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大塚家具、すべてシナリオがあったかのような急回復 類いまれな経営継承の成功事例(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/343.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 7 月 31 日 01:14:45: igsppGRN/E9PQ
 

                    大塚家具ショールーム(「Wikipedia」より/Itasan)


大塚家具、すべてシナリオがあったかのような急回復 類いまれな経営継承の成功事例
http://biz-journal.jp/2015/07/post_10927.html
2015.07.31 文=安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO Business Journal


■好調を維持する新生・大塚家具

 大塚家具の業績が好調だ。同社は経営権をめぐる父・大塚勝久元会長と娘・久美子社長の対立が世間を騒がせていたが、3月27日の株主総会で久美子社長が勝利し“ノーサイド”を宣言して内紛に終止符を打った。

 一連の経営混乱によって迷惑をかけた顧客に対しては、すぐさまお詫びの意味を込めて「新生・大塚家具『大感謝フェア』」を開催し、最大50%オフとなるセールを実施。セール初日の4月18日には久美子社長も店頭に立つなど話題を呼び、東京・新宿店には1万人を超える顧客が押し寄せ、大盛況となった。

 セールの目玉は、「935(クミコ)」にちなんだ93万5000円の高級寝具セット。各店10セット限定で用意されたが初日に完売するなど、フェアは予想を大きく上回る反響で、当初4月30日までだった期間が5月10日まで延長された。

 このフェアの成功により、5月の月次売上高は前年同月比170%を記録。セール終了後も引き続き好調を維持し、7月1日に発表された6月の月次売上高は前年同月比149.6%と、久美子社長率いる「新生・大塚家具」の上々の船出となった。

 振り返れば最近まで大塚家具は、極度の業績不振にあえいでいた。消費増税前、駆け込み需要のあった2014年3月には前年同月比133.4%の売上高を記録するも、同年5月からは前年割れが続いていたのだ。そんなさなか、7月には取締役会で経営方針の違いから久美子社長を解任し、勝久元会長が社長を兼任する決議が採択された。しかしその後、今年1月には再び久美子氏が社長に復帰し、勝久会長との2人代表体制に戻るなど、同社の経営は迷走を続けた。

 業績不振から脱却するために、従来の高級路線を強化して乗り切ろうとする勝久氏と、これまでの高級路線から大きく方向転換してより気軽に購入できる品揃えを充実させたい久美子氏の経営方針は平行線をたどり、その溝が埋まることはなかった。そして、ついにはお互いを公然と批判するなど、争いは混迷を深めていったのだ。

 この父娘による大塚家具の内紛劇は、メディアでも大きく取り上げられ、両陣営の一挙手一投足が大いに注目を浴びることになる。特に株主総会での勝久氏陣営と久美子氏陣営による株主の委任状を奪い合う激しいプロキシーファイトが繰り広げられた模様は、毎日のようにテレビや新聞で大きく報道され、良くも悪くも大塚家具という名前が世間に広く知れ渡るきっかけとなった。

 株主総会では、久美子氏がおよそ60%の支持を取り付け、辛うじて勝利を収めたものの、その代償は大きく、業績に暗い影を落とすことになる。株主総会の内紛劇が大きくクローズアップされた15年3月の大塚家具の月次売上高は、前年の駆け込み需要の反動があったとはいえ、前年同月比62.2%と4割近い落ち込みを記録して、一気に経営は抜き差しならない状況に追い込まれた。

■久美子氏のしたたかな回復劇

 株主総会の勝利で経営の全権を手中に収めて以降、久美子氏の対応はしたたかだ。まるで事前にすべてのシナリオが描かれていたかのように、急速なイメージ回復を成し遂げる。

 まずはマスコミの注目を浴びているうちに大感謝フェアを開催し、自ら店頭に立ってガーベラの生花を来店客に手渡して出迎えるなど、積極的にメディア露出を繰り返すパブリシティ戦略の強化でイメージアップを図る。

 また、7月からは騒動を逆手に取ったようなテレビCMも展開。家族が大塚家具のショールームを訪れ、カーテンの生地選びで父と娘の間に諍いが起こると母が「ケンカしない」と諌めるシーンや、父がスタッフに言いすぎた際に娘が「父がすいません」と謝るシーンなどは、勝久氏と久美子氏の現実の争いを彷彿とさせ、話題となっている。

 このほかには、大塚家具は22年ぶりにロゴを刷新。これまでの男らしい太いラインから、女性らしい細くしなやかな柔らかいラインに変更し、顧客へ新しく生まれ変わったイメージをアピールする。

 事業面においても、新たにリユース市場への参入を発表。8月末までは、他社で購入した家具でも最大10万円で下取りするキャンペーンを実施し、下取り品を補修した中古品販売を試みる。今後も、矢継ぎ早に新たな施策を展開して、さらなる業績の拡大を図る構えだ。

■市場からも高評価

 久美子氏に対する経営の期待は、株価にも如実に反映されている。例えば、お家騒動が表面化した頃には1000円を切っていた株価も、7月に入ってからは2000円近い水準で推移するなど、市場ではおよそ2倍近い評価となっている。時価総額でいえばおよそ380億円と、お家騒動勃発時の190億円に比べて190億円も企業価値が高まっている計算だ。

 久美子氏が成し遂げたこの企業価値向上に関しては、前会長で大株主でもある勝久氏も恐らく不満はないはずだ。18%の株式を保有している勝久氏の資産は、1年足らずで34億円から68億円へと倍増しているのだ。

 業績や株価などすべては結果オーライだが、もしこれが最初から仕掛けられた壮大な事業承継だとするなら、これほど成功を収めたケースは珍しいといえるだろう。

 もしなんの争いもなく娘に経営権を継承していれば大塚家具の認知度は今ほど高まらず、売上高はニトリやIKEAなど強力なライバルの前に苦戦を強いられたはずだ。また、ビジネスモデルの大幅な転換も、勝久氏派の古参社員や従来の顧客の理解を得られずに頓挫していた可能性も高い。

 骨肉の争いを経て旧体制を一掃し、新しい大塚家具がマスメディアの注目を集めて多くの人に知れ渡った結果、効果的なマーケティング戦略と相まって類を見ない成功へとつながっていったのである。

■今後の課題

 第一ラウンドの株主総会では勝利を収め、お家騒動を逆手に取って短期間でイメージチェンジに成功した久美子氏だが、すでに第二ラウンドは場所を法廷に移して裁判での争いが繰り広げられている。

 訴状などによれば、勝久氏保有の大塚家具株の一部130万株を大塚家の資産管理団体に譲渡する際、15億円の社債が発行され、勝久氏がこの社債を引き受けた。この社債が期日を過ぎているにもかかわらず未償還になっているという。また、勝久氏は、13年10月に資産管理会社が保有する大塚家具の株189万株の名義が久美子氏に変更されたことに対しても、無効として返還を求める訴えも起こしている。

 この裁判もメディアで大々的に報道され、大塚家具は引き続き父娘の争いで世間の耳目を集めたが、いつまでも親子の泥沼の争いが続くようだと、世間にそっぽを向かれかねない。早期に裁判の決着をつけ、イメージ回復に取り組まなければ、せっかくうまくいった経営権のバトンタッチが水泡に帰す可能性も高まってくるだろう。

 勝久氏も内輪のゴタゴタで顧客が離れ、業績が悪化して株価が急落することは本意ではないだろう。娘との裁判は、今やお金の問題ではなく“クーデター”で経営権を奪われた個人的な怨みを晴らすという、自身のプライドを懸けた争いの様相を呈している。

 では久美子氏は、傷つけられた創業者である勝久氏のプライドをどう回復し、矛先を収めさせればよいのか。

 例えば、これまでの功績をたたえる意味で最大級の評価に基づいた退職金を約束したうえで、株価が高騰しているうちに勝久氏の保有する株式350万株を市場外で買い取り、勝久氏とが共に大塚家具を去っていった社員と新たな事業を開始するためにようであれば、十分な資金を提供するなど、最大の敬意を表した対応が必要不可欠だろう。

 このまま泥沼の争いが続くようであれば、再び顧客に愛想を尽かされ、顧客離れが加速する事態も想定できるだけに、久美子氏にはまだまだ難しい舵取りが求められる。

(文=安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO)

 

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コメント
 
1. 2015年7月31日 05:14:03 : 87iPO2IZCE
親父は徹底して悪役に回るという、出来レースかもしれんな。

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