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絶好調から一転……
輸出企業がギリギリ耐えられる円高の限界値は幾らか?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160301-00506019-shincho-bus_all
「週刊新潮」2016年2月25日号 掲載
アベノミクス景気を牽引してきたのは畢竟(ひっきょう)、急激な円安と株高に他ならない。となれば、対極にある“円高・株安”が、安倍政権にとって悪夢なのは自明である。それは恩恵に与(あずか)ってきた輸出企業とて同じこと。さて、決算期目前の折も折、春一番よろしく吹き荒れる“円高”暴風にどこまで耐えられるか――。
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特需に沸いた輸出企業のなかでも、筆頭格といえば世界のトヨタである。2015年4月〜12月期の連結決算では、実に1兆8860億円とケタ違いの純利益を叩き出した。
だが、景気回復の象徴とされた巨大企業も、円高という招かれざる客の影響と無縁ではいられない。
今期の想定為替レートを“1ドル=115円”に設定しているトヨタの場合、わずか1円の円高によって、400億円もの為替差損が生じることになるのだ。もし110円台に突入すれば、約2000億円の利益が消し飛ぶ計算である。
シグマ・キャピタルの田代秀敏チーフエコノミストが言う。
「アベノミクス以降、国内の大企業は軒並み“史上最高益”を叩き出してきました。ただ、その最大の要因は円安で生じた為替差益と、保有する資産の価格上昇によるキャピタルゲインです。これだけ円高と株安が進めば、3月末時点の業績が悪化するのは明らか。日立のような輸出企業だけでなく、三菱地所といった内需企業も、“異次元緩和”直前より株価が下落しています」
昨年末に発表された日銀短観によれば、今年度下期における大手製造業1091社の想定レートは“1ドル=118円”。規模においてトヨタをはるかに下回る輸出企業が、より甚大なダメージに晒されるのだ。
■5兆円の損害
城西大学の霧島和孝教授の解説によれば、
「日本の輸出産業の規模は年間約80兆円で、そのうちドルをはじめとする外貨建ての取引が7割を占めます。目安として1円の円高によって1%の為替差損、つまり5000億円のマイナスが生じる。先日のように110円台まで円高が進むと、輸出産業全体で5兆円もの損害を被ることになります」
その上で、ギリギリの限界値について尋ねると、
「1ドル=120円を超えるような為替水準は円安に振れ過ぎていた面もある。輸出企業は濡れ手で粟で過剰な利益を上げてきたわけですから、1ドル=100円台までの円高なら企業努力でカバーできると思われます。ただ、2、3カ月という短いスパンで100円を切れば、変化に耐えられない企業が続出する」
経済ジャーナリストの磯山友幸氏も同じ意見だ。
「やはり100円台を割り込むと輸出企業にとって危険水域だと思います。トヨタも例外ではなく、60年ぶりの赤字転落を経験した、リーマンショックの二の舞も懸念される」
加えて、円高には為替差損以外にも企業の足を掬(すく)いかねない危険が潜む。
「急激な円高で収益が悪化した輸出企業の株が売られることも考えられます。株価が下がると市場で資金調達ができず、銀行からの借り入れが増える。企業の財務状況が悪化して、債務超過に陥れば倒産を誘発しかねません」(霧島氏)
円安主導で推し進められたアベノミクスは、円高に転じれば全てが逆に振れる。輸出企業から悲鳴が上がる時、日本経済は正しく崖っぷちに立たされる。
「特集 『日本経済は崖っぷちか?』の客観的検証」より
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