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2012年の悪夢再び…現実味増す“円高倒産ラッシュ”の恐怖
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/175286
2016年2月14日
トヨタの利益も2000億円消失…(C)日刊ゲンダイ
昨年末に1ドル120円台だったのが、11日の海外市場では一時110円台に。あれよあれよという間の急激な円高に、中小メーカーからは「2012年の悪夢がよみがえる」(自動車関連会社関係者)と悲鳴が上がっている。
帝国データバンクの調査によると、12年上半期は「円高倒産」が急増。08年のリーマン・ショック以降、急激に進んだ円高による減収などで倒産した中小企業は50社、負債総額は718億円と、件数、金額とも前年同期比で2倍以上に膨らんだ。そんな悪夢の再来か、と戦々恐々なのだ。
ちなみに、トヨタ自動車の今期の想定為替レートは115円で、1円の円高で400億円の利益が吹き飛ぶといわれる。110円になれば、単純計算で2000億円が消失するわけだ。
トヨタはまだマシな方で、昨年12月の日銀短観によると、大企業・製造業の今期の想定為替レートは、1091社平均で119円40銭。為替差損のインパクトはもっとでかい。
株式評論家の倉多慎之助氏は「想定為替レートの上下1割、115円なら103円台の円高までは吸収できるでしょう」と話すが、それだってトヨタのような、内部留保たっぷりの大企業に限った話だ。
それでなくても市場関係者の間では、4〜5月にかけて発表される上場企業の来期業績予想について、円高が長引けば、減益予想の企業が増える可能性が高いという見方が強まっている。
「業績の不透明感が強まり、大企業が守りに入れば、下請けの中小零細にお金が流れなくなる。そのうえ、大企業の為替差損分まで値引き要請などで負わされる羽目になったら……中小零細は死屍累々になりかねません」(経済ジャーナリスト・岩波拓哉氏)
大和証券シニア為替ストラテジストの石月幸雄氏は、「今後さらに円高が進む余地があり、1ドル110円を割り込むと、政府・日銀による為替介入の可能性が高まる。円高阻止のためにも日銀は3月の金融政策決定会合で何らかの手を打ってくるだろう」などと見立てるが、その政府・日銀がアテにならない。
リーマン・ショック以降の円高でも為替介入を実施したが、食い止められなかった。円高倒産急増の悪夢が現実味を帯びてきている。
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