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やまぬ逆風 郵政もがく
上場半年 急激な円高・株安、マイナス金利追い打ち
株式上場から半年を迎える日本郵政がもがいている。中核のゆうちょ銀行の株価は公募価格を下回ったまま。マイナス金利で国債運用は厳しく、貯金限度額の引き上げで集まる資金をリスク資産に投資せざるを得ない。相次ぐ逆風に試練の経営が続く。
「大変苦しい船出だと思う」。日本郵政の長門正貢社長は3月の就任会見で厳しい顔を見せた。昨年11月の上場直後、アベノミクスの追い風に乗って株価は急騰。だが年が変わると、良好な市場環境は一変した。
世界的な市場動揺で急激な円高・株安・低金利が進み、ゆうちょ銀を中心に立ち上げた資産運用会社は2月、2つの投資信託のうちの1つの販売を取りやめた。ゆうちょ銀は規制で企業に融資できない。投信販売の手数料収入を柱の一つに育てたかった日本郵政には大きな痛手になった。
ゆうちょ銀とかんぽ生命保険で合計300兆円近い巨額の資産運用にも逆風が吹く。市場の動揺に加え、1月末に日銀がマイナス金利政策の導入を決定。10年物までの国債利回りはマイナス水準に沈み、いくら貯金金利を引き下げても利ざやを確保できない。
春になっても逆風は収まらない。「こんな運用環境で貯金を増やしても大丈夫か」。ライバルのメガバンク幹部からも心配の声が漏れる。
4月以降、ゆうちょ銀の貯金限度額は1000万円から1300万円、かんぽの加入限度額も1300万円から2000万円にそれぞれ増えた。だが個人顧客からお金をいくら集めても、マイナス金利下では安定した運用は難しい。「タイミングは最悪」(かんぽ生命関係者)だった。
マイナス金利政策下では増えた貯金を運用せずに日銀に預ければ、金利分の支払いが生じる。ゆうちょ銀は日銀への金利支払い分の約半分を占めるとみられる。
ゆうちょ銀の株価は22日時点で1384円。業績好転の展望は描けず、公募価格の1450円を下回ったままだ。
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「保守的な運用変える時期」 リスク投資を突破口に
「保守的な運用を変える時期だ」。10年物国債のマイナス利回りが定着した3月、かんぽ生命の石井雅実社長はリスク資産での運用を強化する決意を語った。
為替変動リスクがある外国債券などのほか、第一生命保険と提携して同生保の資産運用会社を通じて海外のインフラ事業にも投資。リスク資産を運用資産全体の1割まで増やす計画だ。
ゆうちょ銀も同じだ。2016年3月末のリスク資産は60兆円に達し、運用資産の約3割を占める。外債に加え、未公開株や不動産投資信託(REIT)など、よりリスクの高い資産にも投資対象を広げる考えだ。
「国内が低金利なので他の収益機会を探さざるを得ない」。長門社長率いる日本郵政は資産運用強化のため、ゴールドマン・サックス証券の副会長を務めた佐護勝紀氏をゆうちょ銀の運用担当の副社長に据えるなど体制強化に本腰を入れる。
「最も身近で信頼される銀行へ」。ゆうちょ銀はこれまで全国隅々に展開する郵便局で貯金を集め、国債で運用。地元の安全な金融機関として信頼を築いてきた。
だが日銀が生み出したマイナス金利時代はこうした姿勢を認めず、リスク資産への投資を迫る。上場した日本郵政は株主の監視下でリスク管理能力を磨くしかない。ゆうちょ銀株が公募価格を上回れないのは市場の信認を十分に得られていない証しでもある。
株価低迷はゆうちょ銀やかんぽ生命の経営を縛る要因になる。市場で売り出した株式はそれぞれ11%ずつで、事実上の国有状態。新規事業には金融庁と総務省の認可が必要で時間がかかる。
ただ金融2社株の売却収益は事実上の復興財源で、財務省は「株価が低迷するなかで売るのは認められない」(幹部)との立場だ。追加売却の見通しは立たず、日本郵政が真の民営化を果たすまでの道のりはなお見えない。
(山崎純)
[日経新聞4月25日朝刊P.5]
- 年金債務、企業を圧迫 日清食品など、関連費用膨らむ マイナス金利が影響 あっしら 2016/4/30 04:17:23
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