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いまこそ冷静さと知性が必要
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15年12月26日 永田町徒然草
押し迫ってきた。今年を大雑把に振り返ると“異常なことの連続”と言ってよいであろう。この暮れになっても、各地で異常なことが続いている。世界各地で異常な気象現象が起こっている。異常な暖冬なのである。それに比べれば、わが国の暖冬など可愛いものである。暖冬というと直ぐに“地球温暖化”といわれるが、もしこんなスピードで温暖化が進んだのでは大変なことになる。エルニーニョ現象がその原因なのではないか。
だからといって地球温暖化問題がどうでもよいと言っているのではない。間違いなく地球温暖化は進んでおり、これに人類は立ち向かっていかなければならない。そして最大の責任は先進国にあると私は思っている。わが国は、いまや間違いなく“先進国のひとつ”である。その先進国に住む私たちは、省エネルギーに最大限努めなければならない。
私のような世代は、わが国が先進国といわれる以前の生活を知っている。昭和30年以前のわが国は、中進国とも言えなかったであろう。その時代の生活を思い浮かべながら、本当に必要なものは何であるかが分かる筈である。若い人たちから、そんな“みじめったらしいこと”をしなくとも良いのではないかと言われても、“質素と倹約”に努めた方が良いと私は思っている。
地球温暖化問題が大きくなるに従って、原発がまた大手を振って歩きだしてきた。わが国は福島の原発事故で、原発の恐ろしさと悲惨さを嫌というほど知らされた筈だ。原発事故の恐ろしさと悲惨さを知っている国として、ドイツと共に原発が無くとも文化的な生活が可能であるという実践をする国を目指すべきと私は考えている。世界の殆どの国は、原子力発電を当然のこととしているが、必ず大きな悔悟と反省をすることになるであろう。
暖冬と言われているが、冬は冬である。いま世界全体で2000万人が住む家を失い、難民となっているという。冬空の中で、一家して彷徨(さまよ)う人々のことを忘れないようにしたいものである。世界の先進国で起こっているテロも、その大本(おおもと)の原因に果たして先進国の責任はないのか。アフガン戦争とイラク戦争がなかったならば、現在の問題となっているテロがなかったことだけは確かである。私はそう考えている。
18世紀後半に起こったアメリカ独立革命とフランス革命が掲げた“自由・平等・博愛”の理想と思想は、ヨーロッパとアメリカとわが国等の基本的価値観となった。しかし、その基本的価値観がすべての国や地域で基本的価値観になるとは限らない。少なくとも“自由・平等・博愛”の基本的価値観を強制することはできない筈である。テロとの戦争ということで、アメリカやフランスや西側諸国が“自由・平等・博愛”の基本的価値観をかなぐり捨てようとしている現実を私は悲しく思っている。私たちが信じる“自由・平等・博愛”の思想は、そんなに薄っぺらなものでは筈だ。
世の中全体が異常なことについては、大方(おおかた)の人々が同意してくれるであろう。しかし、私の政治的感覚が普通の人より過敏なので、この異常な現象が私には“狂”と映って仕方がないのである。そんなに質的な違いがある訳ではない。“異常”であろうが“狂”であろうが、こういうものに対するときに必要なものは、“冷静”と“知性”である。たとえ大勢に嫌われようが、良識ある人々は、冷静さと知的さを失ってはならないと考えている。
今日はこのくらいにしておこう。それでは、また。
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