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「回転寿司業界危機説」5つの根拠を検証する(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan108/msg/547.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 5 月 13 日 08:38:10: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

           今や絶好調の回転寿司チェーン。しかし、2年ほど前には業界危機説がささやかれていた


「回転寿司業界危機説」5つの根拠を検証する
http://diamond.jp/articles/-/91063
2016年5月13日 鈴木貴博 [百年コンサルティング代表] ダイヤモンド・オンライン


 2年ほど前、「回転寿司業界に危機が来た」という報道が相次いだことがあった。もともと原価率が高く輸入食材に頼る経営構造の下で、円安ドル高が打撃になり経営が苦しいというのだ。それがどうだろう。あれから2年たってみて、いまだに回転寿司は絶好調である。

 今回のコラムでは「回転寿司業界の将来は苦しい」という根拠とされてきた5つの都市伝説を取り上げて、一つひとつ、その予測が正しいのか間違っているのかを戦略コンサルタントの視点で検証してみたい。

■都市伝説1:回転寿司業界の成長は鈍化している

 業界の危機説が最初に登場したのは2013年。それまで2ケタ成長を続けてきた業界トップの「あきんどスシロー(以下、スシロー)」の売上高が2013年9月期に対前年6.5%と成長鈍化したことがきっかけだった。中でも既存店の売上が決算直前の数ヵ月でマイナスを示したことで、円安による回転寿司危機がまことしやかにささやかれるようになった。

 それから2年。最新の決算を見てもスシローの売上高は1350億円と増収ながら、その成長率は7.2%増とやはりひとけた成長にとどまっている。くら寿司が8.6%、かっぱ寿司にいたっては前年▲4.1%というマイナス成長だ。

 成長率の鈍化に加え、かつての三強の一角が崩れるところをみると、数字で見れば業界成長の鈍化は明らかなのではないか?というのが成長鈍化論であるが、この考え方には大きな見落としがある。

 それは「はま寿司」の存在である。「すき家」の親会社ゼンショーが2002年に始めたはま寿司がここ数年、急成長している。過去2年で約140店舗を出店し、現在では約400店舗とほぼスシローと肩を並べるところまできている。ゼンショーの発表するIR資料では2015年3月期では、はま寿司がほぼ売上の大半を占めるファストフードカテゴリーの売上高は1056億円まで増加した。

 つまり、新たな競争相手が出現して、それまでの3強から、業界は4強の戦いに構造が変化しているのだ。自分たちとほぼ同じ規模の競争相手が出現したのに、それでもなお着実に増収をキープしているのがスシローとくら寿司。つまり業界はむしろ大きく拡大していると言っていい。

 実はゼンショーは2007年にはスシローとかっぱ寿司双方の大株主だった。この二社を経営統合して回転寿司業界のトップになろうとしたのだが、現場の反発でその芽がついえ、二社の株式を手放した。過去の因縁があるからこそ、「はま寿司」はガチで回転寿司業界に殴りこみをかけている。成長鈍化どころか、急成長市場のパイを仁義なき戦いで奪い合っている真っ最中なのだ。

■都市伝説2:お店の待ち行列が減っているのが不人気の証拠

 以前はスシローの店頭に行くと、待合スペースに入れないくらいの人が溢れていた。ところが最近は、待合室が比較的空いている感じがする。客としては嬉しいが、これって既存店がさびれかけている証拠じゃないの?

 確かにスシロー、くら寿司、はま寿司では待合スペースの混雑がかつてに比べて驚くほど緩和されている。それと比べて売上で一番苦戦しているかっぱ寿司の待合スペースが一番混んでいるのが不思議に見えるだろう。なぜなのか?

 それはかっぱ寿司以外の3強では、スマホ予約を導入しているからだ。家を出る前にあらかじめスマホで予約をいれておけば、自分たちが呼ばれる推定時刻が表示されるから、わざわざお店まで行って長時間待つ必要はない。

 携帯予約が進んだ分、店頭の行列はバーチャル化した。店頭の待合スペースだけを見ているとあまり混んでいないように見えるから、むしろそれを見て来店する人のことを考えると実際の待ち行列は以前よりも増えているはずだ。

 かっぱ寿司だけはなぜかこの導入が遅れ、ネット予約は一部の店舗がホットペッパー上で行えるぐらいにとどまっている。お店の前の実行列が多いということは、逆にかっぱ寿司の経営の足をひっぱっているのかもしれない。

■都市伝説3:既存店に成長余地はない

 回転寿司がいまだに人気なのはわかった。しかしこれだけ混雑しているということは、裏を返すと既存店の成長余地はないということ。だとすればこれからの成長はどれだけ新規店舗が出店できるかどうかにかかっている。その意味では未来の成長余地は小さいのではないか?

 この見方も実は間違っている。ここ数年の回転寿司の成長は、新規店舗の寄与もさることながら、回転寿司のファミレス化による既存店の客数増が大きく寄与している。

 その象徴が午後のアイドルタイム(客足が減る時間帯)に増加した高校生たちの来店だ。以前はファミレスでコーヒーを注文しながら放課後の時間をつぶしていた彼らが、現在では回転寿司で時間をつぶしている。

 ファミレスと違い、一皿100円の回転寿司は財布にもやさしいし、なにしろ寿司だけではなく、ケーキもアイスも100円で回ってくる。ドリンクバーがないという点ではややイタイが、不調のファミレスよりも、高校生という新規需要でも回転寿司は好調なのだ。

 飲食店経営の勝負は回転率にある。ランチ、ディナー以外に午後の時間帯まで顧客がぎっしりと訪れてくれれば、まだまだ既存店の売上向上余地がある。その観点では、まだドリンクバーが置かれていないところをみると、午後の時間帯には主婦層を含めさらに客数増加の余地がありそうだ。

■都市伝説4:メニューにラーメンが登場したのは苦肉の策

 この説は2013年にスシロー以下の大手チェーンの成長率が鈍化した時期に、回転寿司メニューにラーメンが登場したことで「末期状態到来か?」と騒動になったものだ。

 確かに飲食店は傾いてくると新規メニューを増やして乗り切ろうとする傾向にある。だからラーメン店がカレーを始めたり、フレンチのお店のメニューにハンバーグが登場すると、「いよいよ経営が苦しくなってきたな」と飲食のプロは思ってしまう。

 ところが回転寿司の場合は逆だったようだ。つまり顧客の潜在ニーズを発見したのが回転寿司のラーメンメニューだったのである。

 俗に言う「別腹」というものがある。私の場合は、食事が終わって銀座界隈を歩いているときに「いそべ巻き」の屋台をみつけると急に別腹がお腹をすかせて、ついついいそべ巻きをひとつふたつ買ってしまう。

 もともと寿司というものは、ファミレスメニューと比べて健康食だから、そこそこの量でも満足してしまう。特に回転寿司でチーズケーキのようなデザートを口にしてしまうと、そこで一旦、今日の食事はおしまいになりがちだ。

 ところが、これは2012年にくら寿司が発見したことだが、ラーメンには別腹効果があって、客単価が増えるらしい。そのために回転寿司各社は「食後のラーメン」の開発にしのぎを削り、「シメの一品戦争」が勃発しているのだ。

 現在では魚介類を扱う寿司屋独特の「出汁入り鳥ガラ」や「コク旨まぐろ」といったおいしそうなスープのラーメンメニューが増えている。それまで「寿司屋に来たんだからラーメンはちょっと」という考えだった客までが「おいしそうだからちょっとラーメンも食べてみようか」に顧客行動が変わってきたそうだ。

■都市伝説5:原価率5割なので繁盛していても経営は苦しい

 さて、業界トップのスシローの経営方針のひとつが原価率50%のキープだ。これは、「原価率は25〜30%程度が常識」という外食業界の中では非常識な数字である。私も4年ほど前に戦略コンサルタントの仕事で回転寿司業界を詳しく調べたことがあるのだが、回転寿司大手は軒並み40%台中盤で、中でもスシローは飛びぬけて原価率が高い経営を行っていた。

 円安が始まるとこの構造が重荷になってくる。一皿100円(税別)の商品で商品の仕入れ値が上がれば、一皿あたりの原価率はどうしてもあがってしまう。

 実際、イチ顧客の記憶で言うと、円安が進み始めた時期に「フェア」や「吟味ネタ」といった名称で一皿280円の寿司メニューが回転寿司に増えてきた時期があった。そうしなければ本マグロの中とろなど、回転寿司に並べることが不可能だという事情はある。

 とはいえ実際、スシローのお店に行くと、今でもそのような280円の皿は少数派で、100円寿司だけで十分に食事を楽しむことができる。

 回転寿司の原価率が高いのは、それだけたくさんの価値をお店が顧客に還元しているということだ。これはむしろ好調経営の秘訣であって、原価率が高いから経営が苦しいのではない。逆に原価率50%をどうキープするかが経営目標になっていて、この水準がキープできる限りは、顧客に高い価値を還元できるのでむしろ顧客回転率が上がって経営は楽になるのだ。

 この原価率をキープするための回転寿司店の経営努力はすごい。しょうゆの小皿をなくしたり、それまでのわさび入りからすべての寿司をわさび抜きにしたのは、すべて価値をかえずに人件費コストを下げる目的だ。

 寿司ロボットを見せていただいたことがあるが、一貫分のしゃりが高速で出てくるので生産効率はすでに相当高い。ところが、ロボットを見せてくれた経営者の方は「まだだめだ」と語っていた。一貫分のしゃりが出てくるということはそれを皿に2つ並べるところで人件費がかかってしまうからだ。近い将来は、最初から寿司ロボットに二貫ずつ皿の上にしゃりを載せるような機械を開発させたいと言う。

 これだけの生産コスト低減の努力をすることで原材料費があがっても一皿100円をキープしていて、しかも原価率は50%と相変わらず高い。そこに回転寿司の商品としての魅力があり、魅力があることがわかっているからこそ、回転寿司店には顧客が殺到するわけである。

 このように「回転寿司経営に危機があるのでは?」という都市伝説を検証してみたが、その結論としては当分、回転寿司経営には死角はなさそうである。

 

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コメント
 
1. 2016年5月13日 08:44:48 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[2694]
世界を席巻した回転寿司 _ どんな屑ネタでも気付かずに食べさせる魔法の技術
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/370.html

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