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東北 沿岸沈んだ地盤隆起 東日本大震災6年
想定外 マントル影響か
東日本大震災からもうすぐ6年。東北地方の太平洋側の一部で、沈んだ地盤の隆起が続いている。従来の地震学では説明しきれず、地下の奥深くにあるマントルの関与が取り沙汰されている。マントルにかかっていた力が地震によって変わり、ゆっくりと地盤を押し上げているという。巨大地震後の地盤の変動は謎が多く、研究者らはその影響の解明を急いでいる。
宮城県北東部の牡鹿半島の漁港で、岸壁がじわじわと上昇している。国土地理院によると、震災時に牡鹿半島は約1メートル沈んだ。海面より低くなって水浸しになった漁港を再生させようと、岸壁が新たに整備された。
その後、隆起に転じ、上昇幅は40センチメートルを超えた。一部で岸壁が高くなり過ぎ、漁業関係者は「船の乗り降りや水揚げが大変だ」と嘆く。岸壁を低くする計画もある。
震災前、東北地方が乗る陸のプレート(岩板)は沈み込む海のプレートに引きずられ、太平洋側の沿岸部は少しずつ沈んでいた。巨大地震のときに陸のプレートが跳ね上がって隆起するとみられていたが、逆に広い地域で大きく沈んだ。プレート境界部が大きく滑った影響で、プレートの表層部の地盤が変形したためと考えられている。
隆起が始まった原因は当初、「余効すべり」の影響と考えられた。体に感じる地震を伴わない形でプレート境界がゆっくりとずれる現象だ。ただ隆起は収まらず、余効すべりだけでは説明できなくなってきた。
研究者はプレートの下にあるマントルに注目する。マントルは岩石でできているが、水あめのようにゆっくりと流れる。陸のプレートの跳ね上がりに遅れる形で、徐々に滑った方向に動く「粘弾性緩和」が起きている。
現在、牡鹿半島などの下にマントルが流れ込んでおり、その影響で地盤が隆起しているとみられる。東北大学の日野亮太教授は「予想よりも影響が現れるのが早かった」と話す。同教授らは海底観測とシミュレーション(模擬実験)を組み合わせ、粘弾性緩和が震災後の地盤の動きに深く関わっていることを明らかにした。「影響は長く続くだろう」と予測する。
マントルの動きは今後の地震活動を予測するうえで重要な意味を持つ。プレート境界の固着が復活していれば、次の巨大地震に向けた準備が始まったと考えられる。だが「プレートの動きが粘弾性緩和の影響で隠れ、把握が難しい」と東京大学の加藤照之教授は話す。観測を続けて状況を明らかにする必要がある。
東北地方の太平洋側では震災前、30〜40年おきにマグニチュード(M)7級の宮城県沖地震が起きてきた。大震災の影響でこの周期が変化するのかわかっていない。
海洋研究開発機構の中田令子特任技術研究員がスーパーコンピューターで解析し、次の宮城県沖地震は通常の周期の半分以下で発生する可能性が高いとわかった。「あくまでシミュレーション」としつつ、プレート周辺の観測の充実を訴える。
[日経新聞2月27日朝刊P.13]
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