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新日本製鐵本社がある「丸の内パークビルディング」(「Wikipedia」より/Kakidai)
中国鉄鋼、異次元の大量安売りで日本勢を破壊…利益爆減で赤字寸前、巨額損出
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14161.html
2016.03.09 文=編集部 Business Journal
鉄鋼最大手の新日鐵住金が業界再編に動いた。2017年3月をメドに国内高炉4位の日新製鋼を買収して子会社にする。
新日鐵住金は日新製鋼に8.3%出資する筆頭株主だが、600〜800億円を投じて出資比率を51〜66%に高める。日新製鋼は、新日鐵住金の子会社になった後も上場を維持する。
■中国は鉄を“爆売り”
鉄鋼再編の震源地は中国である。世界の鉄鋼業界は、中国の過剰生産に伴う安値での輸出攻勢でどん底に叩き落された。1月22日、北京で開催された国務院常務会議において、中国は粗鋼生産能力を1〜1.5億トン削減することを決めた。
世界鉄鋼協会がまとめた15年の世界粗鋼生産量は、前年比2.8%減の16億2280万トンとなり、6年ぶりに前年実績を下回った。中国は8億383万トンで、3年連続で生産量が8億トンを上回った。ピークは14年の8億2275万トンで、13年は8億2200万トンだった。世界生産の半分を占める中国に次ぐ世界2位の日本が1億515万トンだったことからも、中国の数字の大きさがわかる。中国が生産する粗鋼のうち、3億トン以上は過剰といわれている。
中国の景気減速に伴い、鉄の需要が急減したため、中国政府は1〜1.5億トンの生産設備削減を決めた。これは、日本の粗鋼生産分に相当する量だ。林立した中国の鉄鋼メーカーが過剰生産した鉄を大量にダンピング輸出し、鉄鋼の国際価格の下落を招いた。爆買いならぬ「爆売り」が、世界の鉄鋼業界を危機的状況に陥れた。
■中国の“爆売り”が製鉄各社の決算を直撃
新日鐵住金は12年に国内最大手の新日本製鐵と3位の住友金属工業が合併して発足した。自動車用鋼板をはじめ鉄鋼製品全般を手掛ける。15年3月期の粗鋼生産量は4732万トンで、世界第2位である。
新日鐵住金の16年3月期連結決算は、鋼材価格の下落の影響を受け輸出採算が悪化。売上高は前期比11.4%減の4兆9700万円、純利益は34.7%減の1400億円の見込みだ。17年3月期も市況の回復が見込めず、苦戦は避けられない。
日新製鋼は12年にステンレス大手の日本金属工業と合併。ステンレス材や建設用鋼板、自動車部品用の特殊鋼に強い。15年3月期の粗鋼生産量は398万トンで国内第4位。
日新製鋼の16年3月期連結決算の売上高は11.1%減の5490億円、純利益は94.1%減の大幅減益で10億円の見込み。赤字転落寸前にまで落ち込んだ。17年3月期も厳しい。
国内2位のJFEホールディングスは、16年3月期の売上高を11.2%減の3兆4200億円、純利益は82.1%減の250億円と予想している。
第3位の神戸製鋼所は売上高が3.5%減の1兆8400億円で、最終損益段階で200億円の赤字に転落する。
新日鐵住金の進藤孝生社長は会見で「日新製鋼から『高炉を閉めて合理化したい、競争力ある製品にシフトしたい』との要請があった」と、子会社化に至った背景を説明した。日新製鋼は広島市呉市の呉製鉄所の高炉2基のうち1基を19年度にも休止し、新日鐵住金から中間製品を調達する。
新日鐵住金は16年3月に千葉県の君津製鉄所、19年に北九州・八幡製鐵所小倉地区で、それぞれ高炉を1基ずつ休止する。
■公取委の判断は
新日鐵住金の日新製鋼子会社化により、国内の高炉メーカーは新日鐵住金、02年に川崎製鉄とNKKが合併したJFEホールディングス、神戸製鋼所の3社となる。
日新製鋼は山口県周南市にステンレス生産を集約する。新日鐵住金グループの新日鐵住金ステンレスと日新製鋼を合わせると、国内ステンレス鋼のシェアは5割となる。
新日鐵住金が日新製鋼を子会社にするには、公正取引委員会の承認が必要だ。公取委はどう判断するのか。独占禁止法の番人として、これまでも製鉄業界の再編の動きに待ったをかけてきた。
旧新日鐵は、09年に傘下のステンレス事業を日新製鋼と統合する方針を打ち出したが、公取委の反対によって断念せざるを得なかった。公取委は国内シェアが高くなることに難色を示したのだ。
しかし、グローバル化が進み、公取委が国内シェアだけで合併の是非を判断することに無理が出てきた。だからといって、“独禁法の番人”の看板を下ろすわけにはいかない。今回はどう判断するのか。公取委の存在意義が問われることになる。
■大再編への布石
日米欧の鉄鋼メーカーは1970年代以降、過剰生産に苦しみリストラと再編を繰り返してきた。06年には旧ミタルが旧アルセロールを買収してアルセロールミタルが誕生。粗鋼生産量で世界一となった。12年に新日鐵と住金が合併した新日鐵住金が第2位だ。
両社を追うのが河北鋼鉄集団、宝鋼集団、江蘇沙鋼集団などの中国勢で、中国政府主導で再編を繰り返してきた。もう一段の統合で、世界最大の鉄鋼メーカーをつくることに意欲満々だ。次の時代の鉄鋼王者は中国企業に取って代わられることは間違いない。
中国で巨大メーカーが誕生するのに備えて、日本メーカーは財務体質の改善と国内の基礎固めに余念がない。
新日鐵住金は大再編への布石を打った。国内では日新製鋼の買収、海外では仏バローレックを持ち分法適用会社にする。
新日鐵住金は日新製鋼の買収を発表した2月1日、仏鉄鋼大手バローレックに追加出資すると発表した。株主割当増資の一種であるライツイシューと強制転換社債を総額3億5000万ユーロ(約460億円)で引き受ける。出資比率は15%になる見込みで、18年3月期に持ち分法適用会社に組み入れる。
新日鐵住金とバローレックは油田の掘削に使うシームレス(継ぎ目なし)鋼管事業で提携し、ブラジルで合弁工場を共同運営している。しかし、原油安で中南米の油田開発が停滞し、鋼管需要が減速し経営環境が悪化した。
新日鐵住金は15年3月期に合弁工場への投資のうち686億円を減損損失として計上。業績が悪化したバローレックの救済に乗り出した。16年内にバローレック自身のブラジル工場と合弁工場を統合して、新日鐵住金主導で再建を進める。
(文=編集部)
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