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3月29日、日銀のマイナス金利導入決断から2カ月が経過し、直接的な狙いとする金利全体の低下が目立っている。写真は都内で昨年4月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)
焦点:日銀マイナス金利の効果これから、マインド低下の声も
http://jp.reuters.com/article/boj-mind-idJPKCN0WV061
2016年 03月 29日 12:25 JST
[東京 29日 ロイター] - 日銀のマイナス金利導入決断から2カ月が経過し、直接的な狙いとする金利全体の低下が目立っている。一方、設備投資の増加や期待インフレ率の押し上げなど、景気や物価面への波及はこれからだ。
金融機関を中心にマイナス金利への警戒感がくすぶり、心理面で不安感を強めてしまったとの声が識者から出るなか、日銀はマイナス金利の実体経済への波及に向け、手綱を締め直す態勢だ。
<進まなかったインフレ期待の進展>
1月29日の導入決定直後こそ、意表を突かれた市場では株高・円安が進行したが、その後は欧州金融不安や原油安、中国経済の減速懸念などを背景とした世界的なリスク回避の奔流に押し流され、一時は大幅に株安・円高方向に動くなど乱高下した。
また、政策当局の一角からも「円安・株高を通じ、物価上昇期待に働きかけようとしたが、意図通りに展開してない」(国際金融筋)、「政策が難しくわかりにくく、円高まで進んだ」(政府・与党関係者)との声が出ていた。
<「市場落ち着けば、効果出る」と見守る日銀>
ただ、日銀内では別の評価が主流だ。「もともと市場の大きな流れを一国の金融政策だけで変えるのは不可能。やっていなければもっと株安・円高になっていた可能性がある」(関係者)との声が多い。
また、足元では日経平均.N225が1万7000円を回復。ドル/円JPY=EBSも113円台まで戻り、「市場が落ち着いてくれば、想定された効果が意外と効いてくる」(幹部)との見方を維持している。
<効果に時間、と黒田総裁>
この間、日銀の想定を超えて進んだとみられるのが、国債金利の低下だ。早くも2月9日には10年最長期国債利回り(長期金利)JP10YTN=JBTCが、日本で初のマイナス圏に突入。
その結果、プラス金利を求める投資家の切実な需要が超長期債に集中。利回り低下は長期金利を上回る急ピッチで進んだ。
日銀では、こうした名目金利の押し下げに伴う実質金利の低下が投資や個人消費を刺激し、景気・物価に恩恵をもたらすと期待している。
ただ、その効果が目に見えて認識できるまでには、時間がかかりそうだともみている。黒田東彦総裁は「マイナス金利が実体経済や物価に反映されるには、一定のタイムラグがある」(2月18日・参院財政金融委員会)と説明した。
<不動産価格上昇、金利低下効果と相殺>
マイナス金利で先行する欧州各国をみると、マイナス金利の効果は住宅、不動産関連分野に波及するケースが多い。
ただ、足元の日本では、やや様相が異なる面もありそうだ。みずほ証券・上級研究員の石澤卓志氏は「外国人投資家がマイナス金利の効果を過大にみたため、REIT(不動産投資信託)価格が上昇した。しかし、不動産は価格が上がり過ぎると住宅ローン金利の低下効果を相殺してしまい、差し引きマイナス」と指摘している。
また、日銀にとって想定外だったのは、銀行株の下落と国民からの評価の低さだ。日銀では、マイナス金利導入に伴う金融機関収益への影響に配慮し、当座預金残高を3階層に区分して一部にマイナス金利を適用するという仕組みにした。
それにもかかわらず、金融機関収益への影響が市場で強く意識され、銀行株が一時、軒並み下落。当座預金のマイナス金利という直接的な影響よりも、想定を上回る金利全般の低下に伴う利ざや縮小が金融機関収益への懸念を強め、市場の注目を集めてしまった。
<マインド低下の声も、日銀は説明に注力>
内閣府の景気ウオッチャー調査では、マイナス金利を景気マインド悪化要因として取り上げる声が多数集計されていた。
導入当初はマイナス金利幅の拡大余地を強調していた黒田総裁も、その後はマイナス金利の効果波及を見極めていく方針だと、発信を微妙に変化させている。
さらにお金の貸し借りの常識が逆転するマイナス金利への理解が進まない中で、預金金利の低下という負の側面が意識され、国民から批判の声も高まった。
黒田総裁も連日のように国会に呼ばれ、マイナス金利政策の説明に奔走。25日には一般向けにマイナス金利政策を解説した対話形式の「5分で読めるマイナス金利」をホームページ上で公表。国民に対する理解浸透への苦心がうかがえる。
株価と為替が落ち着きを見せ始めている足元の市場環境が継続すれば、企業の投資意欲が盛り上がり、低下した資金調達コストに着目した設備投資が盛り上がることを期待する声が日銀内では多い。
設備投資を起点に景気が好循環を見せ始めれば、個人のマインドも好転し、3年連続のベア実施も相まって消費拡大にもつながるというのが、日銀が期待しているシナリオだ。
そのシナリオにとって、最大のリスク要因は世界経済の変動との見方が日銀内では大勢。海外情勢を入念に点検しながら、日銀は今後の金融政策運営を進めることになりそうだ。
(竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦)
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