http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/765.html
Tweet |
3月の月例経済報告
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52790176.html
2016年03月23日 在野のアナリスト
安倍首相が参院総務委員会で「リーマンショックや大震災級のできごとがない限り、消費税再増税する」と、改めて明言しました。昨日の国際金融経済分析会合でも、クルーグマン教授が再増税の再延期を訴え、自民党内でも先送り論が支配的になっていますが、最も効果的なタイミングの発表を狙っているのでしょう。ただ、市場でも再増税の再延期を織りこんで、消費関連を…などの話はありますが、下押しすることはなくなっても、押し上げは期待できません。それに再増税になれば来年度は駆け込み需要が見こめるのであって、今は1年以上も先の下押しを織りこんで下げているわけではない。むしろ現在の需要喪失が、小売関連の重しとなっているのです。
3月の月例経済報告で、個人消費は『総じて見れば底堅い動き』から『足踏みがみられる中、概ね横ばい』と下方修正されました。設備投資や輸出の判断は上方修正、企業収益と企業の業況判断は下方修正、と気をつかった書き方をしていますが、全体判断でも『一部に弱さ』としていたものが、『一部』が消えるなど、悪化を素直にみとめ始めています。これも再増税の再延期にむけた布石、とみることもできます。相変わらず「各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうと期待」との文言がありますが、各種政策の効果? と効き目のある政策が一体どこにあるのか? 悩むほどの自画自賛ぶりですし、海外経済や金融資本市場の変動に留意、と自分たちのせいではない、との抗弁も目立ちますが、株価が上がったことを自分たちの成果としておいて、下がったら自分たちに関係ない、という話は通用しません。総じて子どものイイワケじみています。
しかし月例経済報告をみると、安倍政権の思考パターンも見えてきます。個人消費が横ばい、とするのも家計調査や商業動態統計をみると明らかに減少、悪化を示しますが、政府は需要側統計、供給側統計、として複数の指標を合成して消費総合指数を割り出しており、それだと0.6%増になる、というのです。この『合成』の手法については分かりませんが、需要も供給も落ちこめば、総合してみると経済効果はイーブンになる、ということかもしれません。そもそも民間が発表している百貨店、スーパーの販売額を用いない時点で、個人消費における政府の判断には、重大な瑕疵があるといえるのでしょう。この説明を真に受けると、消費は好調といいだすのかもしれません。
設備投資の上方修正は、そもそも2015年度の計画が高い、ということに帰結します。しかし2016年度は減少が見こまれているのであって、3月の月例経済報告で「増加して行くことが期待」できるはずがない。しかし設備投資を上方修正しないと、基調判断の全体も引き下げざるを得ず、已む無くこの後1ヶ月程度の年度計画に依拠して、上方修正したというのが真相なのでしょう。輸出も「海外経済の緩やかな回復」に依拠し、上方修正するのですが、海外経済の不透明要因を全体判断の懸念材料としているのとは、大きな矛盾ともなってしまっているのでしょう。
企業収益においては非製造業が改善傾向、としますが、これは過度な円安の是正による効果が大きい。ただ今、金融機関では外貨預金をすすめる傾向がありますが、金利差をみて外貨預金にしたら必ず失敗します。今は過度な円安局面が修正する段階であり、しばらくは円高方向を模索し易くなる。外貨預金は円高になれば目減りしますから、金利差ぐらいは軽く吹き飛ぶでしょう。ただ、預金者を逃がさないことと同時に、政府の円安志向とも合致するので、顧客にすすめているに過ぎないのです。金融機関のすすめる金融商品は、こうして信用を失っていきます。
株価のことにも触れていますが、今の株式市場はやたらと17000円を意識する主体がいます。配当権利落ち後、すぐに戻して年度末高を模索するには、ここが落とせない水準ということなのでしょう。しかし原油安で貿易黒字が膨らむ日本では、恒常的にはそもそも円高に向かい易いのです。円高耐久力のない株式市場、そうなってしまったのも、内需の低迷によって日本そのものが円高耐久力を失いつつあるためでもあるのです。「リーマンショックや大震災級のできごと」がなくとも、ゆっくりと自然死のように弱体化していく日本経済、再増税の再延期どころか、再増税をやめる、すべて白紙、というぐらいでないとマインドの改善は期待できないところまで来てしまっているのでしょうね。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民106掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。