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G20には金立群AIIB初代総裁(左)も参加/(C)AP
景気循環はもはや死語…終わりなきグローバル不況が始まった 日本経済一歩先の真相 高橋乗宣
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/176506
2016年3月4日 日刊ゲンダイ
世界は今、グローバルな構造的大不況の入り口に立っている。その象徴といえるのは、目ぼしい成果が何ひとつなかった先週末のG20だ。景気減速のグローバル連鎖に太刀打ちできない国際情勢を雄弁に物語っていた。
日本経済を見ても、グローバル不況にたちまちのみ込まれて、先行き不安の暗雲に包まれている。経産省が今週発表した鉱工業生産指数によると、1〜3月期の生産の予測指数は前期比0.3%低下。振るわない理由は、中国に加え、追加利上げに躊躇するほど米国の景気減速が目立ってきたこと。設備投資は先送り、鉄鋼など素材産業は在庫が重荷となっている。
欧州経済のダメージも深刻だ。ドイツは輸出の低迷が景気の足を引っ張り、かつての輸出大国の面影はない。フランスは逆に内需が乏しく、日本同様に中国人の“爆買い”頼み。そもそも日本に先がけてマイナス金利を導入したのだから、EU全体の景気はかなり追い込まれている。
G20は本来、国際金融や世界経済の先行きを話し合う場だが、参加国はそれぞれ国内経済に難題を抱えている。
「市場安定化に向けてあらゆる政策を総動員する」との合意内容は、裏を返せば新たな政策は「ノーアイデア」ということ。「皆で頑張ろう」と掛け声を発したに過ぎない。つくづく景気減速のグローバル的伝播と世界経済のドン詰まりを表している。
200年続いた資本主義の時代が終焉し、グローバル時代の到来が叫ばれて、すでにもう四半世紀が経った。ヒト・モノ・カネが国境を飛び越え、自由に行き来する時代には「景気の循環」という古い概念は通用しない。アダム・スミスやマルクス、ケインズなど国境の垣根を前提とした経済学は、もはや死んだも同然なのである。
中国の旺盛な需要が尽きた今、世界を見渡しても経済の牽引役は存在しない。景気の循環を期待できない時代に景気に火をつけるエンジンを失えば、世界経済はひたすら沈みゆく運命だ。
そんなグローバル不況の伝播役と言えるのが、世界の金融市場を牛耳るファンドマネーだ。巨額の資金の動きで世界経済を攪乱するたび、危機はますます拡大していく。先進国の大半が通貨安競争に血道を上げる現状は“沈没船”の最後の抵抗なのかもしれない。
世界がグローバル構造的大不況と言うべき混迷を迎える中、イスラム過激派が猛威を振るい、中東各国の宗派対立は拡大。とてつもない数の難民・移民が世界中に押し寄せている。世界経済の危機的状況は確実に深刻度を増していく。
国際社会の混乱が激化する時代に“キワモノ”のトランプが本当に米大統領になったら、第3次世界大戦すら覚悟しなければなるまい。「混迷の時代」が「混戦の時代」に変わらないことを祈るばかりだ。
高橋乗宣エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
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