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再生エネのコスト低下
規模拡大で 風力や太陽光、石炭火力並みも UAEで最安の計画
【フランクフルト=加藤貴行】世界で再生可能エネルギーの発電コストが急速に下がっている。欧州の洋上風力発電の入札では1キロワット時あたり約6円まで下落。アラブ首長国連邦(UAE)では太陽光発電で同3円を切る世界最安のプロジェクトが始動する。一部の再生エネは石炭火力並みの価格競争力を持ち始めており、普及に弾みがつきそうだ。
再生エネは発電コストの高さが課題だったが、2000年代に地球温暖化対策や電源多様化のため、各国政府が補助制度を設け普及を促進。市場拡大に伴い資機材価格や建設費が下がった。欧州などでは近年、入札への移行が始まり下落に拍車がかかる。
再生エネの発電コストの低下で、欧米のIT(情報技術)や流通、鉄道業界では使用電力のすべてを再生エネにする動きが広がっている。
安定電源として期待されるのが洋上風力だ。遠浅で強風が吹き続ける欧州の北海やバルト海では大型プロジェクトが相次ぐ。スウェーデン電力最大手バッテンファルは昨年11月、デンマーク政府が実施した洋上風力(容量60万キロワット)の入札で、1キロワット時あたり4.99ユーロセント(約6.1円)で落札した。
同社は洋上風力発電事業者の世界2位。昨年7月に首位のDONGエナジー(デンマーク)がオランダ沖の洋上風力の入札で記録した7.27ユーロセントの最安値を更新した。
石油メジャーも成長市場として洋上風力に目を向ける。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは昨年12月、オランダ沖の70万キロワットの事業の入札において5.45ユーロセントで落札した。この事業には三菱商事も少数権益保持者として加わった。
太陽光はさらに下落が進む。UAEのドバイ電力・水道局(DEWA)の入札では16年に入り1キロワット時あたり米ドルベースで2セント台が登場。中国の太陽電池メーカーの企業連合が35万キロワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)を2.42セントで落札した。
DEWAは昨年11月末、アブダビ政府系機関のアブダビ未来エネルギー公社との間で1キロワット時あたり2.99セントでの電力を購入する契約を結んだ。中東は日照時間が長く、安定した太陽光の電源を確保しやすい。
国際エネルギー機関(IEA)によると過去5年で太陽光の発電コストは8割、陸上風力は7割弱下落した。陸上風力のコストも1キロワット時あたり10セントを割り込んできた。石炭火力は地域や燃料価格にも左右されるが、1キロワット時あたり5〜7セントとみられる。
スペイン電力最大手イベルドローラは「南米やメキシコ、米カリフォルニア州の太陽光は補助無しでも石炭火力より安い」という。原油価格上昇で化石燃料の発電コストも上がれば、再生エネの競争力は一段と高まる。
IEAの調べでは、15年に再生エネの発電容量が1億5300万キロワットに達し、累計で初めて石炭火力を超えた。発電効率は低いため発電量では世界全体の14%にとどまるが、IEAは「21年には欧米の需要をまかなえる規模になる」と予測。発電量が変動しやすい課題があるが、欧米では電力をためる蓄電システムの投資も相次ぐ。
トランプ米大統領は国内の石炭や石油などの利用推進を打ち出し、地球温暖化対策に後ろ向きな姿勢を示している。米国の温暖化関連のビジネスに逆風になる可能性があるが、再生エネ自体は経済性を伴った電源になりつつある。欧州の電力業界では「米国の政策変更にかかわらず、世界的な普及は続く」(仏エンジー)との見方が多い。
[日経新聞1月28日朝刊P.6]
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