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Business | 2016年 05月 12日 16:35 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
焦点:ドル調達コスト、過熱感解消へ 収益望めない米債投資冷え込み
[東京 12日 ロイター] - 本邦勢のドル調達コストが、ピークアウトの兆しをみせている。米長期金利の低下と調達コストの高止まりの結果、十分な収益確保が難しくなり、米国債投資意欲が低下。過熱してきたドル調達ニーズが落ち着いてきたためだ。同時に日銀の導入したマイナス金利によるコスト増分を投資家に転嫁する金融機関が増え、外債投資で稼ぐ必要性が低下してきたことも指摘されている。
<ヘッジ付き投資の減少とヘッジ無し投資の増加>
本邦勢は外債投資に際して、為替リスクをヘッジする目的で為替スワップを利用する。
マイナス金利の導入で一段と行き場を失ったマネーが対外投資に向かった結果、ドル/円スワップを通じた本邦勢のドル調達コストは、今年2月に3カ月物で1.3%まで上昇し、米国債5年物の利回りUS5YT=RRを優に超える水準に達した。
しかし、上がる一方だったドル調達コストは、足元で1.02%程度まで低下。本邦勢のドル資金需要に何らかの変化が生じ、調達コストの低下として表面化した可能性がある。 「民間投資家は、ヘッジ付き外債投資を圧縮し始めたようだ。ヘッジコストが高過ぎるので、無理して外モノ(外債など)を買うのをやめて、国内のマイナス金利の負担分は、契約者や個人に直接転嫁するようになったのだろう」(金融機関資金担当者)との声が市場で出ている。
一方、足元で外債を購入しているのは、為替スワップを使わないアウトライト(ヘッジ無し)の投資家とみられている。市場では、円高阻止など別の使命を帯びた機関が、こうした取引の主役になっているとの見方が広がっている。
財務省の「対外及び対内証券売買契約等の状況」によると、本邦勢による対外証券投資(株式・投資ファンド持分と中長期債投資の合計)は、今年4月に4078億円の売り越し。3月の7兆1712億円の買い越しから、投資行動が劇的に変化した。 国内の低金利による逆ザヤで、高リスク投資が増加しているとされる生命保険などの機関投資家の間では、外モノ投資をめぐって温度差が出てきている。
富国生命保険はロイターとのインタビューで、2016年度の一般勘定の運用方針で、米国債金利が低迷する一方でヘッジコストが上昇し、日本国債から外債への大規模シフトをいったん休止するとした。
<マイナス金利の負担、金融機関が投資家に転嫁> 日銀がマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)を開始し、QQEの当初に期待されていたポートフォリオリバランス効果が失われているとの指摘が、短期金融市場の関係者から出ている。
「今、目の前で起きているのは、コストリバランス。つまり金融機関や運用会社が、投資家にコストを押し付ける流れだ」(国内銀)という。 国内信託銀行は、4月半ばから金銭信託にマイナス金利の適用を開始した。金銭信託は、資産運用会社や年金基金などが短期資金を運用するために使用しているが、日銀のマイナス金利導入によるコスト増分が転嫁される。
同時期に資産運用各社は、投資信託を購入する個人投資家などにマイナス金利に伴う負担増分を請求し始めている。
複数の市場関係者は、こうした環境変化を反映して、利回り狙いの外モノ投資が減少し、ドル資金需要が弱まっている可能性を指摘している。
実際、信託各社がマイナス金利負担の投資家転嫁を開始した4月18日の週に、ドル/円スワップでは、オーバーナイト物でドル調達コストが大幅に低下。
その裏側で、大幅なマイナス金利による円資金調達を続けてきた海外金融機関の円調達コストが、ゼロ近傍まで上昇した。
<低過ぎる米国債利回り>
さらに米金利の低下も、ドル債需要を低下させているとみられている。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長が、利上げに慎重なために「市場は年1回の利上げも織り込んでいない状況だ」と、SMBC日興証券・為替外債ストラテジスト、野地慎氏は述べている。
同氏は、10年米国債利回りUS10YT=RRの年末までのレンジを1.7―1.9%と予想する。
米国での低利回り継続を見込んで、一部の機関投資家の間では「今年度の米債投資予算はゼロ」(運用担当者)との方針も聞かれる。
(森佳子 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/us-bond-idJPKCN0Y30PN?sp=true
超長期債下落、30年入札結果受け−「積極的に売るのも怖い」との声も
池田祐美、山中英典
2016年5月12日 07:53 JST 更新日時 2016年5月12日 15:47 JST
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新発30年債利回り0.335%まで上昇、新発20年債利回り一時0.28%
30年入札結果:最低落札価格は予想下回る、応札倍率3.01倍に低下
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債券市場で超長期債相場が下落した。この日実施の30年債入札で最低落札価格が市場予想を大幅に下回ったことを受けて、超長期ゾーンを中心に売りが優勢となった。半面、先物や長期債相場は持ち直した。
12日の現物債市場で、新発30年物の50回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低い0.30%で始まり、0.295%まで低下した。午後は入札結果を受けて一時0.335%と4月28日以来の水準まで上昇。その後は0.32%を付けている。新発20年物の156回債利回りは横ばいの0.25%で始まり、0.28%まで上昇後、0.255%にやや戻している。新発40年物の8回債利回りは2.5bp高い0.34%を付ける場面があった。
長期金利の指標となる新発10年物国債の342回債利回りは、横ばいのマイナス0.105%で開始し、いったんマイナス0.11%に低下。午後に入ってマイナス0.10%まで上昇した後、再びマイナス0.11%で推移している。
JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、債券相場について、「30年債入札結果を反映して多少売られた」と指摘。ただ、「積極的に売るのも怖い感じ。経済環境や日銀の政策を考えるとスティープニングする可能性は低いと思う。財政出動により大幅な国債発行姿勢にならない限り、大きく売られるリスクは小さい」と語った。
長期国債先物市場で中心限月6月物は、前日比3銭高の151円90銭で取引を開始した。入札結果発表後に151円75銭まで下落したが、その後は持ち直し、結局8銭高の151円95銭と高値引けした。
30年債入札
財務省が午後発表した表面利率0.8%の30年利付国債(50回債)の入札結果によると、足元の金利低下を反映し、平均落札利回りが0.319%、最高落札利回りが0.332%と、ともに過去最低を更新した。一方、最低落札価格は112円70銭と市場予想の112円90銭を下回った。小さければ好調なテール(平均と最低落札価格の差)は40銭と、2013年4月以来の大きさだった前回67銭からは縮小したが、高水準。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.01倍と昨年7月以来の低水準となった。
JPモルガン・アセットの塚谷氏は、30年債入札結果について、「予想より少し弱かった。応札倍率も低下した。ここまで買われてきて警戒せざるを得ない状況だった」と分析した。
日本銀行はこの日午前、金融政策を据え置いた4月27、28日会合での「主な意見」を発表した。マイナス金利政策について、「当面実体経済への効果の波及を見極める必要があり、金融政策は現状維持が適当である」との意見があった。「今後、物価安定の目標の実現のために必要と判断される場合には、追加的な金融緩和措置を検討すべきである」との意見もあった。ただ、債券相場への影響は限定的だった。
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「残存10年以下のゾーンはレンジ相場でこう着状態に陥っている。今月末のサミットやその後の消費増税先送りを含めた景気対策を見極める姿勢の投資家が多いのではないか」と話した。
11日の米国債相場は上昇。米10年債利回りは前日比2bp低下の1.74%程度で引けた。米国株相場の下落に加えて、米10年債入札が順調だったことから買いが優勢となった。S&P500種株価指数は同1%安の2064.46で終了した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-11/-30-io3gpluo
日銀総裁:大変大胆というかユニーク−ECBの貸出マイナス金利
日高正裕
2016年5月12日 14:28 JST 更新日時 2016年5月12日 17:24 JST
ECBの物価安定目標に向けた努力を「高く評価」−黒田総裁
必要ならちゅちょなく3次元で緩和、具体的な手段はその時議論
日本銀行の黒田東彦総裁は、欧州中央銀行(ECB)が導入している金融機関への貸し出しに対するマイナス金利の付与について、「大変大胆というかユニーク」と述べた上で、日銀が追加緩和をする場合の適切な手段はそれぞれの時点の金融政策決定会合で議論されると述べた。
参院財政金融委員会で西田実仁氏(公明)が、ECBのように日銀貸付金にマイナス金利を付与して、金融機関に短期プライムレートを引き下げる余地を与えてはどうか、と質問したのに答えた。黒田総裁は、ECBがそうした政策の下で「デフレから脱却し2%程度の物価安定目標に向けて大変な努力をしていることは高く評価している」と述べた。
日銀が同様の政策を取るかどうかに関しては、「経済・物価のリスク要因を点検して、その上で物価安定目標実現のために必要だと判断した場合にちゅうちょなく量、質、金利の3次元で追加的な金融緩和措置を講じると一貫して申し上げている」と述べた上で、「何が最も適切な手段かということは、その時点で決定会合において議論されるもの」と語った。
ECBは3月10日の理事会でマイナス金利を0.3%から0.4%に拡大。同時に、これによる銀行収益の圧迫懸念に配慮し、ベンチマーク対比で貸し出しを増やした銀行に、その程度に応じてECBからの貸し出しに最大マイナス0.4%まで金利を付与することを決めた。このための条件付き長期リファイナンスオペを6月から4回実施する。
ブルームバーグは4月22日、日銀が日銀当座預金の一部に適用している0.1%のマイナス金利(政策金利)を拡大する際は、市場金利のさらなる引き下げを狙って貸出支援基金による貸出金利をマイナスにすることを検討する可能性があると報じている。
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