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国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」
国産初ジェット「MRJ」を購入したのは、どんな人物なのか
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160303-00000033-zdn_mkt-bus_all
ITmedia ビジネスオンライン 3月3日(木)8時21分配信
国産初の小型ジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の関係者はほっと胸をなでおろしたことだろう。
三菱航空機は2016年2月16日、同社が開発するMRJについて、米航空機リース会社エアロリース社と最大で20機(総額1090億円)の確定発注に向けた基本合意に達したと発表した。
このMRJ、2015年に日本航空から発注を受けて以降、1年以上も受注が途絶えていたため、一部で、その行く末を懸念する声も上がっていた。それだけにこのニュースは国内で大きく報じられ、同社社長の森本浩通氏も記者会見の写真撮影に親指を立てて応じ、「今回の基本合意は、MRJの資産価値がマーケットで認められた証であり、今後のエアライン向けの受注活動にも大きく寄与するものと考えています」とコメントした。
MRJは日本の航空開発担当者やファンにとっては単なる旅客機ではない。日本の「ものづくり」文化を象徴するものであり、第二次大戦の敗戦直後に製造が禁じられた国産航空機をめぐるノスタルジー(40年ぶりの航空機開発で、「空白の40年」と言われている)を感じさせ、国威発揚をくすぐる計画として見る人も多い。
そこでこんな疑問を抱いた。図らずも日本の航空ファンの夢に手を差し伸べることになったエアロリース社とは、一体どういう会社なのか。それを知るために、米国のエアロリース社で代表を務める男性に取材を試みた。
すると、30年以上航空機リース事業に携わっているその男性、ジェプ・ソーントン代表は非常に興味深い経歴の持ち主であることが分かった。同時に、航空機に限らない日本の国産メーカーのクオリティに惚(ほ)れ込んでいる人物でもあった。そして、その事実からは何が見えてくるのか。
●元カーレーサーのソーントン代表
三菱航空機の発表資料によれば、ソーントン代表の略歴はこうだ。「エアロリース社の代表であるJep Thornton(ジェプ・ソーントン)は30年以上航空機リース事業に携わっており、航空機を扱うトレーダーやリース会社の約4000名をメンバーとする業界団体、ISTAT (International Society of Transport Aircraft Trading) の会長を務めた実績もある人物です」
56歳になるソーントン代表の航空機とのかかわりは幼少時代にさかのぼる。もともと航空業界で働いていた父親の影響で、10歳になるまでには飛行機の機体を見ただけで機種を言い当てるほどだったという。そして1977年にコネチカット州の高校を卒業すると、迷わず航空業界に飛び込んだ。38年ほど前のことだ。
小規模な米航空会社に入り、ドイツのフランクフルト支店で乗客サービスの仕事などに従事した。そしてニューヨーク本社に勤務した後、カリフォルニア州などで航空会社を渡り歩いた。1989年には航空機売買を行う企業を立ち上げ、独立。2000年にはフロリダ州オーランドで「Automatic(オートマチック)」というやはり航空機のリースや売買を行う会社の共同設立者になっている。
だがここで転機が訪れる。911米同時多発テロ事件だ。ご存じの通り、民間航空機2機がニューヨークの世界貿易センタービルに突っ込んで倒壊させた。このテロ事件によって、航空機リースや売買のビジネスは大打撃を受けた。
そしてこの時期、ソーントン代表はクルマのレースに傾倒するようになる。「911以後に旅客機ビジネスが数年沈んだことで、私は暇になってしまったのです」と、彼は語っている。「そんなある日、レース場に企業を招待するイベントがあり、そこに参加して運転してみたらかなり上出来だった」と言い、それを機にレースにハマり、コーチを雇うなどしてクルマのレースに本腰を入れ始めた。
そして、米人気カーレース「NASCAR(ナスカー)」に、自らドライバー兼チームオーナーとして参入するまでになる。実はソーントン代表は、元カーレーサーだったのである。
●日本メーカーのクオリティの高さを実感
そんな彼は、「2007年に『コンチネンタル・タイア・チャレンジ』という大きなレースにBMWのM3で出場して米国1位を獲得しました。忘れられない思い出ですね」と自慢するが、真剣勝負のレースは常に危険と隣り合わせだということもあって「残念ながら2009年にクルマのレースからは引退した」と言う。
このころまでに、彼は日本メーカーのクオリティの高さを実感していた。事実、レースでマツダのクルマに乗っていたシーズンもある。「私たち(エアロリース社)は日本が運送・運搬機器において素晴らしい製造者だと信じています。日本企業は鉄道や船舶、自動車、オートバイなど質の高い製品を提供している」と、日本の技術力を評価している。
ソーントン代表は今、バーモント州で日本製オートバイに特化したバイク・ディーラーを経営している。扱っている商品は、ホンダとスズキだ。かつてはカワサキやヤマハも扱っており、別のディーラーのオーナーも務めていた。「もう15年ほど日本製バイクのディーラーを経営していますが、三菱航空機が私の“日本メーカーリスト”の仲間入りすることを誇りに思いますよ!」(ソーントン代表)と強調した。
そこに今回エアロリース社がMRJの購入に合意した理由が見えてくる。ソーントン代表もエアロリース社も、日本製品のクオリティにかなりの信頼を置いているのである。
同氏は、2010年にエアロリース社の代表に就任しているが、同社もソーントン氏が代表になる以前から日本航空とも航空機の売買で取引しており、やはり日本の技術力は評価していたようだ(そもそも三菱重工業をはじめとする日本の航空機関連企業は世界の航空機メーカーに部品などを提供してきており、例えば米ボーイング社の最新鋭中型旅客機「787ドリームライナー」の場合、機体部品の35%は日本企業によって作られている。その実績はもちろん、世界的にも航空関係者に知られている)。
●MRJを評価する理由
三菱航空機は2018年にエアロリース社にMRJを納入する予定でいる。だがこれまで、材料の変更やスケジュールの見直しなど何度も納入期限を延長しており、今後また延期となる可能性がないとはいえない。
それでもソーントン代表がMRJの購入を決断したのには、もちろんMRJの性能をきちんと見定めているからだ。彼は、「購入を決めた最大の理由は、機体とエンジンの性能です。MRJは効率性がよく、三菱航空機は財政状態もいい。エンジニア的な専門性も評価しているし、私たちが長年付き合っているエンジン製造メーカーのエンジン(プラット&ホイットニー社製のGTFエンジン)を採用する点も評価している」と、MRJを信頼していると説明した。
ただずっとさかのぼれば、ソーントン代表が三菱航空機と発注合意するまでの道筋を作った背景には、飛行機製造とはほぼ関係のない、日本のバイクメーカーや自動車メーカーに対する評価や信頼があったと言える。スズキやホンダなどの国産メーカーが、航空機業界の「空白の40年」の間に地道に築き上げてきた世界での好意的な評判だ。
ソーントン代表がMRJを評価する裏に、そうした要素があるのは興味深い。だがこれは今回の話に限ったことではない。
例えば、日本という国が世界中で好意的に見られることが多い理由には、日本人が戦争の焼け野原からあっという間に復興して世界のトップに上り詰めた事実や、昔から築きあげられてきた“勤勉”というイメージがある。それを世界中の多くが評価しているからこそ、いま私たちが世界を旅すると、日本を尊敬していると声を大にして言う人たちが好意的に付き合ってくれる、という部分もある。
「日本は素晴らしい」とか「日本のものづくりが世界的に評価されている」などと自画自賛する気はない。例えば、日本メーカーによる欠陥エアバッグの大規模リコールは記憶に新しいし、そうした不祥事も少なくはない。
ただMSJに話を戻すと、日本メーカーの築いてきた“実績”がMRJの評価の背景にあるということは、裏を返せば、MRJの成功がこの先の国産メーカーの世界的なビジネスに少なからず影響を与えることになるということだ。
そういう意味でも、三菱航空機にはMRJを成功させてもらいたいと願わずにはいられないのである。
(山田敏弘)
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