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タクシー運転手の悲惨な実態…1日20時間労働、必死に月50万売り上げても月給25万
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14378.html
2016.03.24 文=稲垣浩生/ライター兼タクシードライバー Business Journal
今年の2月は、予想通り暇だった。俗にいう「ニッパチ(2月と8月は景気が悪い)」で、売り上げは繁忙期の12月に比べて1日当たり5000円ダウン。月給にして、5万円以上も下がってしまった。
2月は、忘年会・新年会と続く年末年始が終わり、新年度が始まる前の端境期。覚悟していたとはいえ、店のシャッターが閉まり、閑散とする駅で乗客を待つ身の寂しさは、ほかの仕事ではなかなか味わうことのできないものだ。
そんなタクシー業界は、「労働時間が長い」「ノルマが厳しい」「苦情が多い」「酔客やタチの悪い客にからまれる」「腰が痛くなる」など、つらいことだらけだ。
最近、いわゆる“ブラック企業”の過酷な労働実態が話題になることも多いが、タクシードライバーからすれば、「そんなの、どうってことない」と感じるレベルの黒さばかりである。
「タクシーができれば、なんでもできる」
これは何も言いすぎではなく、実際、タクシードライバーは根性が据わること間違いなしの仕事だ。今回は、そんなタクシードライバーのリアルな姿をお伝えしたい。
■厳しいノルマに追われながら20時間労働
まず、賃金形態はほとんどが歩合制だ。「月に50万円売り上げても月給は25万円にしかならないが、60万円売り上げれば35万円になる」という具合に、売り上げが上がれば歩合率も上がる仕組みとなっている。つまり、タクシードライバーは目の前に“ニンジン”をぶら下げられているようなものだ。
もうひとつ、売り上げの最低ラインがあるのも特徴だ。ノルマである「足切り」に達しないと歩合率がグンと下がり、最低限の給料しか得られない。
東京近郊のあるタクシー会社では、1日の足切りが3万円(税別、以下同)で、足切り以下では歩合率35%、3万〜3万5000円なら45%、3万5000〜3万8000円で48%、4万円でようやく50%、4万5000円以上で53%……と段階制になっている。
給料日の後や金土、ライバルの少ない日曜、雨の日なら4万円も難しくなく、5万円くらいは簡単に売り上げることができるが、そのほかの日は厳しい。ウイークデー(月〜木)の1時間当たりの営業収入は、平均2000〜2500円(東京近郊都市の場合)で、4万円に到達するには16〜20時間かかる。
しかし、タクシードライバーは1日の労働時間は20時間以内、そのうち3時間は休憩を取ることが法律で義務付けられており、走行時間の限界は17時間だ(隔日勤務の場合)。これを超えると、「労働時間オーバー」ということで会社から始末書の作成を命じられる。
つまり、ほとんどの会社は歩合率に「簡単には達しない」ラインを設定しているため、多くのドライバーは「乗客がいない深夜も、必死に走りまくる」ことになるのだ。正直、乗客が少なくなる前に長距離客を乗せて、ノルマをクリアしたい。逆に、長距離客が増える終電前後の“チャンスタイム”でワンメーターの乗客に当たると、テンションはガタ落ちだ。
それでも、笑顔は絶対に絶やさない。経験上、「ワンメーターの後に、長距離あり」だからだ。それを信じて、ワンメーターであろうが、長距離であろうが、乗客を迎える時は笑顔で「はい、どうぞ!」。行き先を告げられたら「了解しました。○○から△△に向かうルートでよろしいですか?」と、常に丁寧な対応を心がける。
それが、モチベーションの維持にもつながるからだ。長距離客の期待できるホテルなどで付け待ちをしても、こちらの願いとは裏腹に近距離客であることが多い。
そのため、「数で稼げ!」とばかりに街中を流しまくるドライバーも多いが、長時間ハンドルを握っていると平衡感覚が失われ、車を降りた時にフラフラしてしまうことも……。そうならないように、休憩は上手に取る必要があり、深夜に備えて事前に寝ておくのも仕事のうちだ。
ノルマ達成には、「効率の良い走り方」が不可欠。これぞ、タクシードライバーの実情である。笑顔で対応し、空気を読んで話しかけ、気持ちよく乗ってもらおうと心がける運転手には、必ず良い乗客が待っているはずだ。
■タクシードライバーが恐れる「指導センター」とは
タクシーには、それぞれの“縄張り”がある。いわゆる営業区域だ。例えば、東京都内の23区と三鷹市・武蔵野市は「特別区・武三交通圏」と呼ばれ、おそらくタクシーの利用客が日本一多い区域だ。
乗客も多いがライバルの台数も多く、不景気になると「乗客の奪い合い」のためにセンターラインから強引に左車線に寄せてくるタクシーもいるほどだ。
ほかにも、神奈川県なら横浜市を中心とした「京浜交通圏」、千葉県なら市川市・船橋市が中心の「京葉交通圏」と、各都市で営業区域が分かれており、乗車地もしくは降車地が「自分の営業区域」であれば、営業できる仕組みになっている。
さて、各地区にはタクシーに目を光らせる「指導センター」が存在する。中でも「鬼より怖い」とされるのが「特別区・武三交通圏」の「東京タクシーセンター」だ。
同センターの本来の業務は運転手の指導だが、運転者登録事業も行っており、仮に次のような失敗をしたら大変だ。
例えば、乗車時に質問をされたり地図を見せられたりして、うっかり料金メーターのボタンを押し忘れることがある。タクシードライバーなら誰もが経験する失敗だが、これがセンターに見つかると、乗務停止などの厳しい罰則が待ち受けている。
「メーター押し忘れ=エントツ(運賃を自分の懐に収めること)」を防止するという観点からだが、センターという抑止力がある以上、わざわざエントツする運転手は皆無だろう。
また、銀座・新橋には乗車禁止区域があり、22〜1時の間は「指定乗り場」以外での乗車は固く禁じられている。それを知らない酔客が「おい、乗せろ!」とドアをドンドン叩くこともあるが、禁止区域での乗車が見つかれば、これもペナルティの対象となる。
このほか、乗車拒否もペナルティ対象だが、夜に暗い色の服で道端に立たれると、乗客を見逃してしまうことも少なくない。この場合、ナンバーをセンターに連絡されると「乗車拒否」とみなされてしまう。
もちろん、中にはマナーのかけらもないドライバーもいるため、まっとうな苦情はタクシー業界全体の質向上のためにも望ましい。しかし、そのような故意ではないミスについても、一方的に「ドライバーが悪い」と決めつけられることも少なくない。
車内でのトラブルについては、最近はドライブレコーダーが証拠になってくれるものの、タクシードライバーは意外に神経をすり減らしているのだ。
(文=稲垣浩生/ライター兼タクシードライバー)
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