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買収間際にまさかのブレーキ! シャープとホンハイ「相互不信」はこうして最高潮に達した 残された時間はあと1ヵ月…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48060
2016年03月01日(火) 町田 徹「ニュースの深層」 現代ビジネス
■残された時間は1ヵ月
土壇場で、シャープの身売り話が暗礁に乗り上げた。将来、負債として弁済義務を負うことになりかねない『偶発債務』が3000億円を超えることをシャープが明らかにしたため、買い手である台湾資本の鴻海(ホンハイ)精密工業が再査定に着手したというのだ。
加えて、シャープが要求した増資引き受けのデポジット、いわゆる保証金(1000億円)の支払いも、ホンハイのシャープ不信を煽ったとみられている。
事態は予断を許さない。想定以上にシャープが傷んでいるとホンハイが判断すれば、第3者割当増資を通じた買収価格の見直しや、買収そのものの白紙撤回に発展しかねない情勢なのである。
もともとシャープは自力で年度越えの資金を確保することが難しく、2月末までに身売り話を成約させる必要があるとされていた。シャープに残された時間は1ヵ月を切っており、同社の経営は正念場に直面した格好だ。
昨年来、何度も交渉途上の話を最終合意のように報じて、誤報を連発してきたマスメディアには、もはや取り繕いようもなく、取り上げたくない悪夢のような話だろう。シャープは先週末から今週初にかけて、再び自社の身売り話の混迷を自ら裏付ける発表を行った。
最初は先週金曜日(2月26日)付の「当社と鴻海精密工業との最終契約に関する報道について」というもので、ホンハイが最終契約を保留しており、シャープの潜在的な債務(偶発債務)が3000億円規模と報じられていることについて、「当社の発表に基づくものではありません」としながら、事実関係を否定しなかったリリースだ。
続いて、シャープは今週月曜日(2月29日)付で「当社と鴻海精密工業との協議に関する報道について」というタイトルのリリースを公表。
「日本経済新聞等において、『シャープと鴻海精密工業は26日、買収交渉の期限を当初の今月29日から延長し、3月7日の契約を目指すことで合意した』等の報道がありましたが、これは当社の発表に基づくものではありません」としたのだ。
咀嚼すれば、ホンハイがリークしているのならば、事実関係を否定する気はないが、シャープとしては何も言っていないということになる。身売り先であり、交渉相手であるホンハイに対する信頼感の無さを、これほど露骨に表明するのは異常な事態である。
■甘すぎるホンハイへの身売り案
実は、シャープのホンハイ不信が浮き彫りになったのは、この2つのリリースだけではない。
ホンハイの買収を受け入れる方針を表明した2月25日付の「第三者割当による新株式の発行並びに親会社、主要株主である筆頭株主及び主要株主の異動に関するお知らせ」というリリースはもっとひどい。
このリリースは、ホンハイに対して普通株と無議決権株の第三者割当増資を行い4890億円の資本注入を受けて、赤字垂れ流し状態だった液晶部門の立て直しを図るほか、今後もホンハイがシャープの経営の独立性や一体性、雇用、シャープブランド、技術力などの維持について配慮する旨を列挙したものだ。いわば、買収後のシャープの経営の指針となる内容を示したものである。
その内容は「シャープに甘過ぎる。ホンハイがシャープの債務を保証してくれない限り、貸し手としては黙認できない類のものだ」(シャープの主要取引銀行)。高橋社長ら現経営陣の続投や各事業、子会社の切り売り、従業員の解雇などを迫らないというのだから、シャープのリストラが停滞しかねないと銀行が懸念するのは当然だろう。
ところが、シャープはこの甘過ぎるホンハイへの身売り案に満足せず、この種のM&A(企業の合併・買収)案件では異例だが、第三者割当増資のデポジットと称して、増資の払込日(今年6月28日から9月5日まで)の前に1000億円を支払うように求めたのだ。
シャープには、ホンハイが過去の増資の引き受けを土壇場で拒否したことへのわだかまりが依然として残っているうえ、赤字垂れ流し状態でキャッシュフローが回らないという事情がある。
とはいえ、これから、親会社になる企業に、増資の引き受けが確実に履行されるかどうか信頼できないので、1000億円のデポジットを支払えというのは、最初から信頼関係はないと言うに等しい。筆者は長年、経済ジャーナリストをやってきたが、このような話を聞いた経験はない。
一方、ホンハイは、シャープの主力2行(みずほ銀行と東京三菱UFJ銀行)が保有するシャープ株のほぼ半分を合計1000億円で取得すること、価格未定ながら官民ファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションズ保有株を買い取ることも確約している。それらをあわせたホンハイの投入資金は総額で6600億円近くに達するという。
これほどの巨費を投じる以上、今後も末永く、今まで通りのシャープの放漫経営を許すとは常識で考えられない。
■互いの不信感はピークに
その転換点としてホンハイが想定しているのが、今年6月の株主総会だ。増資の引き受けと引き換えに、シャープの13人の取締役陣のうち9人をホンハイ側から送り込むことになっているのだ。
新体制になれば、シャープのテコ入れはホンハイが外部から要求するものではなく、シャープの取締役会が自ら決断して進めていくものになる。
入り口では、銀行も呆れるほどシャープに甘い顔をして、同社の言い分を丸呑みする形にしておいて、まず取締役会を抑えた後に、必要な見直しを断行するハラだったわけである。
ところが、そんなところに、降って沸いたのが、負債として弁済義務を負うことになりかねない『偶発債務』が3000億円を超えるという問題だ。
シャープが2月4日に公表した2016年度第3四半期決算をみると、同社は巨額の赤字垂れ流しに一向に歯止めがかかっていない。第3四半期までの累計の最終損失額は1083億円と、前年同期(72億円の赤字)を大きく上回った。
重複する部分もあるだろうが、シャープの潜在的な負債(偶発債務)が3000億円もあるのでは、第三者割当増資で投入する資金はほとんどがその赤字穴埋めに充当されてしまい、経営の立て直しには繋がらない。さすがのホンハイが慌てるのも頷ける話である。
すでに、ホンハイとシャープ買収を競った官民ファンド「産業革新機構」は“撤退宣言”をしており、ホンハイはシャープに残された唯一の命綱だ。残された数日の間に、シャープは自身が信頼していないホンハイから信頼を得ることができるのか。大きな岐路に立たされている。
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