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黒田日銀総裁はヘリコプターマネーをばらまくか?
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46804
2016.5.13 黒瀬 浩一 JBpress
最近とみに黒田日銀総裁がヘリコプターマネー政策を開始するのではないかという観測が、特に外国人投資家の間で強まっている。ヘリコプターマネー政策を整理すると4つのパターンに分けられる。
1つは伝統的な財政政策で、国が国債を発行してその資金を国民にばらまくパターンだ。ばらまく名目は何でも良く、定額給付金、エコポイント、期限付き商品券や地域振興券などだ。減税もこの範疇に入る。公平性の問題はあるものの、日本人には非常になじみのある政策だろう。
2つ目は、国民に資金をばらまく形態は同じでも、国が発行する国債が永久債で無利子またはマイナス金利のパターンだ。国債の金利がゼロ以下で永久債となれば、財政赤字に対する懸念が弱まりやすい。ただ、現在の日本では永久債は発行されていない上に、ゼロ以下の金利がつくかどうかも不透明だ。
3つ目は、国債発行を市中消化ではなく、日銀引受けとするパターンだ。国債の日銀引受けは、戦前に日銀が政府の要請に応じて軍資金調達のために国債を引受けた結果、戦禍とインフレを引き起こした反省から、現在は法律で禁止されている。以上3つは、国債でファイナンスされる財政政策だ。
そして最後が、外国人投資家が期待する金融政策としてのヘリコプターマネーだ。これは、日銀が保有する国債を債権放棄して、その資金を国民にばらまくパターンだ。日銀は国債を300兆円以上も保有する大口の債権者なので、ばらまく資金そのものは潤沢にあるといえばある。
この構想は、経済誌として権威のある英国のエコノミスト誌が海外の経済学会の動向を踏まえて提唱したことで広く知られるようになった。一部外国人投資家の間では、債権放棄する具体的な金額、国民に分け与えるために創設する「国民福祉基金」のようなもっともらしい名前まで取り沙汰されている。ただし、日銀が保有する国債を債権放棄する、その代金を国民にばらまくなどの行為は日銀法には規定されていない。
外国人投資家の間で金融政策としてのヘリコプターマネーに対する期待が高い背景は、日銀が目標とする物価2%にある。日銀は2013年4月から2%の物価目標を達成するために異次元の金融緩和を開始した。達成時期はその後たびたび先延ばしされたが、物価目標の2%そのものは変えていない。2016年1月からはマイナス金利が導入された。ただ実際には、日銀の意図とは逆に金融緩和になっていないという批判は強い。
そしてついに、さらなる金融緩和の残された数少ない手段の1つとして、金融政策としてのヘリコプターマネーに対する期待が高まったという構図だ。さらに、ヘリコプターマネーについて、バーナンキ前FRB議長が4月11日に自身のブログで詳細に解説したこと、ドラギECB総裁が4月21日の記者会見で、「検討したことはない」ものの、「興味深いコンセプト」と発言したことなども背景にはある。
日本は法治国家(Rule by Law)である。その事実を知らない英米の投資家が金融政策としてのヘリコプターマネーに期待するのは、無理もない面がある。黒田日銀総裁はかねて「追加緩和の手段に限りはない」と言うが、直ぐに超法規的措置を期待するのは、無理があると見るべきだろう。
(*)本記事は「りそな銀行 エコノミスト・ストラテジスト・レポート 〜鳥瞰の眼・虫瞰の眼〜」より転載したものです。
(*)投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、必ずご自身の判断でなさるようにお願いします。本記事の情報に基づく損害について株式会社JBpressは一切の責任を負いません。
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