http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/689.html
Tweet |
「何のための高速炉開発か」〜核燃料サイクルの維持ともんじゅに代わる高速炉の開発方針が、何の検証もないまま打ち出されている/nhk・水野倫之
「何のための高速炉開発か」(時論公論)
2016年10月21日 (金)
水野 倫之 解説委員
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/255467.html
政府は世耕経済産業大臣をトップに電力業界なども交えた高速炉開発会議で今月から高速炉開発について議論を開始。エネルギーが有効利用できる高速炉は依然として意義があり、官民で開発を進めることで一致し、高速炉開発の工程表を作成した上で、年末までにもんじゅの正式な廃炉を決めるとみられる。
もんじゅの廃炉方針については妥当な判断。
22年間トラブル続きで1兆円余り費やされた上に、今後再稼働までには8年、5,000億円以上かかると見込まれ、国民の理解が得られないとみるのは当然。
問題はその先。
核燃料サイクルの維持ともんじゅに代わる高速炉の開発方針が、何の検証もないまま打ち出されているから。
日本が基本とする核燃料サイクルの中核に位置づけられたのがプルトニウムを繰り返し使える高速炉。中でももんじゅのように燃料の配置を工夫することでプルトニウムを増やすことができる高速増殖炉が、本命とされた。
しかし現実は甘くなく、技術面や安全管理上の問題が相次ぎいだ。
これをなくそうというわけですから、まず必要なのはもんじゅ問題の総括。
経産省や文科省は、運転してデータも得られているとして「もんじゅを失敗と決めつける必要はない」との見解。
しかし動いたのはわずか250日でフル稼働今出せず。
これでも失敗ではないというのは一般的な感覚からずれていないか。まずは失敗と認めた上で、なぜ決断が先送りされてきたのか、その責任はどこにあるのか。
今後の原子力政策で同じ過ちを繰り返さないためにもここで教訓を見い出し、けじめをつけることが必要。
さらに問題なのは、もんじゅもうまく扱えなかったのに実用化一歩手前の高速炉を開発しようとしている点。
政府はその理由として、高速炉が放射性廃棄物の量を減らせることを上げる。
使用済み燃料の中には寿命が極めて長い放射性廃棄物が含まれ、これに高速炉の放射線を当てれば寿命が短くなり、10万年かかる核のゴミの処分が300年で済むという。
しかし使用済み燃料の中から長寿命の放射性物質を取り出さなければならないが、技術は未確立。
また実現には高速炉を何基も新設しなければならず、
技術的には相当ハードルが高い。
当然国内には計画はなく、政府が当てにしているのはフランスの高速炉、ASTRID計画。
どんな計画なのか、フランスを取材。
電力の75%を原発に頼るフランスは、福島の事故後も引き続き強力に原発を推進する方針で、プルトニウム利用にも国民から一定の支持あり。
もんじゅと同じタイプの高速増殖炉はすでにフル稼働を果たして役割を終え廃炉となり、発電機などの解体が行われていた。
これよりもさらに大型の実用化一歩手前の炉をフランス国内に作ろうというのがASTRID計画。
出力はもんじゅの倍以上の60万KW、ナトリウム漏れに備えて多くの機器を大型のタンクに入れる設計。
ASTRID計画の責任者は、建設するかどうかはまだ決まっておらず、コストがかかるとみられ建設資金を調達できるかが決め手になると。
「選択肢は様々あるが、日本からの資金協力は重要で、それを期待して検討を繰り返している。」
このように資金面での協力への期待が大きく、日本側関係者によるとフランスからは建設費の半分は負担してほしいという打診もあったということで、負担は数千億円に上るという試算も。その半面、日本が開発や運転にどれだけ深くかかわることができるのかは不透明。
コストばかりがかかって得られるものが少ないということはないのか先にしっかりと検証しなければ。
このような状況でも、政府や電力業界にとって核燃料サイクルをすぐにやめるわけにはいかない事情も。
このプルトニウム、アメリカとの原子力協定によって利用が認められている。ただ核兵器への転用を防ぐためアメリカは溜めることを許さない。しかしすでに48tも。この状況でもんじゅがなくなれば、日本は核兵器に転用するのではないかと国際的に疑惑の目が向けられる可能性も。また日米協定の期限も2018年に迫り、これを延長したい政府としては新たな高速炉計画を打ち出し、プルトニウムを使うつもりがあるという姿勢は見せておかなければならないわけ。
ただ仮に高速炉が実現したとしても相当先の話で、政府や電力業界は当面は一般の原発を使うプルサーマル方式で消費する方針。
しかし今、プルサーマルが行われているのは伊方原発の1基のみで、いつまでに何基でやるのか計画さえなく、この48tの消費の見通しは全くたっていないのが現状。
にもかかわらず政府や電力業界は一般の原発の再稼働のため、青森県の再処理工場の本格稼働を目指しており、さらにプルトニウムが増えることになりかねない。
政府は原発への依存度を下げる方針も示しているわけで、まず取り組まなければならないのは、高速炉の開発ではなく、使用済み燃料の安全な貯蔵場所の確保とプルトニウムの処理方法を検討すること。
使用済み燃料は電源などを必要としない専用の容器による貯蔵場所の確保を急がなければ。
そして溜まったプルトニウムについては、プルサーマルでどれだけ消費できるのか、消費しきれない場合、安全に処理できる方法があるのか検討しなければ。
もんじゅの事実上の廃炉方針を決めた今こそ、課題の多い核燃料サイクル見直しに取り組むことが求められる。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素46掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。