが、前期はともに0.8%減だったので、ここまで差が出ることは通常考え難い。あくまで憶測ですが、強烈なデフレ圧力がかかったとしか思えないのです。住宅投資も実質は0.8%減、名目は1.5%減、設備投資も実質は1.4%減、名目は2.2%減。名目が異常に弱い形になっています。在庫が実質で0.0%減、名目で0.1%増、企業が取引するのは微妙にインフレ、小売には強烈なデフレ、としか思えません。
輸出入も、輸出は実質で0.6%増、名目で3.2%減、輸入は実質で0.5%減、名目で7.2%減。円高と原油安の影響を考慮しても名目の落ちこみは壊滅的です。円は平均すると10-12月期は122円、1-3月期は114円、原油はWTIで1バレル40$、35$となるので、デフレ圧力が強いことはその通りですが、逆にいえばこの円高、原油安で輸入が大きく減ったことで、外需が寄与することになった。日本経済には円高が悪影響、といってみたところで、GDPの計算上はプラス寄与したのです。
しかも、GDPデフレーターも0.1%と、前期の0.3%から落ちこんだ。国内需要デフレーターも-0.5%と、前期の0.0%から落ちこんだ。これが名目の内需を大きく落ち込ませた原因の一つでしょう。ただすべてではない。あまりに差が大きすぎて、主因は別にあると考えた方がいい。断言はできませんが、注目され易い実質を高くみせかけたかった、それが差を生んだ原因かもしれません。
2015年度の実質GDPは0.8%増、名目GDPは2.2%増。何とか2年連続のマイナスを回避した形です。輸入物価が大きく下がっても、まだ消費者にはデフレの実感がないにも関わらず、ここまで実質と名目に差が出た理由、それはこんなところにあるのかもしれません。安倍首相は今日の党首討論で「実質で2.5%、名目で6.4%上昇したから安倍ノミクスは功を奏した」と発言しています。しかし東日本大震災の反動増も含まれており、実質で2.5%はもの足りないですし、名目の大きな上昇も円安による輸入インフレがほとんどで、内需を減退させてしまいました。
しかも民主党政権では「実質で5.7%増、名目で0.7%増で、名実逆転だった。20年近くつづいたデフレ脱却からの大きな一歩だ」と、暗に実質ではリーマンショック、東日本大震災の真っ只中だった民主党政権時代に負けていることを認めてしまった。しかもリーマンショックは金融の縮退があったので、デフレに陥るのはある程度仕方なかったことには一切ふれずに。安倍氏のいう『功』とは、名実逆転を達成したことだと自ら認識しているのでしょう。むしろ減速しているとはいえ、世界経済が大きな破綻やショックもなくもち堪えているのに、この程度しか成長できなかったと突っこまれれば、安倍氏には返す言葉もないのかもしれません。
円安によるコストプッシュインフレを『功』と言ってしまうぐらい、経済オンチということにもなるのでしょう。しかし1-3月期の名目GDPで内需がマイナス寄与したことは、4-6月期にマインド面が悪化することも予想されます。見かけ上の数字だけは改善した今回、逆に将来の深刻さを映してしまったともいえます。安倍氏が政権をつづけるのも地獄、ここで放りだすのも地獄、そんなところから今日の党首討論も元気がなかった、そんな心理だったのかもしれませんね。
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