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バブル崩壊不況のなか、グローバル企業を優遇する制度である消費税の税率を引き上げた97年以降、日本経済の資金循環は根底から変わってしまった。
個人が直接ではなく預金を受け入れる銀行が仕切っているので見えにくいが、家計が励んで積み上げた貯蓄を、設備投資で資金を必要とする企業部門やそれをサポートする政府部門に融資するという資金循環が日本経済の成長を支えてきた。
それが、97年の消費税増税を契機として、企業部門までが黒字化(資金余剰)に転換した。消費税の増税は、「軽減税率」の一形態である「輸出免税」制度から生ずる輸出企業の“消費税利得”を増大させる。
そのような変化と、うち続いていた不況下で企業の“緊縮財政”(非正規就労比率アップによる賃金や設備投資の抑制など)が、日本経済の資金循環をがらっと変えると同時にデフレ不況に陥れたのである。
そして、銀行は、貸し出し先であるはずの企業が“純”預金者の立場に変わったことで、預金増と貸し出し減という二重苦に陥った。
このため、税収(資金)不足というより、さらに積み上がる預金の資金運用難に苦しむ銀行の経営を支える目的で、日本政府は赤字財政の規模を膨らまし続けてきた。
自分たちが政府債務残高をうずたかく積み上げながら、「財政危機」や「社会保障制度の危機」を叫ぶことで、再び「消費税増税」に踏み切ったのが政府及び主力三政党である。
見える16年度の赤字国債発行額は34兆4千億円だが、なかなか取り上げられない隠された国債発行と言える「前倒し債」の上限額を48兆円に引き上げることで、建前的な説明とは裏腹に、銀行の資金運用難に対応する“赤字財政拡大”手法を採っている。
補正予算を考慮すると、中央政府の財政規模は100兆円を超えるレベルが続いているが、それでもなおデフレ基調から抜けきれないということは、財政支出規模がまだ小さすぎるということを意味する。
消費税増税と円安基調で利益を拡大させているグルーバル企業の設備投資や賃上げは政府がせっつくとしても、人手不足から公共事業を積み増すことは困難であり、家計の可処分所得を増大させることで総需要を膨らませるほかない。
消費税増税や将来(悪性インフレの可能性)を見据えて「財政健全化」を唱えたい気持ちはわかるは、自縄自縛に陥り現在に有効な財政政策が採れないのは愚の骨頂である。
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2015年12月25日 (金) 午前0:00〜[NHK総合]
時論公論 「膨れあがる国家予算」
板垣 信幸 解説委員
政府は24日、来年度予算の政府案を決定しました。
しかし、成長を重視したため歳出削減が甘く、当初予算としては過去最大となり、財政の先行きに大きな不安を残す結果となりました。
今夜はこの問題を取り上げます。
(困難な経済運営)
経済財政政策を総動員して成長を後押しする、安倍政権のアベノミクスはちょうど3年が過ぎました。
当初の予定では、今頃は実質2%の高成長を果たし、物価上昇も2%を達成するつもりでしたが、未に達成できていません。
こうした中、来年度の予算編成はいわば試金石となるものです。
それは、山あいの複雑な道筋を、安倍総理が成長戦略の一つとしてご執心のドローンでも使って飛び抜けるような難問でした。
来年は申年、国民はもちろんですが、山の動物たち、とりわけお猿さんも大いに気になるところかもしれません。
振り返ってみれば、確かに円安・株高はほぼ狙い通りで、大企業や輸出産業などの多くは大儲けです。
しかし、中小企業や非正規従業員の多くは景気回復の実感が乏しいのが実態です。
しかも、再来年の4月には消費税率の10%への引き上げが控えています。
一方、世界を見れば中国経済のバブル崩壊のリスク、テロのリスクなど経済の不安要因が数多くあります。
突風に巻き込まれ、財政悪化、景気後退という谷間に転落の可能性もあります。
(来年度予算案の概要)
さて、こうした中での来年度の予算編成は、どうだったのでしょうか?
こちらがその予算案です。墜落防止に使うパラシュートを描いてみました。
一般会計予算案の全体像は、96兆7000億円と過去最大規模を更新しました。
このうち、歳出を見ますと、政策に充てる経費の総額は73兆1000億円、借金返済も23兆6000億円といずれも増加です。
一方、歳入を見ますと、税収が57兆6000億円と5.6%増える見込みです。
しかし、足りない部分は新たな借金・国債の発行で34兆4000億円を手当する方針です。
さて、これをどう考えるべきでしょうか。予算案では、アベノミクスによって税収が3兆円ほど増えることで新たな借金も減らせると強気の見通しです。
また、中身を見ますと、最も大きな予算項目、社会保障関係費の伸びを4400億円に圧縮しましたが、依然として高水準です。
また、安倍政権になってからは防衛費や公共事業が増え続けています。
社会保障の充実、対外リスクや災害への備えなどが重要なのは当然です。
しかし、消費税の増税を国民にお願いする中で、効率化を目指すという姿勢が甘すぎるとあえて冒頭で指摘したいと思います。
(社会保障関係費・診療報酬改定)
それでは、予算項目を個別に検証します。まずは、少子高齢化で増加する社会保障関係費です。
今回は、特に医療費の抑制が課題で、診療報酬の見直しが行われました。
診療報酬は医師の技術料に当たる診療報酬本体と薬価等に分かれています。
このうち診療報酬本体は0点49%とプラス改定、薬価等が1点33%のマイナス改定としました。
その結果、診療報酬全体では、マイナス0点84%と、8年ぶりのマイナス改定となりました。
しかし、診療報酬本体はデフレの時代もプラス改定で、このところプラス改定が続いています。
医療の崩壊を招かない範囲内で、もう少し切り込めなかったのか、疑問が残る決着でした。
(防衛費)
さて、次は増額された防衛費と公共事業費です。
このうち防衛費は安倍政権になってから毎年伸びています。
来年度は740億円増えて5兆500億円となり、史上初めて5兆円を突破です。
中国を警戒しての装備品の追加購入、沖縄県の米軍普天間飛行場の辺野古移設のための工事費などがかさんだためです。安全保障が大事なのはその通りです。
ただ、憲法違反であると指摘される安全保障関連法を強引に成立させ、沖縄県が辺野古移設に反対する中で、十分な話し合いがないまま予算は着々と計上される事態に、今後、国民や沖縄県民の反発も予想されます。
(公共事業)
一方、公共事業費は5兆9737億円です。
今年度当初より20数億円増加、伸び率はわずかですがじわじわと6兆円に接近しています。
道路・トンネルなどの老朽化対策は確かに大事でしょう。
しかし、公共事業は一般会計だけでなく、東日本大震災の復興特別会計でも実施しています。
また、来年度予算案の直前に組まれた今年度の補正予算案には、半ば駆け込みで5800億円も公共事業が盛り込まれており、拡大しすぎの感があります。
大震災の復興事業の最優先は当然ですが、一般会計の公共事業は優先順位を厳しくし抑制する必要があると思います。
次に、日本の将来を見据えた予算項目を二つ取り上げます。
(総花的な一億総活躍予算)
先ずは、一億総活躍予算です。予算の金額は、合計で2兆4000億円です。
その中身は、▼保育サービスの拡大や▼無利子奨学金の充実など教育負担の軽減、▼介護施設の整備▼地方自治体に新型交付金を創設するなど多岐にわたっています。
何らかの助けになることは間違いありませんが、あまりにも総花的な内容です。
掛け声だけに終わらないよう、予算の有効性をしっかりと見てゆく必要がありそうです。
(エネルギー予算の大転換を)
一方、エネルギー関連は、総額で9300億円で、323億円の伸びです。
▼再生可能エネルギーの促進に680億円、▼工場やビル・住宅などの省エネ促進に625億円など温暖化対策を意識した内容です。
ただ、気になるのは原子力予算です。
中でも、すでに1兆円もの予算を使いながら成果がない核燃料サイクルの要である高速増殖炉「もんじゅ」は、減額したとはいえ185億円の計上です。
将来展望もないまま予算だけは当然のごとく付くという事態が続いています。
核燃料サイクルや立地補助金など巨額の原発関連予算を徹底して効率化し、新たなエネルギーを育てる予算に振り向けるといった大胆な発想が必要だと指摘したいと思います。
(政府経済見通し)
それでは、予算編成によって今後の日本経済はどうなるのでしょうか?お猿の駆けっこに例えますと、トップを走るのは何と言っても圧倒的な強さを誇る財政悪化です。
そして借金と異常な低金利をバネに猛然と追いかけるアベノミクスで、宿敵・長期デフレを追い越しつつあります。
しかし、国債の暴落などが将来リスクとしてあります。名付けて「アベノリスク」です。
これが徐々に追い上げています。
果たしてどうなるのか、政府経済見通しを見てみましょう。
成長率は名目で3点1%、物価上昇を差し引いた実質では1点7%、物価は1点2%のプラス、そして完全失業率は3点2%と試算しました。
アベノミクスの当初の目標は、物価上昇と実質成長率がともに2%でしたので、来年度も達成できないという厳しい現実に直面しそうです。
(見えにくい予算規模)
以上、来年度予算案を見てきましたが、過去最大となったといっても伸び率はわずか0.4%で、まずまずの出来栄えだと評価する見方もあります。
しかし、先ほども触れたように直前に編成された今年度の補正予算案の中に、公共事業や社会保障関連予算などが併せて1兆円以上組み込まれています。
来年度予算案の体裁を整えるために緊急性もないのに補正予算に入れたのであれば、国民を欺くことになりますし、景気対策なら節度がなさ過ぎると言わざるを得ません。
こうした中、結局は来年の参議院選挙を意識した大盤振る舞いではないかと厳しく批判する声も聞かれます。
先進国で最悪の財政を抱え、アベノミクスに失敗すれば将来世代が抱えきれない重荷を背負う事になります。
安倍政権の経済運営が妥当なのかどうか、今後厳しい視線が集まりそうです。
(板垣 信幸 解説委員)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/234613.html
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