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客数減地獄ユニクロ、「儲かっているのになぜ値上げ?」との根本的疑問…失速→崩壊か
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14246.html
2016.03.15 文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント Business Journal
ファーストリテイリングは「ユニクロ」の2016年2月の国内既存店売上高が前年同月比1.2%増と発表した。かろうじてプラスとなったが、今年は閏年で営業日が昨年より1日多いことを考えると、手放しでは喜べないだろう。客数は1.8%減と落ち込んでおり、閏日がなければ売上高もマイナスだった可能性がある。
国内のユニクロ事業は失速している。15年9〜11月期(第1四半期)決算は、国内ユニクロ事業の本業の儲けを示す営業利益が448億円と、前年同期を12.4%下回った。冬物商品のセールスボリュームが大きい11月の国内既存店売上高が前年同月比8.9%減と落ち込んだことが大きく影響した。同社は、中旬の気温が高かったことから、冬物実需商品の販売が苦戦したことを要因に挙げている。
12月の国内既存店売上高は前年同月比11.9%減、客数は14.6%減と大幅なマイナスとなった。この要因についても、気温が極めて高く推移したことから防寒衣料を中心に販売が苦戦したことを挙げている。その後、1月は国内既存店売上高14.6%増、客数8%増と回復したものの、2月で再度客数減に転じている。
ファストリは、今冬の不振の理由を暖冬に求めている。筆者はアパレル業界に12年いたのでよくわかるが、確かに気候や気温は衣料品の販売動向に大きな影響を及ぼす。しかし、気候や気温だけでこれほどまでに悪影響を及ぼした例は記憶にない。つまり、不振の理由が暖冬以外にもあると考えられる。
それは値上げだ。ユニクロは14年、円安による原材料価格の上昇と生産国における人件費の上昇をカバーするためとして、秋冬商品を平均5%値上げした。それにより、14年11、12月、15年2、3月において客数が前年割れした。14年4月に実施された消費税率引き上げに追い打ちをかけるように値上げを実施したことで、消費者が拒否反応を示したかたちだ。
さらに、15年の秋冬商品も平均10%値上げした。2年連続での値上げとなり、割高感はより一層強まったため、冒頭で述べた不振につながっていると考えられる。
ユニクロの強みは崩壊した
ユニクロの強みは「高品質で低価格」だった。たとえば、03年発売の「ヒートテック」や09年発売の「ウルトラライトダウン」が大ヒットした。だが、それ以降、筆者は高品質かつ低価格の大ヒット商品を見つけることができない。「サラファイン」と「シルキードライ」を継承したグローバル戦略ブランドの「エアリズム」が12年に発売され、健闘しているが、かつてのような勢いがあるとはいえない。
高機能性アパレル製品は特性上、競合他社が簡単に同様の製品を製造・販売することができるため、高品質というだけで絶対的な優位を築くことは難しい。たとえば、ヒートテックが発売された後には、イオンの「あたたかインナー」、セブン&アイ・ホールディングスの「ボディヒーター」、しまむらの「ファイバーヒート」など、似たような機能を持った製品が次々に誕生した。
06年にユニクロは素材メーカーの東レと「戦略的パートナーシップ」を構築し、素材開発から出発した高品質の新商品を共同開発することで圧倒的な競争力を確立してきたが、競合他社の後追いによりその優位性は失われてきている。
それでも、これまでは品質において競合他社の追随は許しても、品質と価格の絶妙なバランスの上に築いた価値によって圧倒的な支持を獲得してきた。しかし、相次いだ値上げにより「高品質で低価格」というユニクロの強みは失われつつある。
■値上げの大義名分が崩れた!
ユニクロが行った値上げには、もうひとつ問題がある。それは、消費者が納得できる「大義」がないことにある。値上げの根拠として、円安による原材料価格の上昇と生産国における人件費の上昇を挙げているが、それらがどれくらい上昇しているのか消費者は具体的に知ることができない。
ユニクロは本当に値上げが必要なのか、確認してみた。具体的な原価の情報は公表されていないので、ファストリの損益計算書の売上総利益(売上高から売上原価を差し引いたもの)から原材料価格の上昇と生産国における人件費の上昇の影響を推し量ってみた。
しかし、値上げが納得できる結果は得られなかった。
具体的には、最初に値上げした14年から過去5年間の売上総利益の売上高に占める割合である売上総利益率を確認した。売上総利益率の数値が大きいほど、原価がかかっていないことを意味する。14年は50.6%、13年は49.3%、12年は51.2%、11年は51.9%、10年は51.7%であり、最大値と最小値の差はわずか2.6ポイントだ。
商品の値下げなどの影響も考えられるので、原価上昇だけの影響とは言い切れない。また、売上総利益率は50%前後と極めて良好だ。類似企業と比較しても格段に高い。たとえば、しまむらの15年2月期の売上総利益率31.7%と比べても圧倒的に高いことがわかる。つまり、値上げしなければならないほどの原価上昇があったとは考えにくい。
損益計算書などを確認するまでもなく、多くの消費者もユニクロが値上げをしなければならない状態だとは思っていないのではないだろうか。「儲かっているのに、なぜ値上げするのか」「円安や原材料高は、値上げをするための口実にすぎないのではないか」と考えているかもしれない。
消費者の理解が得られなければ、客数は減っていくばかりだ。このままでは、「失速」にとどまらず「崩壊」という未来が近づいてくる可能性すらある。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
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