日本地震学会のメーリングリストへ、「nfml:7948] 房総半島東方沖の日本海溝からの西向き圧力増加について」として、投稿させて頂いた記事です。一部変更してこちらへ載せています。 房総半島東方沖の日本海溝からの西向き圧力増加についてです。 頓珍漢な考え方であるかも知れません。ぜひ、おかしい点があれば、ご指摘をしていただければありがたく思います。 1.Hi-net自動処理震源マップの「最新7日間」、「最新30日間」の関係は前者の積み上げが後者になるというものではなく、後者の方が微小地震やまたは深発地震、陸域から遠い地震を含んだものになっているようです。よって、地震発生の実態をより良く表しているのが「最新30日間」だと思います。 2.都道府県の「東京都」の「最新30日間」( http://www.hinet.bosai.go.jp/hypomap/mapout.php?_area=EXP13&_period=30days&rn=66888 )は北緯33度から36度、東経138度50秒付近から140度30秒付近までを含み、海域としては小笠原村がある父島とか硫黄島は範囲外であり、より関東平野側の八丈島がちょうど範囲の南限に入っています。陸域としては東京都と神奈川県の全域を含みますが、千葉県の銚子付近を含みませんし、茨城県も南部のごく一部が範囲にかかる程度で地震頻発区域は除外されています。静岡県は伊豆半島の根元部分の相模湾に面した部分が含まれます。 昨年7月以降に限ると、「東京都」の範囲に含まれると思えるM5以上の地震はほとんど起こっていません。唯一の例外が次に挙げる10月20日千葉県北東部M5.3です。 http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/20161020114958.html 発生時刻 2016年10月20日 11時50分ごろ 震源地 千葉県北東部 緯度 北緯35.9度 経度 東経140.6度 深さ 40km マグニチュード 5.3 震度4 茨城県:茨城鹿嶋市 潮来市 稲敷市 かすみがうら市 神栖市 行方市 鉾田市 千葉県:成田市 旭市 香取市 栄町 昨年8月から今年3月までの毎月1日、07:00ごろのN=の値の推移は次の通りです。 「東京都」「最新30日間」 08月01日:1518 09月01日:0701 10月01日:0704 11月01日:0731 12月01日:0610 01月01日:0641 02月01日:0583 03月01日:0541 8月1日の値が極端に大きいのは、7月に八丈島近海( http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/list/?e=476 )や伊豆大島近海( http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/list/?e=480 )、伊豆半島東方沖( http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/list/?e=481 )の地震が多発したためです。また、11月1日に増加しているのは上に挙げた10月20日の千葉県北東部の地震の影響だと思われます。大きな地震の影響が無くなった、つまり、平常常態と思える9月1日の値から見ると3月1日の値は2割以上の減少です。それも、ほぼ一貫してこの半年余りの期間減少傾向が続いてます。 実際、八丈島近海や伊豆大島近海、伊豆半島東方沖を震源とする地震は7月にあったきりで、8月以降はこれら3地域合計で1件しか発生がありません。 Hi-net自動処理震源マップの「東京都」に含まれる範囲は八丈島まです。八丈島までを「伊豆」、八丈島よりも南を「小笠原」のように地域を分割して震度1以上の地震集計をしてみました。対象となった震源地の名称は次の通りです。 「伊 豆」:伊豆半島東方沖、伊豆大島近海、新島・神津島近海、房総半島南方沖、三宅島近海、八丈島近海の6震源地。 「小笠原」:鳥島近海、父島付近、伊豆小笠原諸島西方沖、硫黄島近海、マリアナ諸島の5震源地。 2016年1月から2017年2月までの月別集計: 01月:伊豆:04件、小笠原:03件、計07件 02月:伊豆:00件、小笠原:03件、計03件 03月:伊豆:01件、小笠原:01件、計02件 04月:伊豆:02件、小笠原:00件、計02件 05月:伊豆:01件、小笠原:01件、計02件 06月:伊豆:06件、小笠原:01件、計07件 07月:伊豆:20件、小笠原:01件、計21件 08月:伊豆:03件、小笠原:05件、計08件 09月:伊豆:01件、小笠原:01件、計02件 10月:伊豆:01件、小笠原:04件、計05件 11月:伊豆:02件、小笠原:04件、計06件 12月:伊豆:01件、小笠原:02件、計03件 01月:伊豆:02件、小笠原:03件、計05件 02月:伊豆:02件、小笠原:01件、計03件 9月には、房総半島南東沖の三重会合点で次のM6地震が発生し、それ以降、M4以上地震の群発がありました。 http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/20160923091445.html 発生時刻 2016年9月23日 9時14分ごろ 震源地 関東東方沖 緯度 北緯34.4度 経度 東経141.7度 深さ 10km マグニチュード 6.5 房総半島南東沖の三重会合点付近の群発発生状況は次のURLで見ることが出来ます。2004年10月1日以降今年3月末日までのM4以上地震です。昨年9月に群発が発生しています。 http://www.emsc-csem.org/Earthquake/?filter=yes&start_date=2004-10-01&end_date=2017-03-31&min_lat=33.50&max_lat=35.00&min_long=141.00&max_long=143.00&min_intens=0&max_intens=8&view=2 以上のことから、昨年7月の伊豆諸島での地震頻発が9月の房総半島南東沖地震群発につながり、それ以降、伊豆諸島での地震発生が停止していることが事実として分かると思います。 そして、この推移を考えると、次のようなことが起こっていたと思えるのです。 1.昨年7月の伊豆諸島での地震の原因は、房総半島東方から、陸のプレートが西へ押された結果、起こった地震。だからどれも震源深さが10キロ程度で陸のプレート内の地震であった。 2.相模トラフに面した陸のプレートが西へ少し押されたため、房総半島南東沖の三重会合点付近で、陸のプレートと海のプレート(太平洋プレート及びフィリピン海プレート)の噛み合い(アスペリティ)が緩み、その結果、海のプレートが少し沈み込み群発地震が起こった。 3.伊豆諸島での地震発生には房総半島よりも少しだけ南にずれた地域での西向き圧力が必要。そして、房総半島南東沖の三重会合点は房総半島よりも少し南側に位置している。つまり、伊豆諸島と三重会合点はほとんど緯度が同じ。この三重会合点での西向き圧力が昨年9月の群発で解消されてしまったため、伊豆諸島での地震発生が止まってしまった。 4.現状は、房総半島東方沖の海山が沈み込んでいる大きな噛み合い(アスペリティ)の部分に海のプレートからの圧力が集中してかかるようになっているはず。 5.[nfml:7939]で投稿させて頂いた、駿河湾の南方沖北緯33度30分ぐらいから三重県南方沖北緯32度40分ぐらいのところに黄色いドットがほぼ一列に表示されているのは、陸のプレートが西へ押された結果のもの。(nfml:7939では「南海トラフの南側」と書いたのですが、「南海トラフの北側、つまり陸域に近い側」と訂正させていただきます。) 6.311大地震も三陸沖の大きな噛み合い(アスペリティ)が破壊された結果の地震であるはずで、今後、同様な地震が房総半島東方沖で発生するはず。 7.前兆現象として、311大地震と同じようにほぼ同緯度で内陸でのM6以上地震が起こる可能性。しかし、中央構造線の南側であるので、西日本からの東向きの圧力がないため、そういった前兆がない可能性もあるはず。昨年11月の福島県沖(いわき沖)M7は中央構造線の北側での地震であり、これが前兆であった可能性もあるはず。 8.仮に伊豆諸島での地震が頻発しだしたら、それは房総半島東方沖の噛み合い(アスペリティ)がかなり破壊されつつある前兆のはず。 なお、伊豆諸島や小笠原諸島での年別推移は次の通りです。 2009年:伊豆:94件、小笠原:17件、計111件 2010年:伊豆:48件、小笠原:24件、計072件 2011年:伊豆:66件、小笠原:15件、計081件 2012年:伊豆:24件、小笠原:16件、計040件 2013年:伊豆:91件、小笠原:15件、計106件 2014年:伊豆:53件、小笠原:23件、計076件 2015年:伊豆:40件、小笠原:32件、計072件 2016年:伊豆:41件、小笠原:26件、計067件 2017年:伊豆:04件、小笠原:04件、計008件(2月まで) 2017年については年換算して6倍すると、 2017年:伊豆:24件、小笠原:24件、計048件 となります。2016年までは40件以上でしたから、2017年の24件を考えると、伊豆諸島での地震静穏化を年別推移からも言えると思います。 伊豆半島東方沖( http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/list/?e=481 ) 伊豆大島近海( http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/list/?e=480 ) 新島・神津島近海( http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/list/?e=483 ) 房総半島南方沖( http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/list/?e=349 ) 三宅島近海( http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/list/?e=482 ) 八丈島近海( http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/list/?e=476 ) 鳥島近海( http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/list/?e=903 ) 父島付近( http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/list/?e=911 ) 伊豆小笠原諸島西方沖( http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/list/?e=916 ) 硫黄島近海( http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/list/?e=917 ) マリアナ諸島( http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/list/?e=932 )
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