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東京電力本社(「Wikipedia」より/Theanphibian)
電気料金、知らない間にバカ高い支払いも!明細確認で簡単に安くなる?電力自由化を利用
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14275.html
2016.03.17 文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト Business Journal
4月1日から、電力小売りの全面自由化がスタートする。
報道などで知ってはいるが、「何が変わるのかピンとこない」という人や、「理解はしているが、自分には無関係」と思っている人も、まだまだ多いはずだ。「自分には関係ない」と思っている人も、突然、自由化の波に巻き込まれることもあり得るため、注意してほしい。
■転勤・引っ越し予定の人は要注意!
「電力小売り自由化」とは、簡単にいえば「どの会社から電気を買うか」を消費者が選択できるようになるということだ。携帯電話を買う時、「どのキャリアを選ぶか」というのと同じだ。
どのキャリアでも通話することはできるが、料金プランやサービスは異なる。それと同じで、電気も提供する会社によって、料金プランやサービスに差が出てくる。
東京電力・中部電力・関西電力など、地域ごとに10社ある従来の電力会社に加え、「新電力」と呼ばれる参入会社が199社(2月23日現在)登録されている。各社は苛烈なサービスおよび料金合戦を繰り広げており、我々利用者にとっては、固定支出である電気代を下げるチャンスだ。
とはいえ、「よくわからない」「いろいろと比較検討するのが面倒くさい」という人も多いだろう。もちろん、4月1日までに何もしなくても、現在契約している電力会社から、いつも通り電気が提供される。各電力会社と現在結んでいる契約が継続されるからだ。
しかし、思いがけない地方転勤があったり、Iターンなどで引っ越しを予定したりしている人は、注意が必要だ。
4月以降に引っ越しの場合、従来の契約は一度終わり、引っ越し先をカバーしている電力会社と新たに契約を結ばなければならない。「これまで通りでいいや」と考えていても、いざ異動の辞令が出たら、4月以降はどの会社のどのプランを契約するかの選択を迫られる。転勤族にとっては気の重い話だが、肝に銘じておこう。
■電気使用量の多い家庭ほど、自由化で得をする?
そもそも、自由化によって電気代はグンと安くなるのだろうか? 答えはイエスであり、ノーでもある。
それは、「その家庭が、普段どのくらい電気を使っているか」で変わるからだ。毎月の電気代がわかる「電気ご使用量のお知らせ」が手元にあれば、一度見てみてほしい。
料金の内訳を見ると、「基本料金」に加え、「電力量料金」として「1段料金」「2段料金」など1〜3段階の料金が載っている。基本料金は契約アンペア数で決まり、段階料金は、簡単にいえば使用電力量が増えるごとに上乗せされるものだ。
使用量が120キロワット時までが第1段階、121〜300キロワット時までが第2段階、300キロワット時以上が第3段階というふうに、使用量に応じて料金が上乗せされていく仕組みだ。
「家には寝に帰るだけ」という単身者の場合、使用量が少なく、第1段階の人もいるかもしれない。逆に、「1日中家にいて、家電製品もフル稼働している」という子育て世帯は、第3段階まで達している家庭も多いだろう。
実は、電気料金の単価は、この段階が上がるほど高くなっている。第3段階など使用量が多い家庭ほど、電気代は割高になっているのだ。小売りの常識で考えれば、たくさん使えば使うほど割安になるはずだが、電気代だけは使えば使うほど単価が高くなるというわけだ。
ここまで書けば、もうおわかりだろう。もし、あなたの家庭が割高な第3段階の料金まで払っている場合、おそらく4月以降は新プランに切り替えたほうが安くなる。
なぜなら、各社の新プランもおおむね段階料金を導入しているが、第3段階料金の割引率を大きくしているからだ。「たくさん使ってくれるお客様は割引します」という構造である。そのため、逆にこれまで節電に励んできた家庭の場合は、さほど割引の実感を得られないだろう。
■比較サイトで検討→申し込みも可能
それでは、あまり電気を使っていない家庭はどうすればいいのだろうか。まず、「基本料金が安い」とアピールしている会社を選択するのがいいだろう。また、東京電力が新たに始める「スマート契約」は、その家庭の過去1年のピーク電力を元に基本料金を決める方式のため、節電意識が高い家庭にはメリットがありそうだ。
さらに、旅行代理店のエイチ・アイ・エスが設立したHTBエナジーなどのように、段階料金ではなく、一律の割引率を提案している会社もいいだろう。
次に、各種サービスとのセット割でメリットがある場合は、それも検討したい。ガスや携帯電話、インターネットなど、自分が現在使っている、または乗り換えてもいいと思うサービスがあれば、セット契約することで、より大きな割引が期待できる。
各社はカバーエリアが異なるため、ここで具体的な社名やプランを提示するのは無意味なので控えるが、「価格.com 電気料金http://kakaku.com/energy/」や「エネチェンジhttps://enechange.jp/」などの比較サイトでシミュレーションするのが手っ取り早い。
直近の「ご使用量のお知らせ」を準備し、契約アンペアや契約種別(「従量電灯B」など)、使用量を確認する。そして、画面の案内に従って必要事項を入力すれば、おすすめのプランおよび「今よりいくら安くなるか」を提示してくれる。
セット割やキャンペーン割引があるものは、それらを加味した内容が表示されるので、内訳を見て「電気代だけの金額なのか、そうでないのか」も確認しておこう。気に入ったプランがあれば、比較サイト経由で申し込みができる会社も多い。
■安さだけで選ぶと思わぬ落とし穴も
ただし、安さだけで選ぶことには、やや抵抗もある。電気はインフラであり、ライフラインだ。安いことはありがたいが、それより、いざという時の対応にも目を配りたい。
何か不具合が出た時に24時間対応してくれるコールセンターがあるのか、点検やサポートについてはどうなのか、など、「いざという時の安心度」という面からもチェックしたい。
4月以降は実際の利用者の評価も出てくると思われるため、口コミなどを見てから判断するのもいいだろう。なお、1年以上の長期契約が前提のプランでは、契約期間中に解約すると違約金が発生する場合がある。契約する前に、規定をよく確認しておこう。
各社とも早期契約キャンペーンが花盛りだが、「電力会社を選ぶ」というのは、我々にとっても初めての体験だ。目先の安さに踊らされず、自由化が始まってからじっくり検討しても、遅くはない。
なお、あまり言及されないが、そもそも電気使用量を減らせば料金は自然に安くなる。BGM代わりにつけているテレビを消す、だらだらとした夜更かしをやめる、家族が個室にこもらずリビングで一緒に過ごす……それだけでも節電はできる。生活習慣を少し変えるだけで電気代の節約になるということも、ぜひ覚えておいてほしい。
(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)
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