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テマセク、投資利回り19.2% 前期、運用残高24兆円
【シンガポール=谷繭子】シンガポールの政府系投資ファンドであるテマセク・ホールディングスが7日発表した2015年3月期の投資実績は、年間の投資利回りにあたる株主総利益が19.2%と前の期の1.5%から大幅に伸びた。中国投資がけん引役となり、期末の運用残高が前の期末を19%上回る2660億シンガポールドル(約24兆円)に増えた。
中国に強い香港の小売業、ASワトソンの25%を取得したほか、中国のチャットアプリ大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)などに新規投資した。
中国への投資が全体に占める割合は前の期の25%から27%まで増えた。最大の投資先であるシンガポールの28%に迫る水準だ。
中国投資責任者のウー・イービン氏は同日の会見で「(中国の現在の株安は)長期成長の過程の一時的な調整」と述べた。
今後も主力の金融だけでなく、消費者産業や農業、ネット関連など幅広い分野に投資する。一方、日本市場については「他市場同様に投資機会を探る」(幹部)と述べるにとどめた。
15年3月期の新規投資は300億シンガポールドルに上り、大半がアジア向けだった。一方、投資の売却は190億シンガポールドルだった。
投資先の地域別内訳をみるとアジアが70%、北米・欧州が17%、オセアニアが9%だった。産業別では金融が28%と依然最大だが、前の期の30%から縮小した。消費者産業・不動産が15%と、同12%から増えた。
[日経新聞7月8日朝刊P.9]
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