http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/817.html
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上の表はNHKの視点・論点 「アジアインフラ投資銀行への対応は」より引用
昨日(5日)早朝NHKBS1で放送されたシンガポールCNA(チャネルニュースアジア)は、ダウジョーンズ情報をソースに、中国がAIIB(アジアインフラ投資銀行)で出資比率30%を維持し重要案件に関する拒否権を確保したと報じた。
3月末にウォールストリート・ジャーナルが、「中国が欧州諸国との協議の中で、運営上の拒否権を放棄する提案を行っていた」と報じたが、中国政府は即座にその報道を否定するという経緯もあった。
冒頭に引用した表で分かるように、日本がAIIBに参加すれば、中国の出資比率は25%弱となり拒否権を確保できなかったはずだが、日本が不参加の決定をしたことで、拒否権を確保できる出資比率に達した。
安倍政権は、米国オバマ政権と歩調を合わせるように、AIIBについて、ガバナンスに疑問、出資の透明性に問題、他の国際金融機関が維持している融資基準の確保が困難などを理由にして参加を見送ったが、その“おかげ”で、中国はAIIBでより大きな力を手にしたわけである。
米国もだが、ADB(アジア開発銀行)の運営で主導権を握る日本は、AIIB参加問題について中国と水面下で様々な交渉を行ったと思っている。
そして、基本的には、ADBとAIIBの二頭立ての公的国際金融でアジアの経済成長をバックアップしていくという合意に達したと推測する。
その合意のなかには、中国がAIIBの運営で拒否権を持つことも含まれていたのかもしれない。
自民党の秋葉賢也外交部会長は、ロイターのインタビューで、「中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、中国が拒否権をもつ状態で参加することは120%あり得ないとの認識を示した」そうだが、日米が牛耳るADBに中国が加盟しているように、日本も時機をみて中国が牛耳るAIIBに参加はすると思う。
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AIIB、中国に拒否権があるなら参加は困難だ
自民党の秋葉賢也外交部会長に聞く
ロイター
2015年06月05日
6月5日、自民党の秋葉賢也・外交部会長は、ロイターのインタビューで、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、中国が拒否権をもつ状態で参加することは120%あり得ないとの認識を示した。
[東京 5日 ロイター] - 自民党の秋葉賢也・外交部会長は5日、ロイターのインタビューで、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、中国が拒否権をもつ状態で参加することは120%あり得ないとの認識を示した。
秋葉氏は「日本政府また自民党が一番懸念しているのは、公正なガバナンスと債務の持続可能性だ」とし、「設立準備会合を聞いている限り、当面は参加できないだろう」と見通した。
設立準備会合で固まった概要は、設立当初の資本金は1000億ドル。中国が最大の29%程度を出資し、重要案件では中国が反対すれば決められない「拒否権」ももつとみられている。融資案件を最終決定する理事会は設置するが、本部に常設しない方針。
常設の理事会でなければ運営のチェック体制が希薄になり、中国の国益に乱用される融資となるリスクが残ると懸念されている。
秋葉氏はこうした懸念が解消されない限り、状況を見極めていく必要があると繰り返し、なかでも「日本としては、少なくとも中国が拒否権をもっているような状態では参加することは120%あり得ない」と語った。
一方で、日本が参加しないことによる唯一のデメリットがあるとすれば、「アジアの他の国が日本に対してどう思うかだ。アジアの他の国の立場にたってみれば、日本に入ってもらったほうが金利も安くなるし、変な融資にもならないと思うだろう」とも述べ、「フリーハンドとして残しておく必要がある」と語った。
当面はアジア開発銀行(ADB)との協調融資などを通じて外から働きかける。「融資案件を厳選し露骨な中国への利益誘導につながるような融資はしない。協調融資を通じてノウハウを学んでもらう」ことは可能と指摘。年末に形式的には立ち上がったとしても、人材を集め、融資案件を決めていく運営はかなりの困難を要する。「実際の融資実行は2年くらい先になるのではないか」と見通し、焦る必要はないとの認識をにじませた。
自民党は外交部会や財務金融部会などの合同部会でAIIBに対する政府方針について、参加判断を明確にせず、慎重な対応を求めるとする報告書をまとめ、安倍晋三首相に提言した。
秋葉氏によると、合同部会では35人中、「是非参加すべき」と明言した議員は3人のみで、全体の8割が慎重意見だったとし、報告書では今後の状況を慎重に見極めるべきとの立場を強調。安倍首相からは、参加の是非に関する言及はなかったとした。
(吉川裕子)
http://toyokeizai.net/articles/-/72349
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2015年06月03日 (水) [NHK総合放送]
視点・論点 「アジアインフラ投資銀行への対応は」
東京大学特任教授 河合正弘
中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の加盟候補国として、57か国が確定しました。日本と米国は参加を見送りましたが、アジア地域の内外から多数の国が加わりました。これら57か国は6月中に協定を結び、年内の設立をめざしています。AIIBの資本金は1,000億ドル(約12兆円)で、中国が最大の出資国となり、本部は北京、初代総裁も中国人の予定です。
アジア地域でインフラ融資を行っている既存の国際金融機関としては、世界銀行(世銀)とアジア開発銀行(ADB)があります。世銀の最大出資国は米国で、ADBの最大出資国は日本と米国です。
AIIB設立の動きはインフラ投資を必要とするアジアの途上国の間で歓迎されています。しかし米国は、みずからが主導してきた戦後の国際金融秩序に中国が挑戦していると受け止めています。歴代総裁をADBに送ってきた日本も、AIIB設立に戸惑っています。
では、なぜ中国はAIIBを設立しようとしているのでしょうか?理由として4点挙げられます。
第一に、アジアには膨大なインフラ需要があり、世銀やADBなど既存機関だけではこのインフラ需要を満たせないことです。世銀やADBがインフラ融資を行う場合は、融資基準が厳しい上に、決定まで時間がかかり、スピード感に欠けるという批判もあります。AIIBが新たに加わることで、より多くのインフラ資金を、途上国の視点からスピーディーに投入できるということです。
第二に、中国をはじめ新興国はこれまでの経済発展で経済力を高めてきたものの、既存の国際金融機関の中で十分な発言権がないことに不満を持っています。世界第二の経済大国になった中国は、みずからの主導の下で新たな国際金融機関を設立して、アジアのインフラ開発を進めたいと考えたわけです。
第三に、中国は、国内の成長力が鈍化する中、多くの部門での供給過剰やインフラ投資の低迷から、AIIBを通じて成長をテコ入れしたいと考えています。つまり、中国は自国のインフラビジネスや過剰生産物の輸出を拡大する一方で、資源開発などのためにAIIBを活用できるのです。
第四に、中国は、アジアにおける経済的・政治的な影響力を強める目的で、AIIBを利用する可能性があります。たとえば中国は「一帯一路」政策、つまり陸と海の二つの「シルクロード」を実現させる政策を打ち出しています。そのために「シルクロード基金」を作っていますが、AIIBも同時に利用するのではないか、ということです。
このように、中国はAIIBを通じて、アジアのインフラ開発を主導したいと考えています。AIIBは、中国など新興国・途上国が中心になって自助努力でインフラを整備しようとするもので、それ自体歓迎すべきものです。中国がその拡大する経済力と金融力を、多国間の枠組みの中で、アジアのインフラ構築という国際公共財のために用いるとすれば、それは望ましいことでしょう。
その一方で、中国がAIIBを自国本位の外交政策の道具にする可能性があることにも注意すべきです。中国はアジアで地政学的な勢力圏を拡大するためにAIIBを利用するのではないか、という懸念が持たれているのです。
では、AIIBは組織・運営面でどのような課題に面しているのでしょうか。
日本と米国はAIIBの課題として、公正なガバナンス(統治)の確保、環境や社会に対する影響への配慮などの面で、国際的な基準に基づくべきだとしています。
まず、ガバナンスの問題とは、AIIBは中国の意のままの国際機関になるのではないか、という懸念です。国際金融機関の意思決定には、各加盟国の出資額の大きさがものを言います。
AIIBでの各国の出資比率を推計してみますと、中国の比率は30%近くと圧倒的に大きく、それに続くのはインドの8%やロシアの6%などで、中国に対抗できる国はいません。つまり、中国がAIIBの意思決定にきわめて大きな影響力をもつことになります。
こうした状況は、日本がAIIBに参加することで変わる可能性があります。日本が参加すると、日本の出資比率は11%となり、中国の比率は25%まで下がります。その結果、日本は単独では中国に対抗できませんが、欧州と連携することで中国の行動をある程度チェックできることになります。ただし、中国を含むアジアの新興国・途上国が全体の60%ほどの出資率をもつので、中国の意向が通る可能性も否定できません。
加盟国の代表者からなる理事会の役割も重要です。AIIBは、理事会を置くものの本部に常設とはせず、総裁の権限を強める方向です。そのため、融資の決定が中国の意向に左右される懸念が残ります。AIIBのガバナンスの透明性を高め、かつ加盟国が株主としてAIIBの経営陣を効果的に監視するには、やはり常設の理事会に大きな権限(とくに重要な融資案件の決定権など)を持たせることが重要です。
また、AIIBのインフラ事業に関わる環境基準や社会基準が不十分だと、融資を受ける途上国で乱開発が進んで環境が悪化したり、開発地域の住民の人権が脅かされたりする懸念があります。途上国にとっても環境や弱者に配慮した経済開発を進めていくことが課題になっている現在、AIIBが低い環境・社会基準の下でインフラ開発を進めるとしたら、それは問題です。
そこで、日本はどのように対応すべきでしょうか。
日本がAIIBへの参加の是非を判断するにあたり、考慮すべき最も重要な点は次のようなことでしょう。つまり、「AIIBはどのようなアジアづくりをめざすのか、その理念・ビジョンは日本の基本的な考え方と合致するのか。中国はAIIBを通じて、国際公共財を提供しアジア地域の繁栄と安定に貢献しようとするのか、それとも地政学的な勢力圏拡大など自国本位の経済・外交政策を行うのか」という点です。
中国が自国本位の政策を抑え、国際公共財の提供を重視するのであれば、日本としてもAIIBに参加することを考えるべきでしょう。日本が参加することでガバナンスが強化され、インフラ事業の基準や質が高まりうるからです。しかし、中国がAIIBを自国本位の国際金融機関として利用するのであれば、日本が参加してもガバナンスの透明化やインフラ事業の基準・質の引き上げは望めないでしょう。この場合、日本は参加せず、AIIBの外部からAIIBがよりよい国際金融機関になるよう、世銀やADBなど既存機関との協調を促していくべきです。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/219094.html
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