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3月30日、シャープは、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による買収と支援の条件の変更を決議した。シャープによると、ホンハイが買い受ける新株と優先株の総額は、予定していた約4890億円から約2割削減され約3888億円となる。出資額は減るが、ホンハイがシャープの議決権の約66%を握る筆頭株主になることに変わりはない。写真は都内で昨年10月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)
鴻海がシャープ買収を決定、増資1000億円減 有機ELに注力
http://jp.reuters.com/article/sharp-idJPKCN0WW0OC
2016年 03月 30日 18:49 JST
[台北/東京 30日 ロイター] - 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業(2317.TW)は30日、シャープ(6753.T)買収を決定したと発表した。増資引受額は当初予定の4890億円から1000億円減額の3888億円とする。
鴻海から資金を得たシャープは、今後の市場拡大が見込まれるディスプレーの「有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)」に注力するため、当初予定通り2000億円の投資を実行する。
両社の発表によると、出資額は減るが、鴻海グループがシャープの議決権の約66%を握り、子会社とする。日本の大手電機メーカーが外国企業に全社規模で買収されるのは初めてとなる。
シャープは2月25日、経営再建のスポンサーとして鴻海を選ぶと決定。鴻海を引き受け先とする約4890億円の増資を実施する計画を発表したが、シャープが通告した債務リスクなどが問題となり、最終合意が遅れていた。
1カ月あまりの協議の末、今回合意した内容は、第三者割当増資で引き受ける普通株の発行額を、シャープが2月に発表した1株当たり118円から同88円に引き下げた。増資は普通株と優先株で実施。払込期間はともに6月28日から10月5日までの予定。
発行価格の引き下げは、シャープの債務リスクのほか、液晶パネルの販売不振、中国市場の市況悪化、国内の白物家電の販売不振などが背景となった。
<主力行は支援継続>
シャープの主力取引行の三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行は引き続き、支援を継続する。3月末に期限を迎える総額5100億円の協調融資は4月30日まで延長したうえで、金利を引き下げて借り換えに応じる。これとは別に新たに3000億円の融資枠を設定する。
さらに両行が持つ総額2000億円の優先株は、2019年までに鴻海が額面で全額を取得する方向で調整している。鴻海は、主力行からの株式を譲り受け、シャープに対する支配力を高める意向だ。
<有機ELの重視鮮明に>
増資で調達した資金は経営不振で疲弊したシャープの競争力回復に向けて戦略投資に振り向ける。中でも、有望分野の有機ELへの投資額は2000億円と、2月末時点での計画を変更しなかった。
一方、中小型液晶(1000億円から600億円)、家電(450億円から400億円)、太陽電池などエネルギー分野(100億円から80億円)、事務機(500億円から400億円)などの投資額が2月末から減額となった。
シャープは同日、2016年3月期の営業損益見通しを100億円の黒字から1700億円の赤字に下方修正した。最終損益の見通しは現在精査中としている。
(浜田健太郎 布施太郎 江本恵美)
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