政井貴子氏の起用に国会同意、日銀審議委員−新生銀初の女性執行役員 日高正裕 2016年5月13日 10:10 JST 関連ニュース シティが米国債などの自己勘定取引チーム解散、機会枯渇で−関係者 日本株反落、決算失望のKDDIや楽天など安い−需給イベント反動も ホンダ:今期純利益は13%増の予想、経費減など−市場予想下回る 米ブラックロック、日銀のマイナス金利で外債ETFに10億ドル流入 執行役員ポストは「調整力」に期待と自己分析−新生銀サイトで マイナス金利に反対した石田氏の後任−政策委に再び女性 参院本会議は13日、日本銀行政策委員会の新しい審議委員に新生銀行執行役員の政井貴子氏を起用する人事案を賛成多数で可決した。衆院本会議は12日に可決済み。6月29日に任期を迎える石田浩二審議委員の後任として同30日に就任する。 政府の資料によると、政井氏は1988年3月に実践女子大文学部を卒業、同11月にノバスコシア銀行に入行。トロント・ドミニオン銀行やクレディ・アグリコル銀行を経て、2007年3月に法政大学大学院経営学研究科修士課程を修了、同5月に新生銀に入行した。キャピタルマーケッツ部長、市場営業部長などを経て、13 年4月に同行初の女性執行役員に就任した。現在51歳。 日銀最高意思決定機関である政策委員会の定員は正副総裁3人と審議委員6人の計9人。日銀は1月29日の金融政策決定会合でマイナス金利導入による追加緩和を5対4の賛成多数で決めた。石田氏はこの時に反対した1人。同じく反対した白井さゆり氏は3月31日付で退任しており、石田氏退任後はマイナス金利に反対したのは木内登英、佐藤健裕両委員だけとなる。 政策委では昨年6月に退任した森本宜久審議委員の後任にトヨタ自動車相談役の布野幸利氏、昨年3月に退任した宮尾龍蔵審議委員の後任にリフレ派エコノミストの原田泰元早稲田大学教授がそれぞれ就任している。原田、布野両委員と黒田東彦総裁、岩田規久男、中曽宏両副総裁はマイナス金利に賛成した。 白井氏の退任で一時男性だけになっていた政策委員会に再び女性が加わる。政井氏は新生銀行のウェブサイトに掲載されている同行で働く女性との対談で、「自己分析すると、私が今の執行役員というポジションを任されているのは『調整力』を期待されてのことだと思っています」と話している。「私は中途入社ですから、当然、他社のこと含め外部環境も知っていますし、異なる環境に入って周囲とコンセンサスを形成しながら物事を進めていく経験も多く積んでいます」と述べている。 白井氏の後任の桜井真氏(前サクライ・アソシエイト国際金融研究センター代表)は、日銀のウェブサイトの履歴に「東大大学院博士課程修了」と記載しているにもかかわらず博士号を取得してなかったことや、所属機関名や在籍年月に誤りがあった問題で、国会で追及を受けている。 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-13/O71V1Z6JTSEG01 米ブラックロック、日銀のマイナス金利で外債ETFに10億ドル流入 伊藤小巻、Kathleen Chu 2016年5月13日 00:01 JST更新日時 2016年5月13日 10:25 JST Share on FacebookShare on Twitter • 「日本国債から世界の債券・株にシフトしたことが要因」とミラー氏 • 3月は日本人の米国債買越額が4.9兆円、統計開始以来最大−財務省 Share on FacebookShare on Twitter 世界最大の資産運用会社、米ブラックロックが外国の債券で運用する上場投資信託(ETF)には、1月の日本銀行のマイナス金利導入後に日本の投資家から約10億ドル(約1100億円)の資金が流入している。 ブラックロック・iシェアーズ事業部の日本ヘッドを務めるジェイソン・ミラー氏は、「このトレンドは大手の機関投資家が資産配分を日本国債から世界の債券や株にシフトしたことが要因となっている」と話す。また「日銀のマイナス金利導入後、日本の機関投資家の関心は特に、米国債ETF、米国クレジットETF、欧州クレジットETFなどにみられる」と指摘する。 財務省によると、日本の銀行と生損保による国債保有額は、15年3月の494兆円(国債残高全体の56%)から同年12月末には約463兆円(同51%)に低下。一方、今年3月の対外証券投資動向では、米国債(中長期)は05年の統計開始以来最大の4兆9541億円の買い越しとなっている。 ETFの特徴は管理の容易さとコストの低さ。同社が米ドル建て投資適格社債で運用するETFが組み込む銘柄は1500以上。独自の信用リスク審査で投資銘柄を選び、投資先の信用状況をモニターするには体制整備が必要で時間もかかる。同社のマネージング・ディレクター、スティーブン・ラピリー氏は、「債券ETFにより投資家は個別債券を買うよりも効率的で迅速に債券市場にアクセスできる」と話す。 同社の債券ETFの運用残高は14年末の2190億ドルから15年末には2850億ドルに拡大しており、ミラー氏は「債券ETFはETF市場の成長を上回るペースで拡大している」と言う。債券ETF運用は日本ではまだ初期段階にあり、同氏は「成長率でいえば、日本はかなりの成長が期待できるが、われわれには認知度向上のためにすべきことはたくさんある」と語った。 日本生命保険は今年度の運用計画で、国債投資を必要最小限に抑え、外債の積み増しで収益確保を目指す方針。同社の佐藤和夫財務企画部長は、4月の記者説明会で「単純に国内債に投資すれば収益を得られた時代は当面、戻ってこない。国内でも海外でも、国債ではなくクレジット物を買う」と述べた。 https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iDVVm.GwYmUo/v2/-1x-1.png
シティが米国債などの自己勘定取引チーム解散、機会枯渇で−関係者 Dakin Campbell 2016年5月13日 15:57 JST チーム責任者のレイチェバ氏はシティにとどまる見通し 米規制や量的緩和などで収益機会が減少 米シティグループは自己勘定で米国債や政府機関債の市場に投資するトレーダーのチームを解散した。事情に詳しい関係者が明らかにした。 同関係者は内部で検討した事項であることを理由に匿名で、アンナ・レイチェバ氏が率いるストラテジック・トレーディング・デスクと呼ばれる同チームが活動中止になったと語った。取引機会が枯渇し始めたためだという。シティは顧客のためのサービスを行う業務に資源をより良く投じる方針を決めたと関係者は話した。 同関係者によると、今回の決定で影響を受ける少数の社員が他部門に異動した。レイチェバ氏もシティにとどまる見通しだという。同氏に電話をしたが、会社の決定についてはコメントしないとしている。 米当局が自己勘定取引に制限を加える新規定を設けたことを受けて、米金融機関の多くは既に自己勘定取引チームを解散している。米国債や米政府機関債、デリバティブ(金融派生商品)は制限措置の対象外。米金融当局が量的緩和(QE)プログラムを通じ住宅ローン担保証券(MBS)などを大量に買い入れ保有することで、1営業日当たりの売買高が急減。こうしたことからトレーダーがMBS取引で稼ぐのはここ数年、一層困難になっている。 原題:Citigroup Said to Disband Raytcheva’s Proprietary-Trading Team(抜粋)FRB利上げ予想、英国民投票前に見解割れる=WSJ調査 記者会見するFRBのイエレン議長(3月16日) By DAVID HARRISON 2016 年 5 月 13 日 02:46 JST 米連邦準備制度理事会(FRB)の次回利上げ時期をめぐるエコノミストらの見解が割れている。英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を来月に控え、足元の経済・金融環境に不透明感が強まっていることが背景にある。 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が今月実施した調査で、エコノミストの約31%はFRBが6月14・15日の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を引き上げると予想した。一方、9月まで利上げを先送りするとの予想も31%に達した。7月のFOMC会合での利上げを予想したのは21%だった。2月以降で初めて、利上げ時期に関するエコノミストのコンセンサス予想が6月とならなかった。 4月の調査では、回答者の4分の3が6月の利上げを予想していた。 ここ数週間の米経済の不安定さを受け、6月利上げの予想が急速に後退した。米商務省が4月に発表した1-3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)は前期比年率0.5%増と、2年ぶりの弱い伸びを示した。労働省が発表した4月の非農業部門就業者数も前月比16万人増にとどまり、3月の20万8000人増、2月の23万3000人増から伸びが鈍化した。 FRB当局者はこの間、追加利上げを急ぐそぶりを全く見せていない。4月のFOMC後に公表された直近の政策声明は、「引き続きインフレ指標と海外の経済および金融動向を注視する」と記した。 今回の調査では、英国のEU離脱(ブレグジット)の是非を問う国民投票もエコノミストの見方に影響した。投票は6月23日に予定されており、次回FOMCの一週間後にあたる。回答者の約78%は、投票の行方が見通せない場合、FRBが利上げを先送りする可能性があるとみている。 ただ、エコノミストらは投票結果の米経済への影響をむしろ楽観視している。回答者の半数強は、英国のEU離脱が決まれば金融市場に影響が及ぶが、経済全般には影響しないとの見方を示した。約3分の1は、ブレグジットが米経済に打撃となると述べた。 ACTリサーチの主任エコノミスト、サム・カーン氏は、ブレグジットとなれば英ポンドと恐らくユーロも下落する可能性があると指摘する。そうなれば米国や世界の金融市場は再び不安定化しかねない。 カーン氏は「全体として資本移動をめぐる不確実性が問題の一つだ」とし、「一定の方向に動き始めればその流れは必ずしも素早く反転しないとの恐れから、FRBはこうしたこと全般に極めて慎重だ」と述べた。 FRB当局者はこのところ、英国民投票への懸念は6月FOMCに向けて検討事項になると述べていた。 米ダラス地区連銀のカプラン総裁は先週、「投票結果が思わしくなさそうであれば懸案事項になる」 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-13/O73OWS6S972I01とし、「連鎖反応が起こるかもしれず、最終的に米国の経済情勢に影響するだろう」と述べた。 FRBの利上げ時期に関する調査でエコノミストの見解がこれほど割れるのは珍しい。だが、不安定な経済情勢に加え、FRB関係者が明確なシグナルを発していないため、金利政策をめぐる予想は難しくなっている。 キャピタル・エコノミクスの北米担当チーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏は6月の利上げにまだ可能性があるとしつつ、「それには強い指標の発表が必要で、新たな市場の混乱があってはいけない」と続けた。 調査はエコノミスト70人を対象に実施したが、全員が全ての質問項目へ回答したわけではない。 https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-NH563_0329fe_M_20160329101716.jpg
MUFGなど3メガ、利益4年ぶり低水準に−マイナス金利や海外減速 河元伸吾、Gareth Allan 2016年5月13日 05:00 JST アナリストによる今期純利益予想は合計で6.9%減の2兆2540億円 • 17年3月期は「銀行界にとって難しい年になる」−全銀協会長 三菱UFJフィナンシャル・グループなど邦銀3メガグループの2017年3月期(今期)連結純利益は、前期比で7%程度の減益となりそうだ。日本銀行が導入したマイナス金利政策を受けた国内業務の収益性低下や海外ビジネスの減速、資源関連融資の劣化などが影響するとみられる。 みずほフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループは13日午後に、MUFGは16日夕に16年3月期(前期)決算を発表する予定。ブルームバーグが集計したアナリスト9人の前期純利益見込みは3メガ合計で前の期とほぼ同水準の2兆4210億円。今期予想は前期比6.9%減の2兆2540億円となっている。 アナリストによる今期純利益の個別予想平均値は、MUFGが9815億円、三井住友Fが6980億円、みずほFGが5747億円。大和証券の高井晃チーフアナリストは、マイナス金利導入で「国内資金利ざやの縮小加速が予想される」と指摘。海外業務では「与信で一定の損失発生を想定する」などとみている。 マイナス金利政策を受け国内市場では、国債利回りに加え、融資の指標となる銀行間取引金利も過去最低水準に低下。株価も下落傾向が強まった。海外業務でも米国経済の減速や円高傾向が進み、内外で収益環境が悪化した。3メガの今期純利益がアナリスト予想通りなら、13年3月期の2兆2072億円以来の低水準となる。 全国銀行協会の国部毅会長(三井住友銀行頭取)は4月の会見で、今期について「海外の成長減速、資源価格の低迷、マイナス金利政策の導入についても短期的にはマイナス影響が出てくる」と指摘。収益面では「今の状態が続くとすれば、16年度は銀行界にとって難しい年になる」と見通した。 海外事業、資源ポートフォリオ BNPパリバ証券の鮫島豊喜シニアアナリストは、米銀大手の動向から「邦銀3メガ銀は資源関連の与信費用の増加や追加は避けられない」と分析。特にMUFGは米国部門で石油関連向け融資の55%が非正常先となるなど「貸し出しの質の悪化」が進んだと分析する。同社のエネルギー業種向け与信残高は15年9月末で5.5兆円。 ゴールドマン・サックス証券の田中克典アナリストは9日付リポートで、今期はマイナス金利などで「銀行が強気なガイダンスを出すインセンティブは乏しい」とし、与信費用や政策保有株売却益が業績を左右するとみる。BNPパリバの鮫島氏は株式売却益はMUFGが1000億円、三井住友Fが800億円、みずほFGが1400億円と見積もる。 3月末に終わった前期純利益のアナリストによる個別見込み額は、MUFGが1兆250億円(15年3月期は1兆338億円)、三井住友Fが7600億円(同7536億円)、みずほFGが6360億円(同6119億円)となっている。 https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iZ4KnOCHSP6k/v2/-1x-1.png https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-12/O71JCF6JTSE801 米雇用増と物価・賃金上昇、株価が嫌気する理由 ENLARGE 投資家はFRBが来月の政策会合で追加利上げを急がないと強く確信しているようだ PHOTO:BLOOMBERG NEWS By STEVEN RUSSOLILLO 2016 年 5 月 13 日 09:29 JST 米連邦準備制度理事会(FRB)はようやく望みを手に入れつつあるようだが、市場はそれをあまり好ましく思っていないのかもしれない。 米国の雇用は着実に増加し、賃金の上昇では前向きな兆候が見られ始めているほか、インフレ圧力も高まっている。近日中に発表される4月の卸売物価指数(PPI)および消費者物価指数(CPI)はこれをさらに裏付けるものとなるだろう。 だが、投資家はFRBが来月の政策会合で追加利上げを急がないと強く確信しているようだ。CMEグループによると、中銀政策に対するトレーダーの予想を示すフェデラルファンド(FF)金利先物市場では、6月の利上げが8%しか織り込まれていない。 投資家は楽観しすぎなのかもしれない。確かに、米経済成長が低調で先週発表された雇用統計が概ね期待外れだったため、FRBには様子見する理由がある。不安定な世界経済と過去数カ月の金融市場の混乱もFRBの慎重姿勢を後押しした。さらに投資家は、市場の変動性が高まってもFRBがそのたびに応急措置を取ることにすっかり慣れてしまった。 だが、インフレや雇用の進展が確認されている中、FRBがリスク資産を救済する理由はこれまでより少なくなっている。このため、労働コスト上昇の中でバリュエーションは割高水準にあるという困難な組み合わせに直面している株価にとって、今後上昇することは一層難しくなるだろう。 ENLARGE 平均時給の推移(前年比)、サービスの消費者物価(家賃除く、前年比)、財の消費者物価(食品とエネルギー除く、前年比) THE WALL STREET JOURNAL 賃金の上昇が米企業の利益に与える影響を考えてみよう。企業にとって物価が上昇傾向にある方が賃上げの影響を吸収しやすい。だが、こうしたことが経済全体で一様に起きているわけではない。 例えば、家賃を除くサービス価格は過去12カ月の大半の期間で上向いており、3月には2014年12月以来となる前年比2.1%の上昇を記録した。 一方、小売業者など製品を販売する企業では同様の価格上昇が見られない。変動の大きな食品とエネルギーを除く製品価格は過去12カ月のうち11カ月で下落した。つまり、労働コストが高まれば利益は圧迫され、株価は割高となるのだ。 FRBは責務の達成に近づいている。これは経済にとって好材料だが、株価にとってはあまり都合が良くないようだ。 関連記事 • 米インフレ、目標に向け上昇している=クリーブランド連銀総裁 • 米企業、減益下で直面する賃上げ圧力 https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-NZ708_tape05_M_20160512140453.jpg FRB利上げ予想、英国民投票前に見解割れる=WSJ調査 記者会見するFRBのイエレン議長(3月16日) By DAVID HARRISON 2016 年 5 月 13 日 02:46 JST
米連邦準備制度理事会(FRB)の次回利上げ時期をめぐるエコノミストらの見解が割れている。英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を来月に控え、足元の経済・金融環境に不透明感が強まっていることが背景にある。 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が今月実施した調査で、エコノミストの約31%はFRBが6月14・15日の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を引き上げると予想した。一方、9月まで利上げを先送りするとの予想も31%に達した。7月のFOMC会合での利上げを予想したのは21%だった。2月以降で初めて、利上げ時期に関するエコノミストのコンセンサス予想が6月とならなかった。 4月の調査では、回答者の4分の3が6月の利上げを予想していた。 ここ数週間の米経済の不安定さを受け、6月利上げの予想が急速に後退した。米商務省が4月に発表した1-3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)は前期比年率0.5%増と、2年ぶりの弱い伸びを示した。労働省が発表した4月の非農業部門就業者数も前月比16万人増にとどまり、3月の20万8000人増、2月の23万3000人増から伸びが鈍化した。 FRB当局者はこの間、追加利上げを急ぐそぶりを全く見せていない。4月のFOMC後に公表された直近の政策声明は、「引き続きインフレ指標と海外の経済および金融動向を注視する」と記した。 今回の調査では、英国のEU離脱(ブレグジット)の是非を問う国民投票もエコノミストの見方に影響した。投票は6月23日に予定されており、次回FOMCの一週間後にあたる。回答者の約78%は、投票の行方が見通せない場合、FRBが利上げを先送りする可能性があるとみている。 ただ、エコノミストらは投票結果の米経済への影響をむしろ楽観視している。回答者の半数強は、英国のEU離脱が決まれば金融市場に影響が及ぶが、経済全般には影響しないとの見方を示した。約3分の1は、ブレグジットが米経済に打撃となると述べた。 ACTリサーチの主任エコノミスト、サム・カーン氏は、ブレグジットとなれば英ポンドと恐らくユーロも下落する可能性があると指摘する。そうなれば米国や世界の金融市場は再び不安定化しかねない。 カーン氏は「全体として資本移動をめぐる不確実性が問題の一つだ」とし、「一定の方向に動き始めればその流れは必ずしも素早く反転しないとの恐れから、FRBはこうしたこと全般に極めて慎重だ」と述べた。 FRB当局者はこのところ、英国民投票への懸念は6月FOMCに向けて検討事項になると述べていた。 米ダラス地区連銀のカプラン総裁は先週、「投票結果が思わしくなさそうであれば懸案事項になる」とし、「連鎖反応が起こるかもしれず、最終的に米国の経済情勢に影響するだろう」と述べた。 FRBの利上げ時期に関する調査でエコノミストの見解がこれほど割れるのは珍しい。だが、不安定な経済情勢に加え、FRB関係者が明確なシグナルを発していないため、金利政策をめぐる予想は難しくなっている。 キャピタル・エコノミクスの北米担当チーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏は6月の利上げにまだ可能性があるとしつつ、「それには強い指標の発表が必要で、新たな市場の混乱があってはいけない」と続けた。 調査はエコノミスト70人を対象に実施したが、全員が全ての質問項目へ回答したわけではない。 https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-NH563_0329fe_M_20160329101716.jpg
米FRB議長:マイナス金利の可能性否定せず−下院議員に書簡 Jeanna Smialek 2016年5月13日 07:46 JST 更新日時 2016年5月13日 09:31 JST Share on FacebookShare on Twitter イエレン議長、マイナス金利へのハードルは高い点強調 金融当局として「幅広い問題」を検討する必要−イエレン議長
米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は将来の危機に際してマイナス金利を活用する可能性を否定しない一方で、それは最後の手段だと指摘した。 同議長は12日付のシャーマン下院議員(民主)への書簡で、「将来の非常に厳しいシナリオの一部でマイナス金利の活用の可能性を完全には否定しないが、政策当局者は米国でこうした手段を採用する前に、意図せざる影響の公算を含めて幅広い問題を検討する必要があるだろう」と述べた。 下院金融委員会メンバーであるシャーマン議員は、イエレン議長が2月10日に同委で行った証言を受けて、質問を提出していた。 イエレン議長は書簡で、「一部の説明によれば、こうした政策は追加的な緩和策と受け止められる」とした上で、「われわれはもちろん、他国の経験からできる限り学ぼうとしている」と説明した。 シャーマン議員は、将来の景気下降の場合に米連邦公開市場委員会(FOMC)がどう対応するかや、マイナス金利導入の法的権限があるかどうかを尋ねた。イエレン議長はこのうち法律上の問題には直接返答しなかったが、同議員は電話インタビューで、同議長の書簡の内容が「法的権限があるとの暗黙の意思表示」であるとの見方を示した。 イエレン議長は景気下降でも多くの場合は異例の金融政策が必要とされることはないとし、金融当局として景気の改善が続き、インフレ率も将来的に2%の目標に回帰すると見込んでいると書簡に記した。 原題:Yellen Doesn’t Rule Out Negative Rates in Letter to Congressman(抜粋) https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-12/O735XD6JTSF401 Business | 2016年 05月 13日 04:48 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 米金利は低過ぎ、経済にリスク=カンザスシティー連銀総裁 [12日 ロイター] - 米カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は12日、連邦準備理事会(FRB)は金利を低過ぎる水準に維持しており、これにより企業が過度な債務を抱えるリスクがあるとの考えを示した。 FRB当局者は金利を徐々に引き上げる必要があるとの認識で一致しているが、ジョージ総裁は前回と前々回の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが必要として反対票を投じている。 ジョージ総裁はこの日の講演で「短期金利をより正常な水準に向け徐々に調整していくことを支持しているが、現時点の経済情勢を踏まえると、(短期金利の)現在の水準は低過ぎると考えている」と述べた。 そのうえで、「金利に敏感な部門では低金利に反応して債務が過度に膨れ上がる可能性がある」とし、金利を低過ぎる水準に過度に長い期間にわたり維持すれば、経済に対するリスクとなる恐れがあるとの考えを示した。 http://jp.reuters.com/article/us-fed-george-idJPKCN0Y32QC Business | 2016年 05月 13日 03:42 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 米FRB、第2四半期の指標好調なら利上げ必要=ボストン連銀総裁 [コンコード(米ニューハンプシャー州) 12日 ロイター] - 米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は12日、第2・四半期の経済指標で労働市場が完全雇用に近づき、インフレ率が上昇軌道に乗っていることが確認できれば、連邦準備理事会(FRB)は利上げに踏み切る必要があるとの考えを示した。 同総裁は講演で、4月の雇用に関する政府発表の指標で米国の労働市場は完全雇用に向かっていることが示されたと指摘。インフレ率も上向いているように見えるとし、「こうしたトレンドが第2・四半期の経済指標で確認されれば、金融政策を段階的に正常化させていくことが適切となる」と述べた。 そのうえで、賃金の伸びは加速しており、失業率も5%と、自身が完全雇用の目安としている4.7%に近づいていると指摘。「米経済の基調的な強さについて市場は過度に悲観的になっている。金融緩和策の解除の公算は大きい」とし、米経済が利上げが必要となる時点にどれだけ近づいているのか、市場は過小評価しているとの考えをあらためて示した。 ローゼングレン総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を持つメンバー。次回のFOMCは6月14─15日、その次は7月26─27日に開かれる。 http://jp.reuters.com/article/us-fed-rosengren-idJPKCN0Y32LU World | 2016年 05月 13日 06:38 JST 関連トピックス: トップニュース
米原油先物が一時6カ月ぶり高値、上げ幅縮小し1%高で清算 [ニューヨーク 12日 ロイター] - 12日の原油先物相場は、米原油先物CLc1が一時6カ月ぶり高値をつけるなど朝方は上昇したものの、在庫の積み上がりを示す情報が出たことで上げ幅を縮小して清算した。 米原油先物(WTI=ウェスト・テキサス・インターミディエイト)CLc1は一時1バレル=47.02ドルと、6カ月ぶり高値に上昇。ただその後は上げ幅を縮小し、0.47ドル高の46.70ドルで清算した。 北海ブレント先物LCOc1は0.48ドル高の1バレル=48.08ドルで清算した。 国際エネルギー機関(IEA)が2016年の世界原油需要の伸びを日量120万バレルとし、4月に示した予想の同116万バレルから上方修正したことを受け、WTIは朝方の取引で上昇。 ただその後、市場情報会社のジェンスケープが公表した統計で、米原油先物・指標原油の受け渡し地点であるオクラホマ州クッシングの10日までの週の在庫が54万8923バレル増加したと判明すると、原油先物は上げ幅を縮小した。 原油市場のコンサルタント会社、リッターブッシュ・アンド・カンパニー(シカゴ)のジム・リッターブッシュ氏は、テクニカル的にはWTIは短期的に1バレル=51ドル近辺まで上昇する可能性はあるとしながらも、より長い視点で見ると来月には大きく下落する公算もあるとしている。 http://jp.reuters.com/article/crude-oil-futures-idJPKCN0Y32XI
Column | 2016年 05月 13日 12:38 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:中国当局、株式市場への介入止められず Peter Thal Larsen [香港 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国当局による株式市場への介入が止まらない。報道によると、当局は盛況なセクターでの増資を禁止しており、海外上場企業による国内での再上場にも制限を加える可能性がある。昨年のような株式バブルの二の舞を避けたいのは分かるが、逐一介入していては株式市場の発展が妨げられるだろう。 中国指導者が市場に「決定的な」役割を担わせると表明してから2年半、彼らはいまだに株価を需給に任せるのを渋っている。中国証券監督管理委員会(CSRC)は先週、海外に上場していて中国本土での「裏口上場」を検討している企業を調査中だと発表した。財新によるとCSRCはまた、上場企業が増資を通じてインターネット金融、ビデオゲーム、仮想現実といった投機的産業に投資するのを禁止した。 昨年の株価急騰と急落は記憶に新しく、当局がバブルの芽を摘みたいと考えるのは無理もない。CSRCは株式の供給を制限するために新規株式公開(IPO)を抑制しており、トムソン・ロイターによると年初からこれまでに承認した案件は43件、総額30億ドル強にとどまっている。前年同期は122件、115億ドルだった。 予想通りの反応として、IPOの承認を待つ企業数百社の中には、上場済みのグループ企業を通じて資金調達を行うところも出てきている。株式の追加発行による増資は年初来で190億ドルと、前年同期の200億ドルに迫る勢いだ。休眠会社の上場株といえば、かつては忘れ去られた存在だった。しかし今では、次にグループ企業の資金調達手段に使われるのはどこかとの憶測が飛び交い、投機筋のおもちゃになっている。 そうした投機を抑えようと、CSRCは今になって市場に資本配分を任せるべきでないと言い出したかのようだ。この結果として株式市場は発展せず、中国は債務に過度に依存した経済になってしまっている。今年1─3月に実施された新規資金調達のうち、エクイティの増資は4%にとどまった。規制当局が介入を続ける限り、この実態は変わりそうにない。 ●背景となるニュース *財新が11日、CSRCに近い筋の話として報じたところでは、CSRCは上場企業が新株発行を通じて資金を調達し、インターネット金融、ビデオゲーム、仮想現実などの事業に投資するのを禁じた。 *財新によると、CSRCは上場企業が投資家の熱意につけこみ、こうしたセクターに手を伸ばすことを懸念している。 *CSRCは6日、海外に上場している中国企業が本土で再上場することによる影響を分析中だと発表した。広報によると、CSRCは国内と国外市場のバリュエーションの差や、休眠企業をめぐる投機を注視している。 *海外に上場する中国企業10数社は、株式を非公開化して中国本土で再上場する計画を発表している。 *筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。 http://jp.reuters.com/article/column-china-stock-market-idJPKCN0Y407X 上海の不動産が大変なことになってます! 2016年03月05日(土)高田勝巳 (株式会社アクアビジネスコンサルティング代表) 2月半ばの春節の休暇明けから、上海の不動産が暴騰を始めた。1週間で30%以上上昇した物件もあるようだが、上海の仲介会社によると今年に入ってから概ね10%?30%程度上昇しているイメージだそう。 暴騰をはじめた上海の不動産(cNaonori Kohira) 上海バブルは終わらない?
はっきりしているきっかけは、2月19日に交付された不動産取引税軽減策と言われている。といっても、軽減されるのは、上海市の場合でも一時取得のケースで140平方メートル以上(この面積は共有部分も入って建築面積といわれるものなので、日本流の占有面積で言えば100平方メートル程度)の物件の取引税3%が1.5%になった程度であるが、これでも、買替え需要を随分と刺激しているようだ。 最近話をした上海の不動産デベロッパーの友人も、にわかに、新規開発用地の取得の動きが出始めて忙しくなってきたという一方で、あまりにも急な値上がりとその背景に心配もしているとのことであった。 中国のネットメディアをみても、今回の暴騰は異常であり、その危険性を指摘する声もでている(http://www.chinabgao.com/info/86670.html)。 昨年のコラムで、中国崩壊はありえないとの考えを表明した自分ではあるが、この程度の相場の暴騰、暴落はあり得るのが中国であると認識している。ただ、この友人の話を聞いていて、私もさすがに少し心配になってきたので、今回聞いた話を読者と共有したいと思う。彼の話を少し補足して整理すると以下のとおり。 ? 不動産の価格の上昇は、昨年深センから始まった。今年1月までに半年間で価格が約50%程度の上昇となった。 ? 上海は、春節明けから始まった。不動産取引税の軽減は確かに一つのきっかけであることは間違いないが、大きな背景としては、地方財政の問題があるのではないかと睨んでる。 ? 中国の地方財政を支えている一つの柱はなんといっても国有土地使用権の払い下げによる現金収入だ。しかしながら、最近の経済の減速、外資の進出の減少、投資用不動産の投資規制などの影響により、土地の払い下げが減少しており、当然、地方財政を圧迫している。こうしたなか、確認できる地方債務の総額は30兆元に達するといわれている。そうなると、政府としては、何としても、不動産取引を活性化し、新たな物件の開発につながる環境を作りたいと思っても不思議ではない。 官製バブルの懸念も ? 以下の諸点は、あるネットメディア(http://mt.sohu.com/20160227/n438727687.shtml)の分析であるが、現在の不動産関連政策は、不動産市場の活性化のために、最近10年ないし、少なくとも2008年以来最も緩和された状況と分析している。こうしてみると国を挙げて不動産市場を下支えしようとする政府の意図が見て取れる。 (1)一戸目の住宅ローンの自己資金の下限がこれまでの30%から、地域によって20?25%に引き下げられている。二戸目以降は30%。 (2)住宅ローンの金利は08年以来最低レベル。 (3)2線都市は営業税が免除。 (4)不動産取引税の減税。 (5)上場不動産企業は、昨年3000億元の社債を発行したが、この金額は14年の18倍。 その他、別の上海の友人の話によると、二戸目の購入時で、かつ中古物件の購入の場合の自己資金の比率が70%から40%に引き下げられた影響が大きいと考えている。これまで二戸目を買えず、うずうずしていた人たちが一気に買いに入ったと。 ? もしそうだとすると、昨年の株式市場のように、もともとは市場の活性化を意図した中での、経済実態を反映しない株価の暴騰が、最終的には株価の暴落で治ったと同じことになるのではないかと心配している。もちろん、不動産は、株式と違って、実際に居住のための実需があるので一概にはいえないが、これまでの不動産開発に頼りすぎた経済成長政策のために、市場に供給しすぎて在庫になっている不動産があるなかでの話なので、こうした懸念が出ている。 大学生は自己資金ゼロで住宅ローンが組める ? もっと心配しているのは、遼寧省の瀋陽市で出された大学生は自己資金0でも住宅ローンを借りて住宅を買えるという政策。いずれ学生が住宅ローンを払えなくなり、中国版サブプライムになり、最終的に銀行にそのしわ寄せが行くのではないかと心配している。 ? 自分も不動産を複数所有しそれが資産形成になっているが、一方で、中国経済の健全な発展を考えると、不動産価格ばかりが上がる状況に対する疑念も強くもっている。これは中国でよく聞かれる笑い話であるが、本当の話である。中国はこれから産業の高度化が必要であるのに、これではだれもまともな事業に投資しようとはしないのではないか。 (1)10年前に自分の唯一の資産であるマンションを80万元で売却しそれを元手に事業を始めた。 (2)身を粉にして働いて事業は一応成功し、10年後に400万元の貯金ができた。 (3)この金で10年前に売却したマンションを買い戻そうとしたら400万元だった。 全く、中国経済の矛盾、問題点が凝縮された話である。 中国では、全国の土地を実態的には全て政府が所有しているので、地方財政の問題も、日本、欧米をはじめとした土地の私有性を前提とした国と単純比較はできないと思う。ただ、それにしても、財政の穴埋めをいつまでも土地使用権の払い下げによる収入に頼りすぎるのは、やりすぎればいつかは破綻することは間違いない。そのバランスを中国政府はきちんと分析、管理できていることを、中国に投資している者として切に願いたい。それ自体が悪いのではなく、度を越すことが危険なわけであるので。 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6276 上海の不動産が大変なことになってます! (その2) 売り手と買い手の認識のギャップ 2016年05月11日(水)高田勝巳 (株式会社アクアビジネスコンサルティング代表) 本年3月5日にアップさせていただいた、「上海の不動産が大変なことになってます!」の後日談がまた面白いので紹介したい。 不動産価格の上昇も早かったが、今回当局の対応も早かった。3月24日は上海市政府が、不動産の急上昇を抑える対策を発表した。主な政策は、今回の不動産の急上昇の原動力になっていた主要な買い手である上海市以外の戸籍を持つ買い手に対する制限だ。 iStock 上海市以外の人が上海の不動産を欲しがる理由
なぜ上海市以外の人が買いたがるかといえば、上海の不動産を買えば、上海戸籍は取れなくとも、上海の居住証と子息に上海の公立学校で教育を受けさせることができる権利を取得できるからだ。中国には、上海に居住したい中国人が数億人単位でいると言っても差し支えないであろう。 そこで、元々は上海の不動産を購入する前の2年間に合法的な納税と社会保険納付の記録があれば、上海の不動産を購入できたものを、今回の政策で5年延長した。 これにより、多くの外地の人が上海の不動産を欲しくても、買えないことになり、上海の不動産は一気に落ち着きを取り戻した。反対に言えば、5年以上合法的に収めてきた人が多くないということになるが。 と言っても値段が下がったわけではなく、ほぼ上がったままの価格で落ち着いたということ。ただ、上海の不動産仲介会社によると、その政策後は市場の雰囲気が売り手市場から買い手市場に一気に変わったとのこと。今回の相場で大きく売買が動いたのは3月の政策発表前までで、高めの売り出し価格を付けて、売れ残った物件はなかなか買い手がつかないと。 ちなみに、中国の毎日経済新聞によるとこの政策が発表されて前日に駆け込み需要が集中し、上海の一日の新築物件の販売件数が、なんと1700件、総面積で20万平方メートルを超えたとのこと(こうした情報が事前に漏れるところが中国らしくて面白い)。少なくとも、これまで在庫物件に苦しんでいた不動産デベロッパーを救い、さらなる土地の仕入れを促進したいという政府の目論見は見事に成功したといえる。 賃貸物件も値上がりし、日本人にも影響 とはいえ、今回の上げ相場、中国房地産協会発表のデータで見ると、平均で前年同期比30%程度の上昇となっている。ただ、人気のある上海中心部では50%超、上がったところもあるほどの過熱であったわけだが、これにより一時取得者のハードルはより上がり、また賃貸価格も急上昇している。日本の駐在員も契約更新による値上げで更新できず、より条件の悪い物件に移るケースも出てきているようだ。 また、値上がりを見込んだ業者が一棟もののサービスアパートを買収し、リノベーションした上で高値で分譲したり、さらに高級なサービスアパートにしたりして、より高値で賃貸する動きも活発になっている。日本人が多く住む虹橋地区でも同様の事例があり、日本人の世帯が百数十単位で追い出されるケースも出ており、同地区の賃貸市場の高騰に拍車をかけている。 同じく中国房地産協会発表のデータで見ると、上海の賃貸料は平均で前年同期比20%近くの上昇となっており、日本人が多く住む虹橋地区の人気物件の賃料の上げ幅はそれを上回るケースも多いようだ。 シンガポール、香港の投資家が売り逃げた? さて、今回私は複数の不動産仲介業者や最近不動産を買った友人と話をしていて面白い点に気がついた。どうも今回の相場で売り手に回っていたのは、香港、台湾、シンガポールなどの華人投資家と、その他の外国人投資家が多かったということ。私の友人である上海で工場を経営する奥様が中国人のフランス人ファミリーも5、6軒の不動産を所有していたが、昨年から今年にかけて全て売却し、今は豪華な賃貸マンションに住んでいる。 これには、最近世界で言われている中国経済のハードランディング懸念も影響されているようで、ここが売り時と感じた投資家が一気に売りに出た模様だ。その背景には、これまで多くの不動産投資をしてきた香港財閥の李嘉誠が中国不動産のポジションをほぼ売却し終わったという話や、ジョージ・ソロスが今年1月に語った中国経済のハードランディング懸念が根拠になっている模様である。 前者が売却した原因は、中国の先行きに対する懸念も確かにあるが、それよりもこれまでのようなおいしい思いを中国でさせてもらえなくなったからではないかと、私は想像している。後者については世界的な影響力は強すぎる大物であるので、どこまでが本音でどこからがプロパガンダなのか疑ってみたくなる気持ちも正直ある。 これに対し、買いを入れたのは、上記の通り、上海以外の中国人と売りに出た優良物件を拾いに来た上海の富裕層のようだ。5月の連休中にいつも情報交換している中国のエコノミストとゴルフに行った。ゴルフをしながら不動産の話になったら、なんと彼も今回の相場で優良物件を手に入れたと。自分が住んでいる高級マンションの1LDKを香港のオーナーが手放したので投資用に買ったとのこと。 上海の銀座通りと言われる南京西路まで歩いて10分くらいの一等地で、占有面積40平方メートル程度、30数階南向きの高級マンションの価格が約1億円。いつも、中国経済に対して極めて厳しい見方をする彼に「今こんな高値で買って大丈夫なのか?」と聞いたら、以下の回答だった。 上海の投資家はまだまだ強気 ? 現在中国経済が厳しい局面にあるのは確かだが、上海の不動産はこれからもまだまだ上がるとみている。 ? 今回の売り手の香港人は多分香港の李嘉誠を見て今が売り時と思ったのかもしれない。 ? しかしながら、政策が緩和されれば、まだまだ上海の不動産を買いたい外地の人が控えているし、中国経済が本当に厳しくなれば中国政府は、まだまだ経済を立ち直すカードを持っている。 ? それでもハードランディングはあるかもしれない、ただ、歴史的に見て、中国が危機に陥れば陥るほど中国人は上海に避難しようとして、上海の不動産はもっと上がる可能性だってある。日中戦争の混乱時にだって多くの中国人が上海に逃げてきたのと同じこと。 また、連休中、金融業で大成功している若手事業家にも話を聞いた。彼はバンドを見渡す浦東の金融センターに位置する3億円は下らない高級マンションに住んでるが、近くで5億円くらいの優良物件が売りに出ているので購入を検討していると。彼も上海の不動産がまだまだ安いとみており、香港の最高級の物件の単価は10倍するそうなので、上海もいずれ同程度になると見ていると。ただ、彼も中国経済はこれから波を繰り返すので、下振れたときは必ず買いを入れて優良物件を拾ってゆきたいとのことであった。 ここで私が言いたいのは、売り手と買い手の認識のどちらが正しいか? ということではない。外から見る中国と中から見る中国、また同じく中国で生活している人でさえ実際これほどの認識のギャップがあるということである。この認識の違いも一つのファクトとして認識しておくべきではないか。 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6731
「一人っ子政策」担当職員の新たな役割とは 中国、違反者摘発から「子育て指南」に転換 ENLARGE 「一人っ子政策」が廃止された中国は今、地方と都市部の格差を埋めるため、幼児教育に取り組み始めた(写真は陝西省) PHOTO: TAO MING/ZUMA PRESS By LAURIE BURKITT 2016 年 5 月 13 日 10:37 JST 【鎮安(中国)】ユー・フアジャンさんはこの30年間、中国の地方の村々へ出かけて、子供は1人しか持たないよう夫婦に説いて回った。違反者を摘発したり、説得して中絶させたりしたこともあったという。 だが昨年10月に一人っ子政策が廃止されて以降、ユーさんを含む全国の家族計画の担当職員50万人の一部は、今度は別のメッセージを伝えるために村の住民を戸別訪問している。子供との遊び方や読み聞かせなど、どうすればもっとよい子育てができるかを伝えているのだ。 方針転換は突然のことだった。だが自分は国にとって最良のことだと指導者が考え、自分もそう思えることを常に行ってきたとユーさんは話す。「私たちは今、教育に重点を置くべきだと思う。そのほうが有意義だ」 ユーさんによると、村人のなかには彼を門前払いにする人もいる。かつての役割が理由ではないかという。だが中国内陸部の陝西省にある人口1万1000人の鎮安の住民の多くは、地方の子供たちは恵まれていないと考えており、この新たな取り組みを歓迎している。 ENLARGE 都市部(青)と地方(黄)の教育水準の比較。上のグラフ:中学・高校・大学の入学率、下のグラフ:中学・高校の卒業率 1歳の息子を持つワン・フェイさん(24)は「都市部の子供たちはモノに恵まれている」と話す。「私たちは子供たちにそれほど多くは与えられない」。ワンさんはガソリンスタンドで働いており、稼ぎは月に約230ドル(約2万5000円)程度だ。仕事中はワンさんの母親が子供の面倒をみている。 中国共産党の指導部は一人っ子政策が生活水準を向上させたと言う。だが地方で暮らす中国人にとって、都市部の住民との格差は、中国経済が爆発的な成長を遂げたこの数十年間に大きく拡大した。 今日、地方の住民の1人あたりの年間可処分所得は1750ドル前後で、都市部の4770ドルを大幅に下回っている。中国の教育省とアジア開発銀行によると、高卒率は都市部の63%に対し地方では約3%だ。 高い技術を要しない製造業からサービス産業がけん引する経済への移行を政府が目指すなか、この格差に焦点が当てられるようになった。 3月に行われた全国人民代表大会(全人代)では教育分野への予算増を求める議案も提出された。入手可能な最新データによると、2011年に中国が教育に振り分けた予算は国内総生産(GDP)の4%で、米国の5.2%やスウェーデンの6.5%を下回る。 中国で35年間続けられてきた「一人っ子政策」が昨年廃止され、地方の家族計画の担当者は「子育て指南」という新たな役割を担うことに(英語音声、英語字幕あり) 「これは中国の時限爆弾だ」と、陝西師範大学で経済学を教えるシー・ヤオジャン教授は話す。シー教授は幼児教育のプロジェクトで政府に協力している。「道路は舗装され、ビルは建った。われわれに今必要なのは基準に見合う労働力の供給だ」 一人っ子政策が廃止されたとはいえ、中国は新たに「2人まで」という制限を設けた。家族計画の担当職員は引き続き避妊具を配布し、子供の出生記録をとり続けている。子供を望む夫婦は今でも当局に申請しなければならない。 ユーさんは地元政府の別の職種に昇進したため、まもなく担当を外れることになる。彼は家族計画の担当職員として中絶を説得した最初の女性のことを今でも覚えている。彼女は37歳ですでに息子が1人いた。ユーさんは3日間、夫婦のもとを離れずに説得した。食いぶちが少ない方が暮らしは良くなると言い続けた。その間、夫婦に油やコメ、砂糖などを自腹で買い与えた。そして最終的に夫婦は折れたという。 関連記事 • 「一人っ子政策」から取り残された中年層 • 中国のSUV人気、一人っ子政策の廃止が一役 • 【社説】「一人っ子政策」の弊害、今後数十年続く https://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AI885_CCHILD_16U_20160422064811.jpg
意外にも心配無用? 中国経済失速が日本に与える影響とは 2016年05月12日(木)塚崎公義 (久留米大学商学部教授) 急成長を続けて来た中国経済に変調が見られるようです。悪くすると不良債権が積み上がって90年代の日本経済のようになるという人もいます。世界第二の経済大国であり、米国と並んで日本の最大の貿易相手国である中国の経済が万が一失速するような事になったら、日本経済はどうなるのでしょうか?
人で賑わう夜の上海の街並み(iStock) 中国進出企業は大打撃だが……
日本企業は、中国の安価で豊富な労働力を利用するため、積極的に工場進出を進めて来ました。最近では、現地の旺盛な需要に応えるべく、現地で作って現地で売るための工場の進出も活発化しています。そうした状況下、中国経済が失速することになると、進出している日系企業にとっては大きな打撃です。 しかし、日本経済に対する打撃としては、心配するほどの事はないでしょう。現地に進出している日系企業は、資本こそ日本資本ですが、中国の企業です。彼等が仮に倒産したとしても、失業するのは中国人です。日本企業は、出資金を失うことになりますが、それが直ちに日本の景気に影響するものではありません。 中国向けの輸出が激減したら…… 日本から中国に向けては、巨額の輸出が行なわれています。中国経済が失速して中国人が物を買わなくなったら、日本の輸出企業が大打撃を受けるでしょう。それが日本の景気を腰折れさせる事が懸念されます。 しかし、中国経済の失速の度合いにもよりますが、日本経済への影響は、人々が心配しているほどは大きくならない可能性が高そうです。リーマン・ショックの再来といった事にはならないので、過度な懸念は不要です。 日本から中国に輸出された物は、中国国内で消費される物もありますが、3割程度は加工されて米国等に輸出されていく物です。日本製品は品質は良いが値段が高いので、心臓部の部品だけは日本から輸入して、それ以外はアジアで調達して中国で組み立てて米国に輸出する、という企業が中国には数多くあるからです。 つまり、中国人が消費を減らしても、米国人の消費が減らなければ、日本から中国への輸出の一部は無傷だ、という事になります。リーマン・ショックの打撃が大きかったのは、米国の不況で日本の対中国輸出が減った事も一因でしたが、今回は逆のことが起きるわけです。 人民元安になっても影響は小 リーマン・ショックが日本経済に大打撃となった一因は、ドル安円高を招いたことです。リーマン・ショックで米国が不況になると、FRB(米国の中央銀行)が金融緩和をしました。米国の金利が低下したのです。これにより、日本の投資家が米国国債を買わなくなりました。従来は「米国国債への投資は、為替リスクがあるから望ましくないが、日本国債より遥かに金利が高いことを考えれば実行する価値がある」と考えた投資家たちが、円をドルに換えて米国債投資を行なっていましたが、そうした投資家が消えてしまうと、ドル買い需要が減少し、ドル安円高になってしまったのです。 米ドルは基軸通貨であり、日本の貿易の多くはドル建てで行なわれていますので、ドル安円高は日本の輸出企業にとって大きな打撃となります。 しかし、仮に中国経済が失速して、中国の中央銀行が金融を緩和して、円高人民元安になったとしても(日本と中国の間の投資には規制が大きいので、円高人民元安になるか否か、わかりませんが)、日本の貿易には大した打撃にならないでしょう。これもリーマン・ショックとの大きな違いの一つです。 中国経済の失速は資源安を通じたメリットも 中国経済は、GDPこそ米国より小さいですが、資源消費量としては圧倒的に世界第一です。その中国の経済が仮に失速すれば、世界中の資源価格が暴落することは間違いありません。 日本は資源に乏しく、その多くを輸入に頼っていますから、資源価格の暴落は日本経済にとって非常に大きなプラスになります。 今回の原油価格の下落だけでも、消費税の3%分を上回る輸入金額減となったわけで、アラブの王様が消費税増税分を返してくれたくらいのプラス効果があったわけです。 以上を総合的に考えると、中国経済が仮に失速したとしても、失速の程度にもよりますが、日本経済への打撃はそれほど大きくならないと考えて良いでしょう。少なくとも、米国経済が失速した場合とは比べ物にならないほど小さな影響だ、という事は覚えておきたいものです。 そもそも中国経済は失速するのか そもそも中国経済は本当に失速するのでしょうか? 筆者は中国経済の専門家ではありませんが、中国経済の専門家たちの話を聞く限り、日本のマスコミで懸念されているほど中国経済は悪くない、という印象を持っています。 おそらく、中国経済のウエイトが製造業や建設業からサービス業にシフトしつつあるのでしょう。これは、ペティ=クラークの法則に沿った自然な動きです。それにより、工業生産等は減っていますが、それによる雇用の減少分はサービス業がカバーしているので、それほど失業者が溢れているというわけでは無さそうです。 中国のGDP統計等は信頼性が低いため、輸出入統計や貨物輸送料統計など、製造業関連の数字から中国経済の状況を推測しようとする場合が多いのですが、そうした試みでは製造業からサービス業へのウエイトシフトが起きている時に実態を見誤る可能性があります。 今後も、中国経済の動向には要注目ですが、過度に悲観的な観測に惑わされない事が必要なのかも知れませんね。 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6602
英ポンド、国民投票結果に関係なく荒れる見通し 英ポンドは、6月23日の国民投票にかけて不安定な動きとなる公算が大きい。(英議会を背景にはためくユニオンジャック) By MIKE BIRD 2016 年 5 月 13 日 12:58 JST 英中銀イングランド銀行は12日、英国が6週間後に欧州連合(EU)からの離脱を決めた場合の影響について、これまでになく明確に警告を発した。 ブレグジット(英国のEU離脱)が決まるかどうかに関係なく、英ポンド相場が不安定になることだけは確実に予想される。 ポンドはこの日、英中銀の記者会見を受けて米ドルに対して前日比0.6%余り上伸し1.4531ドルをつけた。英中銀は会見で、政策金利の据え置きをまた全会一致で決めたと発表した。12日の北米市場では1.4450ドル前後まで反落して取引を終えた。 他の通貨バスケットに対するポンドの平均相場を示す英中銀のポンド指数は、昨年11月につけた高値から9%程度下落している。英中銀は12日、この下げの半分程度は6月23日の国民投票を巡る不透明感によるものだと指摘した。 つまりポンドは国民投票が見込まれなければあるべき水準よりもはるかに弱いということで、EU残留が決まれば反転上昇する可能性があるという意味だ。 足元のポンド安がどの程度、国民投票の見通しによるものなのか正確に計算するのは難しいが、6月23日の投票日前後に為替相場がどのくらい不安定になるかに大きく関わってくる。 英中銀は、最近の通貨安に国民投票がどの程度影響しているか異なる比率の仮定に基づき独自の計算を行い、さまざまな見通しを示した。 11月以降の通貨安がすべて国民投票のせいだとすれば、この年末にポンドは年初より1.2%下げるにとどまるだろうと英中銀はみている。つまり、不透明感が解消すればポンドは大幅に上昇する可能性がある。 だが、国民投票に対する懸念がポンド相場に大きな影響は及ぼしておらず、わずかな景気減速の兆候など他の要因が影響しているならば、年末のポンドは年初よりも10.7%下落すると推定している。これは英国がEU残留を決めた場合のことだ。 昨年11月18日以来の英ポンド相場 https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-NZ562_BOEPOU_M_20160512092132.jpg 外国為替相場にとっては、1.2%の下げと10.7%下落の違いは大きい。ポンドが強くなれば国外からの輸入品価格が安くなるので、為替相場は英中銀のインフレ見通しにも影響する。
ここ6カ月にみられた9%の下げの半分が国民投票を背景とするものだと言う英中銀の仮定が正しければ、EU残留を決めればこの4.5%の下げ幅はかなり速やかに解消するはずだ。 だが、英国がEU離脱を決めた場合、ポンド相場はどうなるのだろうか。ポンドは落ち込む見通しだ。イングランド銀行のカーニー総裁は、ポンド安の正確な推定を用いないまでも、「おそらく急激に、もっと下落する」と言うことは認めるだろう。 ブレグジットに至った場合にポンドがどれだけ下落するか、アナリストの推定では最大20%とされている。 いずれにしても、ポンド相場は今後2カ月間は不安定で、特に6月24日には大きく動く可能性が高い。 関連記事 英EU離脱問題特集 英金融政策、EU離脱投票後はこうなる 英、EU離脱で成長率低下・物価は上昇へ=中銀
Business | 2016年 05月 13日 02:09 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
EU離脱なら景気後退、英中銀総裁「リスク説明は責務」 [ロンドン 12日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は12日、来月の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決まれば、経済は急減速して、景気後退に陥るとの見通しを示した。 ポンドが急落し、失業率は上昇する恐れもあると、EU離脱が決まった場合の影響を警告。金融政策対応には限界があると説明した。 カーニー総裁は記者会見で「成長が著しく減速し、特にインフレが大きく上昇する」と指摘、テクニカルな景気後退の可能性にも言及した。 英中銀はこの日、予想通り政策金利を過去最低の0.5%に据え置くと決めた。資産買い入れプログラムの規模も3750億ポンドに据え置いた。 金融政策委員会メンバーの数人が利下げを主張するとの観測に反し、全会一致で据え置きが決まったことを受け、ポンドは対ドルで6取引日ぶりの高値をつけた。 国民投票をめぐる緊迫した状況は、すでに景気の重しとなりつつある。中銀は国民投票でEU残留が決まる場合を想定しても、今年の経済成長率予想を2月時点の2.2%から2.0%に引き下げた。 カーニー総裁は、EU離脱への中銀の対応には限度があると指摘。「ショックに伴う影響のすべてを、金融政策で直ちに相殺できない」と述べた。 オズボーン財務相は中銀の認識を歓迎、EUからの離脱が不利な状況を招くことを示した「明確で疑いようのない警告」と指摘した。 EU離脱派の一部は、カーニー総裁が中銀の中立性を逸脱したと批判する。ラモント元財務相は、カーニー総裁の発言について「軽率」と述べた。 カーニー総裁は、EU離脱に伴う短期の景気リスクを示すのは中銀の責務と反論した。 中銀は、経済成長率見通しを引き下げた。生産性が低下し、家計が支出に対する慎重姿勢を強めるとみられるためだ。 国内総生産(GDP)について、17年予想が2.3%(2月予想2.4%)、18年は2.3%(同2.5%)に引き下げた。 インフレ率予想は、2年後を2.07%(2月予想は2.05%)、3年後を2.23%(同2.25%)とした。 http://jp.reuters.com/article/england-bank-polcy-idJPKCN0Y31GV?sp=true 英金融政策、EU離脱投票後はこうなる ENLARGE イングランド銀行のカーニー総裁 PHOTO: BLOOMBERG NEWS By RICHARD BARLEY 2016 年 5 月 13 日 12:50 JST 英イングランド銀行(中央銀行)のカーニー総裁は12日、英国が6月23日の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)を選択した場合、何が起こるかについて質問攻めにあった。 選択に伴う不透明さを考えれば無理もない。ブレグジットが選択されれば市場にとっての見通しは暗いだろうが、残留の場合でも投資家にとってはやはり平穏な航海となりそうもないからだ。 質問に対しカーニー総裁は、英国経済に対するリスクについて率直に指摘した。離脱の場合、「成長への経路が大幅に下振れし、インフレの経路は目に見えて押し上げられるだろう」とし、ポンドも「著しく」下落して、イングランド銀の政策担当者は「困難なトレードオフ」に直面すると述べた。この言葉は、中銀がマクロ経済の落ち込みを表す際の常套句だ。また、「Rワード」という表現まで使ってリセッション(景気後退)のリスクがあることを認めていた。 こうした状況におけるイングランド銀の対応について、はっきりしていることなどほとんどない。英国経済に作用する様々な要因次第の部分が大きく、海外投資家によるポンド建て資産売却で国際収支危機に陥るリスクもある。金融危機後、ショックには金融緩和で対応することが常識となっているが、カーニー総裁はこのような対応が「自動的」に実施されることはないと述べた。必要に応じて政策措置を講じると約束する一方、総裁は投資家に対し、こうしたショックの悪影響が金融政策だけで解消できるものではなく、また、中期的な成長可能性に影響することもないと語った。 一方、国民投票で残留が決まった場合、イングランド銀の方針に対する関心は相対的に低くなるだろう。ただ、その際の方針は、政府による政策が広範に実施されるという基本的想定に基づいた中銀の中心的シナリオの基盤をなすこととなる。 これに基づけば、インフレ率はやはり目標を上回ると予想され、2年間にわたり上昇するもようだ。また、経済の余剰生産力は来年早い段階で解消するとみられる。総合インフレ率も、原油安による下押し圧力が消えるにつれ今後1年間は上昇するはずだ。この見通しにおける世界経済のリスクは(ブレグジットを除き)すでに後退しているように見える。これは、経済へのリスクは主に海外要因だとしていた従来のイングランド銀の分析と対照的だ。 ENLARGE 英国の国内総生産(GDP)成長率(前期比) 国民投票前の不透明感で停滞した経済活動がどの程度早く回復するのか、という問題があるのは事実だ。今年1-3月期の成長率は前期比0.4%増に減速した。しかし、投票結果が残留となれば、国内では利上げ議論が再燃するだろう。 賃金の伸びや生産性について引き続き懸念が大きいため、イングランド銀が利上げを急ぐことはまずないだろう。しかし、市場では利下げが大きく織り込まれており、利上げは3年後までないとみられていたため、利上げ議論が再燃すれば急激な変化だと言えそうだ。 投票結果でEU残留が決まっても、英国の政治にとってほとんど永遠の課題とも言える欧州との関係に関する議論が決着することはないだろう。ただ、金融政策については比較的早く通常の状態に戻る可能性が高い。 関連記事 • 英EU離脱懸念よそにポンド堅調、反転の恐れは消えず • 英EU離脱問題、解決の鍵は「残留派完勝」 • 英EU離脱問題特集 • FRB利上げ予想、英国民投票前に見解割れる=WSJ調査 https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-NZ638_ukherd_G_20160512111752.jpg
Business | 2016年 05月 13日 12:57 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス ギリシャ債務返済策、禁じ手かなり少ない=ユーログループ議長 [ロンドン 12日 ロイター] - ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のデイセルブルム議長は12日、ロイターに対し、ギリシャの歳出削減や改革に関する計画が5月24日のユーログループ会合までにまとめるとみられるため、債務軽減プログラムの協議が開始されると語った。 議長は債務再編の具体的な形式については明言を避けたものの、「(ギリシャと)ユーログループの協議で素晴らしいのは、レッドライン(超えてはならない一線)がきわめて少ない点だ。唯一、禁じ手とされるのは名目ヘアカット(債務の減免)だ」と語った。 議長は、ギリシャとユーロ圏財務相との9日の協議は順調に進んだと発言。「次回のユーログループ会合では、すべての協議項目について完全かつ正式な合意を目指したい」と語り、ギリシャが年金改革、税制改革、民営化基金などの詳細を次回会合までに詰めることを期待する、とした。 また、ギリシャには緊急の支援が必要だが、現在の支援プログラムが終了する2年後と、さらにその後の支援の可能性に関するロードマップも必要だと指摘。 「まずは(2年という)短期間で何ができるか、債務のリプロファイル(繰り延べ)や、一部の高利ローンの返済を早めて低利のローンに置き換えるために何ができるかを検討すること」が必要とした。 「第二に支援プログラム終了時に何かできるか、第三に、その後数十年にわたってすべてが順調に進むことをどのように保証できるか」をいま検討すべきとの考えを示した。 http://jp.reuters.com/article/eurozone-greece-dijsselbloem-idJPKCN0Y408D
「イスラム国」勢力拡大の軌跡−忠誠誓う分派 ENLARGE PHOTO: BOKO HARAM PROPOGANDA VIDEOS By KAREN LEIGH, JASON FRENCH AND JOVI JUAN 2016 年 5 月 13 日 13:04 JST 過激派組織「イスラム国(IS)」は2014年6月、中東で「カリフ(予言者ムハンマドの後継者)」を最高指導者とするイスラム国家の樹立を宣言した。それから22カ月ほどたった現在、ISはナイジェリアからロシア、アフガニスタンまで広範囲にわたる国々に関連組織を築き上げたと主張している。情報を入手しにくいことも手伝い、イスラム教スンニ派の過激派組織であるISと、それにつながる勢力との関係は多種多様な性格を持ち、不透明でさえある。ISおよび関連勢力は、人質の殺害や戦闘訓練、西側諸国からの脅威を描いた動画など、インターネット上にプロパガンダとなる材料を大量に流している。これまでに出現したIS関連勢力の一部を紹介する。 (訳注:この記事では特別な記述がない限り、「ISが主張する行政区画」を「州」と表記しています) 【リビア】 ・トリポリ州、バルカ州、フェザーン州 ・メンバー数:リビア情報当局と米政府関係者によると約5000人 北アフリカのリビアでは、元最高指導者カダフィ大佐が2011年に失脚して以降、政治的混乱に乗じてISが勢力を伸長させた。2014年後半から、武装した3つのイスラム系グループ――西のトリポリ、東のバルカ、南のフェザーン――がISの指導者であるアブ・バクル・アル・バグダディ容疑者に忠誠を誓った。3つのグループは主に活動地域で区別されるが、中心的な指揮系統でつながっていると考えられる。各グループはトリポリ、ミスラタ、デルナ、ベンガジを含むリビアの主要都市に戦闘員を擁し、全く共通点のない場所で頻繁に治安部隊との戦闘を繰り返している。次第に「トリポリ州」が3つの中で最も強大となり、リビア国内で最も人口の密集した首都で活動している。 また、トリポリ州のグループはカダフィ大佐の生まれ故郷で地中海に面したシルトを占拠。これはシリアとイラク以外でISとつながりを持つグループが支配する唯一の都市である点で重要だ。米国はこれまでにトリポリ州のグループが占拠する地域を2度空爆し、IS戦闘員を殺害してきた。一方、他の2グループは大規模な石油貯蔵施設のある地域で活動。こうした施設がグループの資金源になっている可能性がある。 Source: Libyan intelligence officials and military analysts; Video: edited from Tripoli, Barqa, Fezzan Province propaganda videos — Tamer El-Ghobashy 【イエメン】 ・サヌア州 ・メンバー数:専門家らの推定で数百人 2015年3月、イエメンの首都サヌアにISとつながりを持つ主要な組織が初めて出現した。このグループはほどなく、サヌア全域でイスラム教礼拝施設(モスク)を狙った一連の爆破テロ事件に関する犯行声明を出した。これはサウジアラビアが率いる連合軍とイスラム教シーア派との紛争で生じた治安上の空白を突いた格好だ。 専門家によると、ISに関連する他の小規模グループと同様に、「サヌア州」のメンバーは主に「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」からの離脱者で占められている。AQAPはイエメンに拠点を置く国際テロ組織アルカイダ系の団体で、世界で最も危険なテロ集団の一つと見られている。サヌア州では、ISの巧妙なプロパガンダと残酷さに引き寄せられてきたメンバーが多くを占める。 Source: Analysts; SITE Intelligence Group; local news reports; Video: edited from San’a Province propaganda videos — Asa Fitch 【エジプト】 (シナイ半島北部) ・シナイ州 ・メンバー数:テロ専門家らの推定で数千人 かつてエジプトで最も強力な独立武装組織だった「シナイ州」(旧名アンサール・バイト・アル・マクディス)は、2014年11月にISに忠誠を誓った。活動地域は主にシナイ半島北部で、アフガニスタンとイラクで戦った経験のあるエジプト人のジハード(聖戦)主義者で構成されている。また、メンバーには地元のベドウィン族、アルカイダを離脱したエジプト人も含まれる。 シナイ州の武装勢力は攻撃力とその精度を高めてきた。2015年7月、武装勢力はシナイ半島のエジプト軍駐留地で同時多発的な自爆テロを実行したほか、政府治安部隊と衝突して少なくとも21の部隊を壊滅させた。その3カ月後、シナイ半島北部でロシアの旅客機が墜落し、乗客乗員224人全員が死亡するという事件が発生したが、シナイ州のグループはこれに関する犯行声明を出した。彼らは領土を掌握したと主張していない。ただ、エジプト軍の作戦行動でシナイ半島の一部が孤立する中、グループは同地域の一部住民から生活必需品などの支援を受けている。エジプト政府は、同国でISが一般市民から支持を受けていることは一切ないと述べている。 Source: Analysts; The Tahrir Institute for Middle East Policy; video: edited from Sinai Province propaganda videos — Tamer El-Ghobashy 【アフガニスタン】 (主に東部のナンガルハル、ヘルマンドの一部) ・ホラサン州 ・メンバー数:アフガン政府の推計で数千人 ISは2015年1月、アフガニスタンに新しい州を設置したと発表した。「ホラサン州」という名前は、アフガンとパキスタンの一部を含む歴史的地域にちなんで付けられた。同州の大半は「パキスタン・タリバン運動(TTP)」に不満を持つメンバーが占めているが、アフガンの反政府武装勢力タリバンや「ウズベキスタン・イスラム運動(IMU)」など、他のイスラム武装組織に属していた戦闘員も含まれる。 ホラサン州のグループはアフガン政府治安部隊やタリバンと衝突してきた。特にタリバンは、このジハード主義者の新興勢力に対抗するため特別戦闘部隊を創設した。グループ間の衝突は、ホラサン州が基盤を固めようとしてきた東部ナンガルハルにおいて特に著しい。米国とアフガン政府軍はホラサン州の多くの新指導者を標的にし、殺害してきた。 今年1月16日にはアフガン東部のジャララバードにあるパキスタン領事館が襲撃される事件が発生し、ホラサン州のグループが犯行声明を出した。彼らがアフガン国内でパキスタン政府を襲撃したのはこれが初めてだ。この事件ではアフガン政府の治安部隊7人以上が死亡。その1週間後、アフガンのアシュラフ・ガニ大統領はホラサン州を「葬り去る」と宣言した。 Source: Security and government officials; local residents; video: edited from Khorasan Province propoganda videos. — Margherita Stancati 【ナイジェリア北東部】 (カメルーン、ニジェール、チャド国境付近) ・ボコ・ハラム(IS西アフリカ州) ・メンバー数:ナイジェリア政府の推計で数千人 数カ月にわたってISと接触した後、ボコ・ハラムは2015年3月にISへの忠誠を誓い、グループ名を正式に「イスラム国・西アフリカ州」に変更した。ナイジェリア政府軍による最近の攻撃により、ボコ・ハラムは同国北東部における支配地域を縮小させた。 ISとの連携以降、ボコ・ハラムから数百人のメンバーが政府軍に投降したが、指揮系統の乱れに不満があるとの声も聞かれた。ただ、ボコ・ハラムはナイジェリアだけでなく、その周辺国にとっても脅威となっており、カメルーンやニジェール、チャドで国境をまたぐ攻撃を仕掛けている。 ここ数年、ナイジェリアで発生した大きなテロ攻撃のほぼ全てにボコ・ハラムが関与してきた。2014年には北東部チボクの学校から数百人の女子生徒が拉致されたが、これを受けて世界的に「私たちの少女を返して」と訴える運動が広がった。米ニューヨークを拠点とする外交問題評議会によると、ボコ・ハラムと政府軍との衝突で2万8000人以上のナイジェリア人が死亡。国連によると、これ以外に250万人が家を追われたという。 Source: Officials, witnesses and Boko Haram statements, Council on Foreign Relations, U.N.; video: edited from Boko Haram propoganda videos — Drew Hinshaw 【サウジアラビア】 ・ナジュド州 ・メンバー数:サウジ専門家らの推計で数百人 「ナジュド州」は2015年5月以降、サウジアラビアとクウェートにある3カ所のイスラム教シーア派モスクを攻撃し、犯行声明を出した。一連の攻撃による死者数は合計で50人に上り、両国における治安体制を揺るがしたばかりか、ISが参加を募るためにサウジとクウェートに入り込んでいるとの懸念を浮上させた。 サウジ王国中央部の地名を取ったナジュド州のメンバーは、アルカイダの元メンバーと一般の若者から構成されているようだ。攻撃を仕掛けた戦闘員の大部分は25歳以下と若い。武装勢力はシーア派を異端と見なしており、スンニ派に転向すべきだと考えている。また、ナジュド州は西側と同盟を組むスンニ派によるサウジ指導体制を転覆させようともくろんでいる。サウジ当局は2014年以降、グループのメンバーと思われる数十人を逮捕してきた。 Source: Official Saudi government statements, analysts; video: edited from Najd Province propoganda videos — Ahmed Al Omran 【ロシア】 (北カフカス地方) ・カフカス州 ・メンバー数:不明 ロシア南部のカフカス地方(イングーシ共和国、チェチェン共和国、ダゲスタン共和国)では、ジハード主義者を率いる複数人が2014年後半、アブ・バクル・アル・バグダディ容疑者に忠誠を誓った。数カ月後の2015年6月、ISのアブ・モハメド・アドナニ報道官はこれを正式に受け入れ、アブ・モハメド・カドリ氏を組織の長に指名した。ISによるカフカス地方への侵入は、アルカイダと結びつきのある「カフカス首長国」にとって打撃だ。カフカス首長国は長く、この地域でジハード主義にのっとった反政府活動の大半を実行してきたからだ。これまでに首長国の上級幹部の多くが「カフカス州」に流れていった。 Source: Institute for the Study of War in Washington, D.C.; video: edited from Caucasus Province propaganda videos — Matt Bradley 原文(英語):Islamic State and Its Affiliates 関連記事 • ナイジェリア、経済急成長に急ブレーキ 原油安が痛手 • ボコ・ハラムからの解放女性、恐怖を語る • IS、リビアのシルト支配強化 シリア・イラク以外で初 • イエメンでアルカイダ系過激組織が勢力拡大 • タリバン内部で権力闘争、ISに走る戦闘員も オマル師の死で • 過激派に誘拐のナイジェリア女子生徒、自爆テロ志願か • シリア情勢特集 https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-NZ501_0513_I_NS_20160512054153.jpg
ブラジル、経済など問題山積 ルセフ氏退陣でも 暫定大統領就任の辞令を受け取るテメル副大統領(中央)も国民に不人気だ By PAULO TREVISANI AND REED JOHNSON 2016 年 5 月 13 日 10:59 JST 【ブラジリア】ブラジル上院は12日、不正会計の容疑でルセフ大統領(68)に対する弾劾裁判を開始することを賛成55、反対22の賛成多数で決定し、同大統領は職務停止に追い込まれた。国民は同大統領の停職を歓迎しているが、ブラジルの政治・経済は厳しい状況にある。大統領代行を務めるテメル副大統領(75)は、ルセフ氏と同様に国民に不人気だ。ブラジルの変革に向けて開かれている窓は狭い。 「裏取引」で有名なテメル副大統領は、弾劾裁判中最大6カ月間大統領職を代行する。ルセフ氏は有罪となれば罷免され、テメル氏がルセフ大統領の残り任期2年半の間大統領を務める。しかしテメル氏も、ルセフ氏と同じく汚職容疑で弾劾裁判にかけられる可能性がある。 ルセフ大統領は、弾劾裁判開始決定を受けて支持者を前に演説し、不正会計容疑を否定し、弾劾裁判はクーデターだと非難した。同国最大の労組の1つである中央統一労組(CUT)は、テメル政権を認めないとの立場を表明した。 ブラジルの金融・資本市場の反応はまちまちだ。12日の同国為替市場ではブラジル・レアルの対ドル相場は1ドル=3.4716レアルと、前日引け値の3.4466レアルから下落した。一方サンパウロ株式市場のボベスパ指数は、前日比0.9%高の5万3241で終わった。 テメル暫定政権の前途は多難で、新時代の幕開けという高揚感も短命に終わりそうだ。ブラジルは、21世紀に入って最悪の経済縮小に見舞われ、国営石油公社ペトロブラスをめぐる大規模な汚職事件に揺れている。そこにジカ熱が発生した。ルセフ大統領が率いる左翼は、弾劾裁判に激しく反発している。 弾劾裁判開始が決まったルセフ大統領(英語音声、英語字幕あり) ブラジリア大学のパウロ・カルロス・カルモン氏(政治学)は、「今や焦点はテメル氏に絞られている」とした上で、「彼がやる気を見せられる時間は短いだろう」と述べる。同国経済は停滞し、政治は分裂しており、国民の多くはルセフ氏と同様にテメル氏も嫌っている。 テメル大統領代行の最優先課題は、大恐慌以来の最悪の景気後退に陥っている経済の立て直しである。昨年の国内総生産(GDP)は3.8%落ち込み、2016年も少なくとも同程度の縮小に見舞われそうだ。政府債務や財政赤字は急増し、金利は急騰している。失業率は2桁台に達し、インフレ率は10%近くまで跳ね上がり、3大格付け会社は同国の国債格付けをジャンク(投機格)級に引き下げた。 テメル暫定政権が順調なスタートを切れなければ、ブラジル国民は不満を爆発させるとの見方が大勢を占めている。テメル氏は、早急な景気回復と政治の安定化を約束し、元中央銀行総裁のエンリケ・メイレレス氏を新財務相に指名した。同氏を中心とした市場重視型の経済チームを編成することで、投資家を安心させようとしている。メイレレス氏は歳出カットと補助金の削減に重点的に取り組む姿勢を示している。 関係者によれば、テメル氏はまた、トンビニ同国中央銀行総裁を更迭し、後任に大手銀行イタウ・ウニバンコの首席エコノミストであるイラン・ゴールドファジャン氏を起用する方向という。テメル氏は12日、財政緊縮化を考慮して、閣僚ポストを現在の32から22?24に減らすことを明らかにした。ただ、経済チーム以外には閣僚には有能と目される人物はほとんどいない。また女性や黒人が入閣していないため、早くもソーシャルメディアでは批判を浴びている。 テメル暫定政権は、差し迫った経済問題に加え、緊急に取り組む必要のある課題が山積みとなっている。ジカ熱の拡大や、ブラジル南東部の長引く干ばつ、8月のリオデジャネイロ五輪の準備作業など社会情勢も厳しい。 関連記事 ブラジル、大統領弾劾裁判が決定 【寄稿】大統領弾劾もブラジルに救いなし ブラジル、大統領の弾劾成立なら景気好転か−投資家は強気姿勢 政治危機下のブラジル、中銀の独立性めぐる議論再燃か https://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AJ732_BRAZBI_M_20160512170904.jpg ガス自由化で起きる「パンケーキ問題」 電力・ガス自由化で広瀬道明・東京ガス社長 2016年05月11日(水)中西 享 (経済ジャーナリスト) 東京ガスの広瀬道明社長は日本記者クラブで講演し、電力料金の自由化について「2020年までに首都圏の世帯数(1100万)の1割の獲得を目指す」と述べた。4月に始まった電力料金の完全自由化では同月下旬の段階で74万件が新しい電力会社への契約切り替えが行われ、そのうち東京ガスは同月25日現在で28万件を獲得、自由化後では最大の件数になっている。 iStock 広瀬社長は1割獲得の目標について「スタートしてみると1割は非常に高いハードルだと思っているが、この旗はそのままで努力したい」と強調した。東京ガスは16年度を電力小売り事業に進出する「第二の創業」と位置付けており、新しい顧客獲得に力を注ぐ方針だ。
電力料金自由化がスタートして以来、首都圏では事実上、守る立場の東京電力と攻める側の東京ガスの戦いになっており、両社ともに電力料金引き下げにつながる料金プランを発表している。 現在、電力小売り事業には全国で200社余りが参入してきているが、消費者の関心はいまひとつなのが現状で、思ったほど切り替えが進んでいない。今後、東京ガスが目標の1割を達成するためには、消費者にとって魅力的な料金プランを示せるかどうかにかかっている。自由化による顧客獲得の営業方針としては「単にエネルギーを安く供給するだけでなく、エネルギーを柱にサービス面を含めた新しい生活スタイルを提供したい」と指摘した。 「パンケーキ」問題 来年度から予定されているガス料金の自由化については「来年スタートすることになっているが、実際にはもう始まっている。電力会社を含めて多くの事業者がそれを見通していろいろな動きをしている。価格が安くなるだけでなく、安定的にリーズナブル価格で提供することが必要だ」と述べた。 導管を使うガスの輸送では、複数のガス事業者が供給区域をまたいで顧客にガスの供給を行う場合、供給区域を越えるごとに託送料金を上乗せされることからパンを重ねる状態に例えて「パンケーキ問題」と言われている。 電力の自由化ではガス会社などの新規参入の業者が既存の電力会社を跨いで送電線を使う場合は、既存の電力会社と平等に費用を負担し公平な競争条件になっているが、 現段階では新規業者がガスの導管を使った場合は既存ガス業者よりも負担が大きくなっており、電力会社などからは このまま自由化された場合には不公平ではないかという意見が出ていた。 これについて広瀬社長は「いろんな事業者を経由すると託送料金が積み上がってくる。この問題は現在、審議会で検討されており6月には結論が出るので、結論が出たらそれに従いたい」と話した。 LNGの供給力拡大 東京ガスはLNG(液化天然ガス)の取扱量は1408万トンで、日本全体の約15%を占めている。これまで東京湾内部に袖ケ浦(貯蔵能力161万トン)、根岸(同119万トン)、扇島(同85万トン)の3つの貯蔵基地があったが、北関東地域への輸送を強化するため茨城県の日立港に新たに基地(同23万トン)を建設し、今年3月から稼働している。 日立港基地は2期工事も計画されており、さらに貯蔵能力を増やす方針だ。これにより北関東向けの新たなLNGの供給ルートができることになり、供給能力が拡大する。東京湾外に初めてLNG基地を設けたことは、現在の貯蔵基地が東京湾に集中していることで、首都直下型地震が起きた際のリスク対策にもなるとみられている。 広瀬社長はLNGの輸入先について「いまは6カ国からLNGを輸入しており、半分がオーストラリアから来ているが、来年から米国のシェールガスも輸入する」と述べ、LNG供給先のリスクの分散が図れる考えを示した。 また、再生可能エネルギーへの取り組みについては「2030年、40年まではガスの時代が続くと思うが、100年後には再生可能エネルギーが重要になるので、今後は再生可能エネルギーにもっと取り組みたい」と再生可能エネルギーに前向きな姿勢を示した。 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6746
[32初期非表示理由]:担当:関連が薄い長文
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