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まだ続く地球温暖化の歪曲 (田中宇)
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/230.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2015 年 7 月 22 日 11:01:25: KqrEdYmDwf7cM
 

(回答先: QEの限界で再出するドル崩壊予測 (田中宇) 投稿者 てんさい(い) 日時 2015 年 7 月 22 日 10:58:11)

http://tanakanews.com/150216warming.htm
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2015年2月16日 http://tanakanews.com/

━━━━━━━━━━━━━━
★まだ続く地球温暖化の歪曲
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 1月中旬、米国政府で気候を担当する海洋大気局(NOAA)や航空宇宙局
(NASA)が、2014年の世界の平均気温は、気温の記録をとり始めた
1880年以来最も高かったと発表した。史上最高気温の年は過去10年間に
05年と10年の2回あったが、昨年はそれらを上回って史上最高だったという。

http://edition.cnn.com/2015/01/16/world/earth-hottest-year/
2014 was Earth's hottest year on record

 その発表から数日後、英国のテレグラフ紙に、NOAAやNASAが発表し
た「史上最高平均気温」の根拠となった気温データが、生の気温データに「調
整」を加えて気温がしだいに高くなっているように見せる仕掛けがほどこして
あると指摘する記事が出た。地球温暖化をめぐるデータの粉飾について、以前
から指摘していたクリストファー・ブッカー(Christopher Booker)が書いた。

http://www.telegraph.co.uk/comment/11367272/Climategate-the-sequel-How-we-are-STILL-being-tricked-with-flawed-data-on-global-warming.html
Climategate, the sequel: How we are STILL being tricked with flawed data on global warming

 記事によると、地表気温の世界的な変動を研究している世界の3つの公的機
関は、米国のNOAAとNASA(傘下のゴダード研究所。GISS)、英国
のイーストアングリア大学という米英勢で、いずれも地球温暖化人為説を強く
主張している。3機関はいずれも、NOAA傘下のGHCN(Global Historical
Climate Network)という気温データベースを、唯一の世界の地表気温の
元データとして使っている。

 GHCNが収録する気温の測定地点は以前、1万2千地点ほどあったが、温
暖化問題が騒がれ出した1990年ごろを境に、6千地点以下に半減した。残
った地点の多くは都市の周辺にあり、ヒートアイランド現象など温室効果ガス
以外の要因で気温が上昇傾向にある地点が多い。温室効果ガスによる人為説を
検証するには、都市化していない田舎の観測地点が多いほど良いが、GHCN
のデータベースからは、まさに温室効果ガスが問題にされ出した時に、田舎の
観測地点がたくさん削除された。田舎の観測地点の喪失を埋めるため、気温が
田舎より最大で2度C高い都市周辺の観測データを田舎にも適用する手法がと
られた。この操作(歪曲)を考慮するだけで、温室効果ガスの影響を全く考え
なくても、1990年以来の世界の平均気温の測定値の上昇を説明できてしまう。

http://www.wnd.com/2015/02/global-warming-only-the-data-is-heated/
GLOBAL WARMING? ONLY THE DATA IS HEATED

 さらに、都市周辺の観測点が増えたことによるデータの偏向を修正するため
と称して、生データに調整を加えることが行われた。気温が高めに測定される
都市周辺のデータばかりが残ったのだから、調整は本来、最近の温度を低めに
する方向で行われるべきだが、実際の調整は正反対で、昔の気温データを低め
にして、最近の気温を高めにする方向、つまり気温が右肩上がりで上昇するグ
ラフを描くのに好都合な方向で行われた。

http://www.newsmax.com/Newsfront/global-warming-temperature-date-faked/2015/02/08/id/623494/
Report: Temperature Data Being Faked to Show Global Warming

 気温が高めに測定される都市周辺の測定地ばかり残し、それを修正すると称
して、やるべき方向と逆の、最近の温暖化を捏造する方向の調整を行った。気
温のグラフが右肩上がりになり、05年、10年、14年と、何度も平均気温
の最高値が更新されるのは当然だった。

http://www.telegraph.co.uk/news/earth/environment/globalwarming/11395516/The-fiddling-with-temperature-data-is-the-biggest-science-scandal-ever.html
The fiddling with temperature data is the biggest science scandal ever

 テレグラフの記事は、温暖化問題を分析するポール・ホームウッド(Paul
Homewood)が見つけた指摘を紹介している。世界的に見て気温の上昇が大きい
とNOAAなどが指摘した地域の一つが中南米の東部だが、このうちパラグア
イを選んで調べると、都市化の影響を受けない田舎の観測地点は3つのみだ。
その3地点の気温の変化を見たところ、GHCNの生データでは1950年代
以来の65年間、気温が低下傾向だったが、GISSが調整した後のデータで
は、65年間、気温が上昇傾向にある。寒冷化の傾向を「調整」によって温暖
化の傾向に歪曲している。

http://notalotofpeopleknowthat.wordpress.com/2015/01/20/massive-tampering-with-temperatures-in-south-america/
Massive Tampering With Temperatures In South America

 地表で測定した気温データから地球温暖化を主張している米英3機関のうち、
英国のイーストアングリア大学の気候研究所(CRU)は、2009年に研究
者たちが平均気温の上昇を歪曲していたことがハックされたメールの束から
暴露された「クライメートゲート」事件を起こしたことで知られている。この
事件を機に、温暖化問題の歪曲が広く認知されて人為説の誇張が終わると思い
きやそうならず、今回のテレグラフの記事が指摘するように、温暖化の歪曲は
いまだに堂々と続けられている。地表の気温観測でなく、人工衛星を使った大
気温の推定値から気温の変化を研究している公的機関も米国に2つあるが、そ
ちらのデータでは気温の上昇が起きていない。

http://tanakanews.com/091202warming.htm
地球温暖化めぐる歪曲と暗闘(1)

http://tanakanews.com/091227warming.htm
地球温暖化めぐる歪曲と暗闘(2)

 テレグラフの記事は、今の時期が長期的に見て、200年前に小氷河期が終
わった後の循環的な温暖化の傾向の終わりの時期にあり、だから気温が横ばい
か、やや低下傾向にあるとする説を紹介している。循環的な温暖化の傾向があ
った最後の時期といえる90年代に、京都議定書を素早く世界的に合意してし
まえば、温暖化対策の世界的枠組みが確定し、後から実は温暖化も人為説も間
違いだとわかっても時すでに遅しで人為説が政治的に勝利していたかもしれな
いが、京都議定書は米国の反対で頓挫し、温暖化問題は乱闘期に入った。

http://tanakanews.com/140407warming.htm
乱闘になる温暖化問題

 米フォックスニュースが、温暖化人為説に疑問を持つ分析者の話として報じ
た記事によると、NOAAやNASAは、過去の平均気温全体を見直す調整を
何度も行っており、そのたびに昔の気温が低めに、最近の気温が高めに変更
(偏向)され、温暖化傾向の粉飾に拍車がかかっている。人為説を主張する学者
は「懐疑派は、あら探しして細かい点ばかり攻撃しており、地球が温暖化して
いるという大きな現実を無視している」と言う。しかし、細かいと見せかけた
「調整」が、実際に起きていない温暖化傾向のグラフを描く結果を生んでいる
のだから、懐疑派の指摘は軽視すべきものでない。

http://www.foxnews.com/science/2013/01/10/hottest-year-ever-skeptics-question-revisions-to-climate-data/
Hottest year ever? Skeptics question revisions to climate data

 今年に入り、ブルームバーグ通信社も、発表されている温暖化傾向に疑問を
呈し、実際は寒冷化が起きているのでないかとする記事を出している。米英マ
スコミで、温暖化と人為説に否定的な論調の記事が出るのはめずらしいことで
なくなっている。

http://www.bloomberg.com/news/2015-01-15/forget-that-warm-weather-talk-u-s-is-about-to-get-cold.html
Forget That Warm Weather Talk: U.S. Is About to Get Cold

http://www.forbes.com/sites/jamestaylor/2014/12/03/media-go-into-panic-how-to-spin-record-cold/
Media Go Into Panic On How To Spin Record Cold

 地球温暖化問題は、科学でなく、国際政治の問題だ。科学の問題なら、気温
データに粉飾的な調整を加えて横ばい(寒冷化)の傾向を温暖化に歪曲するの
は犯罪だが、国際政治の問題なので、かなり暴露しても犯罪とみなされない。
歪曲は、国際的な学界とマスコミのプロパガンダ機能を使って行われている。
国際政治のプロパガンダ機能は、いったん走り出すと方向転換が難しい。米国
は、同様のプロパガンダ機能を使って「大量破壊兵器」の濡れ衣をイラクやイ
ランなどの敵国に対して相次いでかけ、後から濡れ衣が暴露されているが、濡
れ衣をかけたことが犯罪とみなされず、いまだにイランには濡れ衣がかけられ
たままだ。

http://tanakanews.com/111207COP17.php
失効に向かう地球温暖化対策

 温暖化人為説は、米英が同盟国だった90年代に、もうあまり工業生産の二
酸化炭素を出さず、省エネ技術も進んでいる先進諸国が、これから二酸化炭素
を出す工業発展を行って経済成長する中国など新興諸国から、成長の儲けの一
部をピンハネしたり、先進国の省エネ技術を新興国に買わせるための枠組みと
して、おそらく英国の発案で始まった。世界の気温を分析して温暖化人為説を
唱える5つの公機関のすべてが米英の機関であることから、それがうかがえる。
米国側の発案なら、英国の機関を推進役に含めないはずだ。米英がG7などを
通じて温暖化対策の必要性を先進諸国内で定着させ、先進国が京都議定書で
模範を示した後、新興諸国を枠にはめる予定だった。

http://tanakanews.com/070227warming.htm
地球温暖化の国際政治学

 しかし米国の議会は、この英国産の謀略を拒否し、京都議定書を批准せず、
最終的に無効化した。米国では共和党が温暖化対策に反対の傾向を続けた。米
政府は、民主党のオバマ政権になって温暖化対策を積極的に推進したが、オバ
マは英国を捨てて中国を温暖化対策の主導役の伴侶に選んだ。09年末の
COP15以来、先進諸国の代表である米国と、新興・途上諸国の代表である
中国がわたりあう構図が中心になった。

http://tanakanews.com/091031warming.htm
新興諸国に乗っ取られた地球温暖化問題

 中国は表向き、米英が捏造した温暖化人為説の構図に異議を唱えていない。
しかし、まだ工業生産による経済発展の時期が続く中国やBRICSは、捏造
を下敷きにした温暖化対策を本気でやりたくない。本気で異議を唱えるなら、
中国などBRICS諸国の政府の気象部門が、米英に対抗して測定気温のデー
タベース化と傾向分析を手がけるはずだが、そんな兆候はない。

http://www.reuters.com/article/2014/11/12/us-china-usa-idUSKCN0IW08320141112
U.S., China sign symbolic emissions plan, play down rivalry

 昨年11月、オバマ大統領の中国訪問の「大成果」の一つは、米中が温暖化
対策で「画期的な」合意を結んだことだと派手に報じられた。しかし実のとこ
ろ、この時の合意は、米中が以前に別々に表明した既知の対策を改めて一緒に
表明しただけだった。オバマ大統領は表向き「温暖化はテロより大きな脅威だ」
と宣言しているが、実のところ、中国など新興諸国に対し、温暖化対策を本気
で求めていない。

http://reason.com/blog/2014/11/12/us-china-climate-deal-less-than-meets-th
U.S.- China Climate Deal - Less Than Meets the Eye?

http://www.zerohedge.com/news/2014-11-12/boehner-mcconnell-blast-obamas-faux-us-china-climate-deal
Boehner, McConnell Blast Obama's Faux US-China Climate Deal

http://www.cnn.com/2015/01/21/us/climate-change-us-obama/
Obama: No greater threat to future than climate change

 先進諸国は中国など新興諸国に「これから排出する二酸化炭素に対してカネ
を払え」と求めてきたが、中国などは逆に、先進諸国に対し「今まで排出した
二酸化炭素に対してカネを払え」と言い返している。今年は12月にCOP21
がパリで開かれ、そこで新たな温暖化対策の国際合意の締結が期待されている。
だから昨年の世界の平均気温を史上最高に設定する必要があったと考えられる。
しかし、米国覇権の弱まりと中露・BRICSの台頭の中で、しだいに米国
より中国の言い分の方が通るようになっている。

http://www.presstv.ir/Detail/2015/02/15/397748/IPCC-Climate-change-accord-likely
Climate change accord to be reached by end of 2015: IPCC

 もともとの温暖化ピンハネ策の発案者だった英国は、米国に外され、しかも
カネをもらう方から払う方に転落させられそうな中、温暖化対策の分野から静
かに足を洗おうとしている。英国は、世界で最初に産業革命で石炭利用の工業
化で二酸化炭素の排出を急増した国だから、今まで出した分を払えと言われる
と弱い。米欧の2大政党制の中で、左派(米民主党、英労働党など)は温暖化
対策に対して積極的で、右派(米共和党、英保守党など)は温暖化に懐疑的な
傾向だ。英国は保守党政権であることを理由に昨年、温暖化対策費を41%削
減した。

http://dailycaller.com/2014/01/27/uk-govt-slashes-global-warming-spending-by-41-percent/
UK gov't slashes global warming spending by 41 percent

 英国は、アングロサクソン(旧英連邦)のつながりを通じて温暖化対策をや
ろうとしてきたが、オーストラリアも英国と同様に保守党政権が温暖化対策に
反対で、選挙公約どおり、いったん制定した炭素税の廃止を決めた。カナダも
温暖化対策が嫌いで、京都議定書から早々と離脱した。アングロサクソンの世
界謀略としての温暖化対策は、米国の妨害工作によって失敗し、足抜けの動き
が広がっている。

http://www.ft.com/cms/s/0/d852822a-0d67-11e4-bcb2-00144feabdc0.html
Australia abolishes tax on carbon emissions

 英国のマスコミでは、BBCがいまだに温暖化対策推進派だが、新聞社では
懐疑派の「活躍」が許容されている。冒頭で紹介したテレグラフのクリストフ
ァー・ブッカーが温暖化懐疑論を言い出したのは08年ごろからで、米国がオ
バマ政権になって英国でなく中国と組み、中国の優勢(英国などの劣勢)を許
容した上で温暖化対策を開始した時期だ。貴族のモンクトン卿など、英国はエ
リート層の中にも力強い懐疑派がいる。

http://en.wikipedia.org/wiki/Christopher_Booker
Christopher Booker From Wikipedia

http://xrepublic.tv/node/12084
Lord Christopher Monckton - Climate Change is Really a Basis for Elite Control

 そんな中で意外なことに、これまで地球温暖化は大ウソだと何人もの議員が
公言し、懐疑派の巣窟だった米議会の上院が、98対1という圧倒的多数で
「気候変動はインチキでない」とする決議を1月末に可決した。米上院議員たち
はアングロサクソンの国としての自覚にようやくめざめ、英国に対するこれま
での非礼をわび、改心して温暖化対策をやることにしたのか?。ちがうだろう。
米上院は気候変動の事実を認めたものの。人為説を盛り込んだ別の決議を否決
しており、いまだに懐疑派だ。

http://www.theguardian.com/environment/2015/jan/22/us-senate-man-climate-change-global-warming-hoax
US Senate refuses to accept humanity's role in global climate change, again

 データ歪曲による人為説のプロパガンダは止まらないが、温暖化対策が先進
国の利益になる状況がすでに終わっており、プロパガンダとして意味がない事
態が続いている。

●最近の田中宇プラス(購読料は半年3000円)

◆ギリシャはユーロを離脱しない
http://tanakanews.com/150212greece.php
【2015年2月12日】ギリシャが離脱したらユーロがどうなるか考える前
に、離脱する場合の手続きやシナリオについて考える必要がある。EUはユー
ロを作る際、ユーロに加盟する手続きだけ法制化し、ユーロから離脱する手続
きを作っていない。EUやユーロに加盟する諸国の国民が、加盟による国権の
放棄に反対し、選挙で反EU政党が勝って政権をとっても、簡単にEUやユー
ロから離脱できない「出口のない状態」をあらかじめ作ってある。ギリシャを
ユーロから強制離脱させることはできない。ギリシャ新政権は、ユーロを離脱
する経済利得より、ユーロ圏に残ってEU政界の革命を起こす方を望んでいる。

◆ウクライナ米露戦争の瀬戸際
http://tanakanews.com/150209ukraine.php
【2015年2月9日】ウクライナに対する米国の軍事支援が始まると、最悪
の場合、米露の軍隊がウクライナで直接交戦し、第三次世界大戦の様相を呈す
る。米国はNATOとして参戦するから、独仏はロシアと本格戦争せざるを得
なくなる。独仏首脳は、この冷戦後最悪の危険事態を看過できず、米国がウク
ライナ軍事支援を開始する前にロシアとウクライナを和解させようと、モスク
ワとキエフに飛んだ。

◆QEするほどデフレと不況になる
http://tanakanews.com/150204qe.php
【2015年2月4日】世界の大半の国々がQEや金融緩和を加速し、各国通
貨が引き下げられている。輸出国の通貨が引き下げられるほど、輸出商品の価
格が実質的に下がり、世界的なデフレ傾向になる。QEはデフレを助長してい
る。QEは銀行の貸し渋りをも助長し、中央銀行から民間銀行に流れる資金を
いくら増やしても、銀行から中小企業や個人に資金が行き届かず、実体経済が
改善されない。
 

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